ガイドヘルパー(移動支援従業者)になるための資格は? おすすめの学校・スクール5選を紹介!
ガイドヘルパーの仕事に興味を持っている人は、少なくないのではないでしょうか。しかし、どうすればなれるのか、必要な資格とはどんなものなのか、知らない方もいるかもしれません。
そこで、今回はガイドヘルパーになるために求められる資格を解説し、資格を取れる学校を紹介します。ガイドヘルパーを目指したい方は、ぜひ役立ててみてください。
ガイドヘルパー(移動支援従業者)とは?
ガイドヘルパーは、正式名称を移動支援従業者といいます。「全身性障害」「視覚障害」「知的障害」を持つ方が外出や日常生活を送れるように、サポートや介助をするのが仕事です。おもに、移動の介助、食事や排泄の介助、外出先での手続きなどをおこないます。
全身性障害者移動介護従業者|四肢に障害のある方をサポート
全身性障害とは、脳性麻痺・疾患やケガによる筋力低下などが原因で、四肢体幹や全身にわたって障害が生じている状態のことをいいます。そういった方々をサポートするのが、全身性障害者移動介護従業者です。
おもに、安全な移動ができるように支援をおこないます。たとえば、車椅子を自分で操作できる人の場合は、車・歩行者・自転車に気をつけて移動を誘導する、信号を渡り切れるように部分的に介助するといったことがサポート内容です。
同行援護従業者|視覚に障害のある方をサポート
同行援護従業者は、視覚障害によって外出時に生じる問題に対してサポートをおこなう仕事です。外出時の歩行はもちろんですが、公共交通機関を利用するときの移動のサポートなどもおこないます。
ほかにも、外出先での代読や代筆の支援、食事やトイレの介助も業務に含まれます。
なお、同行援護従業者については、下記の記事でも詳しく解説しています。
ガイドヘルパーの同行援護とは? 同行援護従業者になる方法と資格取得のメリットを解説
行動援護従業者|知的・精神障がい者の方をサポート
行動援護従業者は、知的障害や精神障害がある人に対してサポートをする仕事です。おもに移動の支援や外出時の排泄支援をおこないます。
知的障害や精神障害を抱える人は、行動特性や性格などから外出時に問題や危険が生じてしまうことも少なくありません。その特性や性格に応じたコミュニケーションをとり、外出時の問題や危険から対象者を守ることもこの資格の大切な役割となっています。
行動援護従業者についてもっと詳しく知りたい方は、下記の記事もあわせてご覧ください。
知的障害をサポートするガイドヘルパーとは? 行動擁護従事者の仕事内容と目指す方法を紹介
移動支援従業者になるには|目指す移動支援従業者の資格が必要
移動支援従業者は、「全身性障害者移動介護従業者」「同行援護従業者」「行動援護従業者」の3種類にわけられることがわかりました。移動支援従業者になるためには、それぞれにあった資格が必要です。
そこで、ここからは、各資格の概要とどのような研修を受けるのかについて解説していきます。なお、いずれも短ければ3~5日間程度で取得可能です。介護に関する資格があれば一部科目が免除される場合もありますが、無資格でも受けられます。
全身性障害者移動介護従業者養成研修
全身性障害者移動介護従業者養成研修は、全身に麻痺や機能障害がある人が外出をする際にサポートをおこなえる資格です。12時間の講義と4時間の演習を受けることによって取得できます。
講義の科目は「重度肢体不自由者における障害の理解」「介助に係わる車いす及び装具等の理解」など、演習科目は「抱きかかえ方及び移乗の方法」「生活行為の介護」などです。
同行援護従業者養成研修
同行援護従業者養成研修は、視覚に障害を持つ人が外出をする際に移動の援護などをおこなう資格です。一般課程を修了したのち、応用課程を受けることによって取得できます。
全身性障害者移動介護従業者と同じく講義と演習が必要で、講義の科目は「視覚障害者(児)福祉の制度とサービス」「同行援護の基礎知識」など、演習科目は「基本技能」「応用技能」です。
行動援護従事者養成研修
行動援護従事者養成研修は、精神障害や知的障害のある人が外出をする際に、安全に移動できるよう援護・介助をおこなう資格です。所定の講義と演習を受けることで取得できます。
講義の科目は「強度行動障害がある者の基本的理解」「強度行動障害と生活の組み立て」など、演習科目は「行動障害の背景にある特性の理解」「危機対応と虐待防止」などです。
精神・知的障がい者は強度行動障害を持つ人も多く、危険を避けて安全に外出できるよう支援するため、他の2資格に比べて演習科目が多いのが特徴といえるでしょう。
介護福祉士は移動支援従業者の資格がいらない?
介護福祉士が移動支援従業者として働くにも、基本的には上記のような資格が別途必要です。ただし、一部の科目が免除されます。
さらに、介護福祉士であり、かつ視覚障害者(児)の福祉事業に1年以上従事した経験がある場合は、同行援護従業者の資格があると認められます。
移動支援従業者の仕事を探している人は、ぜひ下記のページをチェックしてみてください。
移動支援従業者の資格を取得するには?
