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ヘルスケア 2024-08-16

自分の変化に気づくためにもアップデートは常に必要【もっと知りたい!「ヘルスケア」のお仕事Vol.154/ヨガインストラクター わたなべまさよさん】#2

ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスし、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載企画「もっと知りたい! ヘルスケアのお仕事」。

前編に続いてヨガインストラクター・不妊ピア・カウンセラーとして女性たちの悩みに寄り添っている、わたなべまさよさんにお話しを伺います。

前編では、妊活をしていたわたなべさんがヨガの奥深さに目覚めてインストラクターの資格を取得したことなどをご紹介しました。後編では、コロナをきっかけに始めたオンラインのヨガ教室のこと、ヨガとカウンセリングを組み合わせたわたなべさんオリジナルの妊活レッスンのこと、出雲大社相模分祠で開かれている女性向けのヨガ教室のことについて伺います。

お話しを伺ったのは…
ヨガインストラクター・不妊ピア・カウンセラー
わたなべまさよさん

10年間の妊活を経て心と身体の健康を保つことの重要性を体感。不妊に悩むカップルのためのヨガ指導とカウンセリングを行っている。さらに不妊体験者を支援するNPO法人Fineの不妊ピア・カウンセラー、宿泊リトリートや出雲大社相模分祠での女性向けヨガのインストラクターとしても活動している。

コロナをきっかけにオンラインレッスンをスタート

毎晩10時から20分間配信するオンラインレッスン。もう3年以上も続けているとか。

――会社を辞めてからは、どんな活動をなさっていたんですか?

女性のためのヨガクラスと不妊のためのヨガクラスを指導していました。不妊のクラスはヨガの後グループカウンセリングをして、心に溜まっているものを吐き出してもらっていました。

――対面での教室からオンラインに切り替わったのはコロナが関係していますか?

コロナで対面での教室がすべて取りやめになって、収入がゼロになってしまったんです。不妊体験者を支援するNPO法人のスタッフと、「これからはオンラインを活用していかなくちゃ」という話をしていて、「リアルな教室ができなくてもオンラインならできるかも」と思い立ったんです。もし私一人っきりだったら、オンラインでヨガを教えるなんて思いつかなかったでしょう。

――オンラインは週に何回ですか?

土曜を除いて毎日です。ヨガはだいたい週に1回のペースが多いんですが、不妊のクラスは週1だと心も身体も元に戻ってしまうんです。できる限り毎日やってほしいので、リアルな教室よりもオンラインの方が向いているかも…と思いました。

――毎日!? 続けることにプレッシャーを感じそうです。

始めてから3年以上経ちますが、お休みしたことがないんですよ。手を骨折したときも毎日配信していました(笑)。

どうしてもリアルタイムで配信できないときは撮りだめすることもありますが、続けることに意味があるんです。配信の時間は眠る直前なので私はすっぴんですし、このペースが私にとって心地いいんですね。

――夜のヨガは女性限定ですか?

いいえ。パートナーの方にも一緒に参加してもらっています。妊活だけでなく、不眠で悩んでいる方、更年期の症状のある方も参加してます。

眠る前のヨガはリラックスすることに重点をおいています。身体をリラックスさせて、頭の中を空っぽにするんです。男性も女性もリラックスすることが難しいようですね。でも毎日続けることで、「身体に力が入っていた」とか「息を止めていた」ということに気づけるようになります。そうなると身体の根本にある自然治癒力が目覚めて、ガチガチに固まっていた心も身体もほぐれてくるんです。

――不妊が目的の方は夜のヨガとカウンセリングがセットになっているんですね?

ご希望の方は週に1回、カウンセリングも受け付けます。カウンセリングのメインの目的は女性の悩みを吐き出させることですが、二人の間で何かこじれていたら、カップルでのカウンセリングで…というケースもあります。部外者の私が入ることで感情的になりにくくなりますし、本音をきちんと伝えるきっかけになるようです。男性から「そんな風に思っていたの?」という言葉がよく聞かれます(笑)。

――みなさんどんな風に変わっていくんでしょうか?

不妊治療をするとどうしてもストレスがかかります。ヨガとカウンセリングをして、心に溜まった不安やストレスを吐き出していくうちに「夫婦二人っきりの生活も良いかもしれない」という言葉が出てくると、自然と妊娠しているんです(笑)。最初は伏し目がちでも、凝り固まったものが緩んでいくと目力が出てきてキラキラしてきます。妊娠することだけに囚われなくなるんですね。その変わっていく様子を見守っているのがとても楽しいんです。やりがいを感じます。

――妊娠することだけが目的ではない?

