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ヘルスケア 2025-01-03

ヨガ哲学をもっと学びたい気持ちから講師の道へ【もっと知りたい!「ヘルスケア」のお仕事 Vol.167/ヨガ講師 Maiさん】#1

ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスし、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載企画「もっと知りたい! ヘルスケアのお仕事」。

今回はヨガ講師、ヨガライターとして活躍するMaiさんにお話しを伺います。介護福祉士として働いていたMaiさんは、体調を崩したのをきっかけにヨガに出会います。その後、ヨガ哲学に触れて惹かれるようになり、もっと深く学びたいと考え、ヨガ講師になることを決意したそうです。

現在はヨガスタジオ、イベントの自主開催、オンラインでのレッスンと活躍の場を広げるMaiさんに、どのようにしてそれを実現したかを伺いました。

お話しを伺ったのは…
ヨガ講師、ヨガライター
Maiさん

介護福祉士として働いていたが、体調を崩して退職し、仕事を休んでいた2016年頃にヨガと出会う。1年ほど経った35歳のときに、ヨガ講師となることを決意。スクールに通いながら、ヨガ講師の資格を取得。現在はヨガスタジオ、飲食店やお寺などとコラボした自主レッスンイベントの開催、オンラインでの個人レッスンを中心に活動している。またWEB媒体「ヨガジャーナル」でのライター業や動画の編集業、タイヨガセラピストとしても活動中。

インスタグラム

ヨガ哲学を深く学ぶために行きついた、ヨガを仕事にするという選択

体調を崩したことがきっかけでヨガに出会ったMaiさん。運動経験が少なくても、無理なく体を動かし、スッキリできることを魅力だと感じたそう

――以前は介護福祉士として働かれていたそうですが、そこからヨガ講師になった経緯は?

体調不良で介護福祉士の仕事を退職したときにヨガに出会い、もっと学びたいと思ったことがきっかけです。介護は天職だと思えるくらい大好きな仕事だったのですが、子どもを育てながらフルタイムで忙しく働いていていたからか、メニエール病という、めまいを起こすような病気になって体を壊してしまったんです。

半年ほど、療養もかねて仕事をしていない時期があったのですが、元々外で働くのが好きなので、体がなまってくる感じがして。そんなときに見つけたホットヨガの体験に行ってみることにしました。

私はそれまでの人生でまったく運動をしてこなかったのですが、体を動かすこと、汗をかくことですごくすっきりして、すぐに入会を決めたんです。

――そこから、ヨガ講師を目指すようになったのですか?

直接的なきっかけはヨガ哲学に出会ったことです。当初はホットヨガに通っていましたが、私の体質的に少し合わないところがあったので、常温のヨガスタジオに移ることになり、そこで初めてヨガ哲学というものに出会いました。ヨガは体を動かすだけではないんだということを知って、その世界にどんどん惹かれていったんです。

ヨガ哲学をもっと深く学びたいと思い、いろいろと模索しましたが、横須賀の周辺には私が知りうる限り、あまりいい学びの場はありませんでした。そこで本を買って読んだり、遠くまで足を運んで学んだりしていたのですが、ヨガ哲学は今も学び続けているくらい奥が深くて、学びに終わりのない世界なんですね。もっと学びたいと思ったときに、せっかくお金も時間もかけて学ぶのであれば、仕事にしてみてはどうかと考えるようになりました

ホットヨガの体験に行ってから、1年後くらいにはヨガ講師を目指すようになったんです。

――ヨガ哲学のどんなところに惹かれたのですか?

一番惹かれたのは、変わり続ける自分の感情や考え方、体の状態などにとらわれなくていい、というところです。どんなに自分の状態が変わっても、本当の、本物の自分は変わらずそこにあるのだから、何も恐れたりする必要はないということを学んだ気がします

介護職のときに、仕事自体はとても楽しかったのですが、たまに怒ったり、イライラしたりすることがあったんですね。そしてそんな自分にとらわれて、さらに落ち込んでしまう。今から振り返ると、忙しさにかまけて自分のことを全然見ていなかったんです。それが結果として、メニエール病という病気になって表れたのかなと思っています。

そういう経験をしていたからこそ、ヨガ哲学が余計に自分に染みたのかもしれません。ヨガ哲学に出会って、人生ががらっと変わった感じがしました

自分から飛び込み、外部施設でのコラボを実現

カフェとコラボしてヨガイベントを開催している様子。このように、外部とのコラボレーションでレッスンイベントを開くことが多いというMaiさん

――ヨガ講師を目指すようになって、最初に取り組んだことは?

スクールに通って、全米ヨガアライアンスRYT200と、その学校独自のヨガ講師になる資格を習得しました。通っていた期間は、トータルで1年ほどだったと思います。ちなみに全米ヨガアライアンスはその後、RYT500まで習得することができました。

――ヨガ講師としての第一歩はどのように踏み出しましたか?

