ケアマネジャーは将来性のある仕事? 現状と需要を徹底解説!
ケアマネジャーとは、介護施設で勤務するヘルパーを指導・監督するとともに、利用者や利用者の家族の相談に応じる仕事を担う職業のことです。近年、少子高齢化が進んでいることで、ケアマネジャーの需要が高まり続けています。
そこで、本記事では少しでもケアマネジャーに興味がある方に向けてケアマネジャーの現状や将来性、活躍し続けるために必要なことについて解説します。併せて、主任ケアマネジャーや独立型ケアマネジャーについてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
ケアマネジャー(介護支援専門員)の現状とは?
ケアマネジャーの現状は、需要に対しての人員が足りていない状態です。少子高齢化が進む日本では、ケアマネジャーの重要性が高まっています。ここからは、ケアマネジャーの現状について深堀してご紹介します。
ケアマネジャーの数は減っている?
結論、ケアマネジャーの数は減っています。その理由は、2018年から試験が現行のものとなり受験資格が厳格化されたからです。また、コロナウイルスの影響なども受験数を大きく減らしている要因と言えます。
令和3年度については厚生労働省によると、受験者数は54,290名で、合格者数は12,662名で合格率は23.3%と発表されました。平成29年度試験以来、初めて20%を越えておりこれからある程度ケアマネジャーの数が増えていく可能性はあります。
参照元
厚生労働省 第24回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について
ケアマネジャーのお給料は安い?
厚生労働省によると、ケアマネジャーの平均月収は約32〜35万円程で、年収は約420万円と発表されました。介護職の平均収入は月収約25万円前後で、年収に換算すると300万円という調査結果があるため、ケアマネージャーは介護職の中でも高収入の部類に入るでしょう。
また、働き方によってはボーナス加算がされる企業もあるため、もう少し全体年収は高くなる可能性があります。
ケアマネジャー不要論とは?
2021年、ケアマネジャー不要論といった大きな話題が起こりました。ケアマネジャー不要論とは、財務省が介護給付費の割合を抑えるために介護に必要なケアプランを有料化しようとした内容のことです。
現在、ケアプランに本人負担はありません。
しかし、事業所にはざっくり月10,000〜15,000円/人の介護報酬費が給付されているため、その中の1,000円が利用者負担になるだけで介護給付金が削減できるということです。ケアマネジャー不要論が話題になった際、ケアプランの有料化と共に、ケアマネジャーの必要性も問われはじめました。
ケアプランが有料化されてもケアマネジャーは必要
ケアプランが有料化された際、ケアマネジャーは必要なのかといった話題にもなりました。
結論から言うと、ケアマネジャーはこれからも日本に必要な職業です。なぜなら、少子高齢化の増加や制度の複雑さがあり、知識がないとスムーズに利用できないからです。
また、AIの導入といったことも検討されましたが、ケアマネジャーの強みは高齢者に寄り添いマネジメントしていくことにあります。そのため、いくらAIを導入されたとしても人に寄り添い続けるケアマネジャーは必要になるでしょう。
現状での問題点は?
ケアマネジャーが抱える現状での問題点は以下のとおりです。
・人員不足による激務
・主任ケアマネジャーの確保が急務
1つずつ見ていきましょう。
人員不足による激務
ケアマネジャーが抱える現状の悩みとして、人員不足による激務が挙げられます。ケアマネジャーは数十人を一人でマネジメントすることが一般的になっています。すでに一般的なマネジメント手法が激務になっていますが、ケアマネジャーの試験が厳格化されたことでさらに人員が不足しマネジメントする人数が増えました。
例えば、施設ケアマネジャーは、利用者100人に対して1人でマネジメントするということもあります。また、雑務が多すぎたり5年に1度資格更新したりなど他業務も多忙です。
主任ケアマネジャーの確保が急務
日本のケアマネジャー業界では、主任ケアマネジャーの確保が難しくなっています。2021年3月に改訂された介護保険法では、「居宅介護支援事業所の管理者は主任ケアマネージャーでなければならない」と発表されました。また、2027年までに主任ケアマネジャーが属さない事業所は廃業になる可能性があります。
そのため、主任ケアマネジャーの確保が多くの事業所で必要になりました。とはいえ、主任ケアマネジャーを目指す以前に、ケアマネジャーを目指す方も少なくなっているのが現状です。まだまだ、ケアマネジャーや主任ケアマネジャーの需要度が高まり続けています。
ケアマネジャーの需要は高い! 将来性を解説
