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ヘルスケア 2023-09-28

ヘルスケアの仕事をするなら自分が健康で楽しくいることが大切【もっと知りたい!ヘルスケアのお仕事 Vol.115/姿勢調整師 みちのえみこさん】#2

「ヘルスケア業界」のさまざまな職業にフォーカスし、その道で働くプロに、お仕事の魅力や経験談を語っていただく連載企画「もっと知りたい! ヘルスケアのお仕事」。

前回に続き、姿勢調整師 みちのえみこさんにお話を伺います。

10年を超える会社員生活を経て、2011年12月「姿勢専科・KCSセンター」に参加。現在は恵比寿店の店長として活躍中。姿勢科学の講師として、行政や企業団体等にて講座も開催しているみちのさん。

後編では、みちのさんがヘルスケアのお仕事に感じる魅力、これからヘルスケアのお仕事を目指す方へのアドバイスをお聞きします。

お客様の人生に直接かかわっているという実感がうれしい


――ヘルスケアのお仕事のやりがい、お仕事をしていてよかったと感じることは何ですか?

お客様個人と直接やりとりできるのが、この仕事のいいところだと思います。仕事を変えて初めてお客様から直接「ありがとう」と言われたとき、その違いの大きさをすごく感じました。

「したくても思った通りにはできなかったことが、できるようになる」という瞬間に立ち会えることも多いんです。もし自分がこの方と出会わなければ、この方は何かを諦めていたかもしれない。そんなふうに、その方の人生に直接かかわっていると感じることが多い仕事だと思います。

――逆に大変だと感じることはありますか?

大変なことはあったと思うんですが、何が大変だったかな…という感じなんです(笑)。大変だったことも、よかったことで上書きされてしまうのかもしれません。

大変と思うほどのことが起きていなくて、本当に運が良かったというか、お客様のおかげだなと思います。お客様や一緒に働いている先生たち、スタッフ、先輩方に助けられて13年やってこられました。

――店長としてお店の運営面ではいかがですか?

数字に弱いので、店長になったときは経営面で不安なこともありました。でもこれまでの数字の動きの傾向などもオーナーから全部聞いていましたし、自分で試算したりしてみると最初に言われた通りの結果になるんだとわかって、それからは不安なくやれています。

この仕事は1人1回いくらの世界なので、計算上は最も簡単な業界なんですよね。何人お店に来たらこの金額だから、最低限のラインはこのくらい…。そんな風に計画できるのも、この仕事のおもしろいところかもしれません。

会社員のように時給や月給ではなく、来店するお客様の人数が一緒なら20日働くのも10日働くのも収入は同じ。1日のうち数時間しか働けないとか、他の仕事もしたいといった場合でも、時間の融通がきいて収入も調整しやすい働き方は、この仕事のいいところのひとつでもあると思います。

さまざまな媒体を通して、信頼できる情報を発信し続ける

――売上や集客アップのために取り組んでいることはありますか?

この仕事を始めたころからブログを書いているんですが、当初はそこから来店につながることがありました。当時は発信している人が少なかったからだと思います。SNSで多くの人たちが発信している今は、ウェブだけでは難しいですね。

当初からオーナーに「発信する場は1つだけじゃダメだよ」と言われていて、数年発信をしてみて自分でも実感しています。ウェブはもちろん、チラシや声掛けも必要だし、お客様に紹介していただくのも、すべてがあって成り立つんだなと感じますね。「これをしたら勝てる」みたいなパターンはないと思います。

――いろんな発信をしていくのは大変じゃないですか?

フランチャイズのありがたいところで、やってよかったこと、逆にうまくいかなかったことの共有がすごく多いんです。最低限のところはKCSセンター本体からの発信もありますし、情報共有が多いので手当たり次第に試さなくてもいいのはありがたいですね。

――みちのさんが今力を入れている発信はありますか?

私はブログやSNS、メルマガなどで発信をしていますが、力を入れているのは信頼できる情報を伝えることです。今は健康情報がすごく多いので、検索して自分の気に入った情報だけ取り入れるという方も増えています。その結果、体を痛めてしまうことも多いんです。

それがすごく気になるので、自分が発信する情報は必ず間違いのないように裏付けなどを調べたうえで出すようにしています。多くの人に信頼できる情報に触れる機会を提供できるように、ウェブだけでなく紙媒体も含め、さまざまなかたちで姿勢と体について伝える発信はし続けていきたいと思っています。

姿勢調整師の知名度を高め、多くの人に姿勢の重要性を知って欲しい

――今後の展望を教えてください。

展望というか「こうなったらいいな」という希望なんですが、姿勢調整師という仕事はまだまだ知られていないので、知名度が高まって子どものなりたい職業の1つになったらいいなと思っています。

日本でみんなが姿勢の大切さを本当の意味で理解し、それに姿勢調整師の先生が関わっている状態が、当たり前になるようにしていきたいです。

――これからヘルスケアのお仕事を目指す方にアドバイスをお願いします。

健康に関わるお仕事の場合、関連する情報がとても多いんですが、その背景や根拠は必ず確認したほうがいいと思います。どこから持ってきた情報なのか、誰が発信していたものなのかというのは、もし自分が発信したりお客様に伝えたりしたときに自分の信頼性に関わってきます。この時代だからこそ、そこは大きな注意点だと思います。

また、「何をどこでどのように学ぶか」ということは、慎重に選んだ方がいいです。ヘルスケアの仕事を目指す人は「人の役に立ちたい」「人に喜ばれることをしたい」「体の悩みで困っているを救いたい」といった志の高い方が多いんですが、本当の意味でそれを実現するためには何をどこでどのように学ぶかがすごく重要なんです。

徒手療法は現在、法整備が進んでおらず、体に関する勉強が不十分でも始められてしまう一面があります。体のつくりに合わない危険な施術で健康被害が生じているケースもあり、厚生労働省や消費者庁から業界団体に、安心で安全な施術を行うことを求められています。(参考:国民生活センター「手技による医業類似行為の危害-整体、カイロプラクティック、マッサージ等で重症事例も-」)

一生懸命学んで技術を磨いても、その施術が人の体を傷つけることになるのは残念なことです。
解剖学や生理学などの体のしくみに基づいているか、どんな理論でおこなわれる施術なのか、どのように学んで身につけていけるのか、どのように収入につなげていくのか、サポート体制、などを調べたうえで選ぶこと。見せ方だけ上手なものに惑わされず、しっかり調べたうえで仕事を決めて欲しいと思います。

――最後に、みちのさんの「ヘルスケアのお仕事の心得3か条」を教えてください。

1.心に余裕を持つこと
2.笑顔でいること
3.自分が楽しくできること

大前提として「自分が健康でいる」というのは当然だと思っています。プラス、この3つは仕事をするうえでいつも心がけていることです。この仕事をしていて楽しいか、ワクワクしているかというのは、続けていく上でとても大切なことだと思っています。

取材・文/山本二季

Information

KCSセンター恵比寿
住所:東京都渋谷区恵比寿4-10-8 エビスビル301号
TEL:03-6755-5823
みちのさんのInstagram:@emichino

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