妊娠だけがゴールではありません。妊娠を諦めてパートナーと二人きりの生活を選ぶ人もいれば、養子縁組をして里子を迎える人もいます。どんな選択にせよ、3か月から半年かけて凝り固まった状態から再生する過程をサポートするのが私の役目だと思っています。

――ヨガとカウンセリング、どちらも大切なんですね。

ヨガで身体を緩めながらカウンセリングで凝り固まった心をほぐす。このふたつを同時に行うと、変化のスピードが加速すると思っています。

私の元に、40歳になったばかりの方がいらっしゃいました。お話しを伺ううち、本当にやりたいのは自分の子どもを産むこと以上に、子育てをしたかったことにご本人が気づいたんです。それまで不妊治療をがっつりやっていましたが、子どもを育てるには体力も必要だということで、早々に治療を切り上げて里子を受け入れる準備を始めました。もちろん、私は提案もアドバイスもしません。自分自身で答えを見つけるように寄り添っただけです。

頭が凝り固まっていると、今やっていることにしか集中できません。スマホもアプリがいっぱい立ち上がっていると、上手く機能しないじゃないですか。それと同じです。毎週、頭の中のモヤモヤを話すことで大事なことが見えてくるんです。

フリーランスだからこそ異種・同業種のつながりは大事!

出雲大社相模分祠で女性のためのヨガ教室を開催。月に1度は宮司さんのお話もあるとか。

――対面でのレッスンが可能になってから、何か変わりましたか?

30~70代の女性を対象にしたヨガ教室を出雲大社相模分祠で、開いています。子育て中だったり仕事が忙しかったりすると、なかなか自分の内面と向き合う時間がないものです。そうなると「何となく不調」を抱えやすいもの。そんな女性たちにご自身の軸を見直していただこうと思って開きました。ここでも「再生」がキーワードになっています。

月に1回は宮司さんのお話しを伺って、その後は境内の自然を感じながらヨガレッスンをしています。あとは、産婦人科のクリニックと提携して、週に1回のペースでマタニティヨガを開催しています。

――妊活からどんどん広がっていますね。

クリニックとの提携は、先方が私のインスタを見て声をかけてくださったんです。発信し続けると、こういうこともあるんだなぁと思いました。SNSの発信は大事ですね。

――もとからSNSはやっていらしたんですか?

いえいえ。個人事業主になってから、もっとお金のことを勉強したいと思って、女性起業家たちが集まったビジネスコミュニティに参加するようになりました。そこで「インスタを100日間投稿しましょう!」という話になったんです。みんなで一緒に投稿していたら、それが好機につながりました。「妊活」「秦野市」で検索したら、私のインスタが真っ先に上がったそうです。今は投稿したりしなかったり…ですが(笑)。継続は大事ですね。

――ビジネスコミュニティからたくさんの刺激を受けそうですね。

不妊治療にはお金がかかるので、最初のうちは私のヨガとカウンセリングでお金をいただいたら申し訳ない…という気持ちが強かったんです。でも、ボランティアでヨガを教え続けるのにも疲弊してしまって。改めてお金との付き合い方を学ばなくては!と思って、ビジネスコミュニティに参加することにしました。

会計士さんが中心のコミュニティで、私のようなヨガのインストラクターもいれば、異業種の方もいらっしゃいます。いろいろなお話しを聞けるので、とても勉強になっています。

――学びの姿勢はずっと変わらないんですね。

常に新しい情報を取り入れて、アップデートしないと。自己流をずっと続けていると、自分が変わっていることやヘンなクセが付いていることに気づけません。いろいろな情報に触れているとトレンドも分かります。常識も価値観も日々、変わっていますから、今の自分に満足していてはいけません

――-今後はどんな展開を考えていますか?

まず、オンラインのレッスンをより充実させること。それから妊活中や産前産後の女性たちをサポートするための専門知識と技術をさらに習得して、妊活に関する総合的な支援をしていきたいですね。あとは、こちらの神社の境内を使わせていただくのもそのひとつですが、秦野市で兄弟が農業をやっているんです。その豊かな自然環境でリフレッシュできる特別な体験を考えていきたいです。

――今、実践なさっていることがより深く広がっていくイメージですね。

そのほかにも、ヨガを通じて受講者同士がつながったり、支え合ったりできるコミュニティづくりも考えています。それと同時に一人一人のニーズに応じた個別指導を充実させたいですね。健康状態やライフスタイルに合わせたプログラムをご提案して、受講者が目標を達成できるように気持ちに寄り添いながらサポートできればいいですね。

わたなべさん流! インストラクターとして長く続けるためのポイント

1.新しい知識や技術を常に学び続けること

2.自分の健康を大切にし、リラックスする時間を持つこと

3.変化に対して柔軟に対応する力を持つこと

ご自身の辛い体験から妊活に特化したヨガインストラクター、不妊ピア・カウンセラーとなったわたなべさん。さまざまな学びを通して、どんどん可能性が広がっているようです。

撮影/内藤健志
撮影協力/出雲大社相模分祠

Salon Data

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