ケアマネジャーは今後、需要を高め続け、重宝される職業になります。なぜなら、少子高齢化の進行やAIでは補えない業務が多いからです。
ここからは、ケアマネジャーの需要が高まり続けていて将来性がある職業だという理由を2点詳しくご紹介します。
今後も高い需要は続く|高齢化の進行
少子高齢化が進行している日本では、ケアマネジャーの需要は高まり続けています。日本の高齢化率は28.9%、日本の総人口1億2550万人の中で65歳以上の人口は3621万人です。これからも高齢者化が進む日本では、高齢者に寄り添うケアマネジャーの重要性が高まります。
ケアマネジャーも高齢化
高齢化が進行していることで、ケアマネジャーの需要が高まっているとはいえ、ケアマネジャーの若い人員が少なく、高齢化が進んでいます。ケアマネジャーの平均年齢は、60歳以上が約20%、50代が約30%、40代が約30%になります。あと20年すると、20〜30代のケアマネジャーは少数になるでしょう。そのため、若手のケアマネジャーの育成も待ったなしの状況になっています。
AIには任せられない仕事
ケアマネジャーは、サービス利用者や家族とよく話し合い、一人一人に合った介護プランを決める必要があります。
また、感情を読み取り、利用者の変化に対応しなくてはいけないときが必ずあります。AIでは、感情の読み取りができません。一人一人に合った介護プランや雑務などはAIに任せられるかもしれませんが、感情の読み取りが必要になる業務や細かな対応は、これからもケアマネジャーが担っていくでしょう。
ケアマネジャーとして活躍し続けるために必要なこととは?
ケアマネジャーとして活躍し続けるために必要なことは以下の2点です。
1.より質の高いアセスメントを目指す
2.スキルアップを怠らない
併せてスキルアップの1つの方法として「主任ケアマネジャー」「独立型ケアマネジャー」の概要や特徴についてご紹介します。
1. より質の高いアセスメントを目指す
ケアマネジャーとして活躍し続けるためには、より質の高いアセスメントを目指す必要があります。
アセスメントとは、利用者がどのような介護を必要としているのかを明確にし、有効な対策を提案する業務の手順のことです。アセスメントが高ければ、利用者への介護プランの質も自然と高まります。アセスメントを目指すには、専門的な観点から課題を抽出したり有効な対策を検討・提案したりする能力が必要になります。そのためには、日々の勉強が欠かせないでしょう。
2. スキルアップを怠らない
ケアマネジャーとして活躍し続けるためには、スキルアップを怠らないようにすることも大切です。書籍や資格更新などのタイミングでインプットを増やすといったスキルアップ方法がおすすめです。
特に、5年に1度行われる資格試験では、必要な知識やポイントが変わるため、常に自主学習が必要になります。
また、スキルアップ・キャリアアップの方法として「主任ケアマネジャー」「独立型ケアマネジャー」がおすすめです。
主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)
スキルアップ・キャリアアップの方法の一つとして、主任ケアマネジャーを目指す
方法があります。主任ケアマネジャーの業務内容は以下のとおりです。
・ケアマネジャーへの助言や指導
・地域の課題や特性を見極めてケアシステムを進める
主任ケアマネジャーにはケアマネジャーよりも深い知識と幅広い視野が求められます。そのため、主任ケアマネジャーを目指すことで介護業界としての価値を高める存在として活躍し続けることになるでしょう。
独立型ケアマネジャー
スキルアップ・キャリアアップの一例として、独立型ケアマネジャーを目指す方法もあります。独立型ケアマネジャーとは、自ら介護支援事業所を経営し、活動し続けるケアマネジャーのことです。独立型ケアマネジャーを行う利点は、自由度が高いことや収入が大きくなることです。
また、経営方針なども自身で定められたりと自分自身のスキルアップを高めることはもちろん、経営知識なども学べるため社会からの価値が高まります。
ケアマネジャーは需要が高く将来性もあるお仕事!
少子高齢化が進む日本では、ケアマネジャーの重要性は高く将来性もあるお仕事です。とはいえ、2018年から試験が現行のものとなり受験資格が厳格化されたことや人員不足から激務になっているため、ケアマネジャーは減少しています。
断言できるのは、ケアマネジャーは今後も必ず需要が高まり続けるということです。少しでも介護業界に興味がある方やケアマネジャーに興味がある方は、ぜひ目指してみてはいかがでしょうか。
引用元サイト
内閣府 令和4年版高齢社会白書(全体版)
厚生労働省 第24回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について