お友達から、ママさんを集めるから、ヨガのレッスンをしてくれないかといわれたのがヨガ講師としてのスタートでした。ホットヨガを始めたのと同時期ぐらいからインスタグラムで発信を始めていて、ヨガ講師の資格を取ることも書いていたんです。それを見た友達が依頼をしてくれた形でしたね。

その後、近所に貸しスペースができて、スタジオとして利用できたので自主開催をするようになったんです。近所のお店にチラシを置かせてもらうなど集客をしながら続けていましたが、その後、そのスペースが閉められることになってしまい、自宅開催に移行しました。

――かなり順調なすべりだしですね。

いえ、そんなことはなかったと思います。とくに自宅に移行してからは、あまり広くないスペースで開催していることもあって、ひとり、ふたりとプライベートレッスンのような形で小ぢんまりと続けてきました。自宅で開催していると経費もかからないですし、お声がけして何人か来てくれたらいいなというくらいで、今と比べるとそこまでモチベーションも高くなかった気がします。

自宅開催を続けながら、2年目からはお寺やレストランなど、段々と外部の場所を使ってレッスンを開催をするようになりました。というのも、自宅での開催はいろいろとハードルがあるんですね。自宅をきれいに保たないといけないですし、家族が家にいると使いづらいですし。そのころ、下の子どもがまだ小学生だったので、夏休みになるとずっと家にいて、静かにしてもらうのもなかなか難しい状態でした。あとは自宅に人を招くというのはやはり不安もあったので、自宅での開催はオンラインレッスンに移行することにしました。

――お寺やレストランなど、どのように開催場所を広げていったのですか?

自分からやりたいと宣言して、飛び込みでプレゼンをしていくことで地道に広げてきました。お寺の場合はお寺ヨガをされている他のお寺のご住職さんに紹介していただきました。外部の人を入れて盛り上げていきたいという考えを持っていらっしゃったので、割とすんなりと開催が決まりましたね。月に1回、もう6年ほど開催させていただいています。

レストランでは、平日の午前中などお店があまり混まない時間に、ランチ付きという形で開催するようにしました。参加者が必ずランチを食べるので、お店にとってはその分売上げにつながります。こういったお店側のメリットも必ず打ち出して、話しを進めるようにしていました。あとはワイン屋さんとのコラボで、ワインを飲みながらヨガをするというイベントも開催しています。

異業種とのコラボレーションの場合、ヨガはまだそこまで認知が高くないので、施設やお店側から声がかかることはほとんどありません。こちらからやりたいことをどんどん発信していかないと、活動場所を広げるのはなかなか難しいと思います

自分の強みを活かし、代行からレギュラーをつかむ

スタジオに講師として入ったきっかけは、代行の募集だったというMaiさん

――現在は、スタジオでも講師として活動をされているとのことですが、オーディションなどを受けられたのですか?

私の場合は、代行がきっかけでした。代行というのは、どこかのスタジオに所属しているヨガの講師やインストラクターがお休みをするときに、その代わりを務めることをいうのですが、代行を募集するFacebookのグループがあって、そこに登録をしていたんです。

私が暮らしている横須賀ではあまり募集がなかったのですが、よく見ていたら三浦海岸での募集があって。そこで2回代行を担当したら、週1回のレギュラーレッスンを持たせていただくことになりました。それが5年ほど続いたと思います。

――代行からレギュラーになったのはすごいですね。どんな点が評価されたのでしょうか?

直接聞いたわけではないのですが、お客様のなかに「落ち着いた雰囲気だったので、心地よくレッスンが受けられた」とおっしゃってくれた方がいたようでした。私はヨガ講師として活動を始めた当初から、しゃべり方にあまり初々しさがないといわれることが多かったのですが、それが落ち着いた空気につながっているのかもしれません。

――意識して、落ち着いた雰囲気を出そうとしていたのですか?

いえ、意識して落ち着いた雰囲気を出そうとしていたというより、自分の特性を活かした声の出し方、レッスンの進め方を意識した結果という感じでしょうか

ヨガ講師の資格を取るために通っていたスクールでは教え方を習う授業があったのですが、そこで自分の声の特性を活かすために、自分のレッスンを録音することをすすめられていて、自分の声を聞いたことがあったんです。そのときに、私はインストラクターっぽいおしゃべりを意識すると、ちょっと声が高くなってしまって、浮いている感じがしたので、自分の元々の声を大切にしようと考えていました。

しゃべり方の部分で意識していることはほかにもいくつかありまして、ヨガ講師で一番大切なのは、伝わりやすさだと思うので、伝わりやすい言葉、間、集中しやすい、入り込みやすい言葉の長さなどを心がけています


異業種からの転職でも、外部とのコラボレーションを自ら仕掛けていくなど、活動の場を広げてきたMaiさん。後編ではMaiさんがヨガ講師として心掛けてきたこと、これまでぶつかった壁などについて伺います。

ヨガ講師として充実にキャリアアップしていたものの、自主開催の席が埋まらないことが続くと心が折れそうになることもあったといいます。しかし段々と気持ちの持ち方を工夫することで、立ち止まらずに進めることができるようになったそうです。

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