移動支援従業者になるには、資格を取得する必要があることはおわかりいただけたのではな
いでしょうか。ここからは、移動支援従業者の資格を取得するための受験要項やカリキュラムなどについて、詳しく見ていきましょう。
試験はなく養成研修を受講する必要がある
移動支援従業者の3つの資格は、どれも試験はありません。それぞれに対応した養成研修を受講し修了すれば、資格を取得することができます。ただし、都道府県または市町村の指定する研修を受講する必要があるため、各自治体に問い合わせ、どの研修を受講すればよいのか相談してみるとよいでしょう。
受講資格は講座を開催する業者によって異なる
都道府県や市町村などが指定する講座を受講する必要があるため、お住まいの地域によって、受講する講座が異なります。ここでは、東京都の全身性障害者移動支援従業者の講座を例に挙げて見ていきましょう。
東京都の全身性障害者移動支援従業者は、東京都福祉保健局が管轄しています。この東京都福祉保健局が公開している資料を見てみると、「申込み条件等」という欄があることにお気付きでしょうか。
「無資格でも受けられる」と前述した通り、移動支援従業者の資格自体は無資格でも取得できるものですが、講座によっては「初任者研修またはヘルパー3級以上の取得者」といった条件が設けられているものもあるので、注意してください。
研修講座のカリキュラムは?
取得したい資格によって、講座のカリキュラムがかわります。それぞれの研修講座のカリキュラムを詳しく見ていきましょう。
全身性障害者移動介護従業者のカリキュラム
全身性障害者移動介護従業者のカリキュラムは、12時間の講義と4ないし5時間の演習で構成されています。そのなかの一部の研修は、初任者研修・実務者研修・介護福祉士の資格を有していると免除されます。
なお、演習の時間は、講義を開催している学校や団体によって違います。
全身性障害者移動介護従業者のカリキュラムの一覧は、次の通りです。
同行援護従業者のカリキュラム
「同行援護従業者養成研修」を修了させると、視覚に障害をもつ方の移動支援を行う、同行援護従業者の資格を取得することができます。同行援護従業者のカリキュラムは、11ないし12時間の講義と8ないし9時間の演習、合計20時間で構成されています。
時間数は、全身性障害者移動介護従業者の講座と同じく、講義を開催している学校や団体によって異なります。
サービス提供責任者は、さらに12時間の応用課程の受講も必要です。
同行援護従業者一般課程のカリキュラムは、次の通りです。
行動援護従業者
「行動援護従業者養成研修」を修了すると、知的・精神的な障害を持った方の移動支援ができるようになります。行動援護従業者養成研修は、10~14時間の講義と10~14時間の演習、合計24時間で構成されています。
なお、研修を主催する学校や団体、開催される地域によって、科目や時間数が異なります。
行動援護従業者のカリキュラムは、次の通りです。
移動支援従業者を目指せる学校5選を紹介
1.藤仁館医療福祉カレッジ
藤仁館医療福祉カレッジは、関東に7校ある介護系専門学校です。移動支援従業者としては、「同行援護従業者養成研修」「行動援護従業者養成研修」の資格を取得できます。
ただし、校舎によっては移動支援従業者の研修を開講していないところもあるため、日程も含め、ホームページで開講表を確認しましょう。年に複数回開かれているため、自分に合う日程を選んでみてください。
2.三幸福祉カレッジ
三幸福祉カレッジは、北海道から沖縄県まで全国9カ所にある福祉教育の専門学校です。移動支援従業者の3つの資格すべてを取得できます。
ホームページでは、チャット形式で開講日程や受講料などを確認することが可能です。条件を満たすと受講料が割引になる制度もあるので、ぜひチェックしてみてください。
3.未来ケアカレッジ
未来ケアカレッジは、関東・東海・関西・九州エリアで展開されている介護系スクールです。移動支援従業者の3つの資格をすべて学ぶことができます。
なお、欠席した場合は、別の日程での開講時に無料で振替出席することが可能です。その際、普段受講している教室とは違う場所で受講することもできます。
4. 日本キャリアパスアカデミー
日本キャリアパスアカデミーは、介護福祉士やケアマネジャーなど介護関連のさまざまな知識や技術を学べるスクールです。移動支援従業者としては、「同行援護従業者養成研修」を取得できます。
3日間の「一般課程」で同行援護従業者の資格を得たのち、2日間の「応用課程」を受けることにより、同行援護従業者のサービス提供責任者としての資格を得ることも可能です。
5. 湘南国際アカデミー
湘南国際アカデミーは、神奈川県にある実務者研修に特化したスクールです。移動支援従業者としては、「全身性障害者移動介護従業者養成研修」を取得することができます。
カリキュラムは3日間で、筆記試験や実務試験がないので、テストが苦手な方も安心。修了するだけで全身障がい者の外出をサポートできます。
移動支援従業者の資格取得にはどれくらいの費用がかかるの?
通うスクールやどの種類の資格を選ぶかによっても変わりますが、移動支援従業者の資格を得るための費用は、約20,000~45,000円前後かかります。
有資格者は免除科目があるためさらに安くなる可能性があり、スクールによっては割引もあるので、費用面が気になる方は各学校で比較して検討してみてください。
移動支援従業者の資格を取得する2つのメリットとは?
つづいては、移動支援従業者の資格を取得するメリットをお伝えします。
1. 担当できる業務が増える
たとえば、これまで他の介護業務に従事していた方の場合、移動支援従業者の資格取得によって担当できる業務が増え、仕事の幅が広がります。利用者の散歩や買い物に付き添うことができるようになり、転職の際のアピール材料にもなるでしょう。
2. 1対1でじっくり向き合う介護ができる
移動支援従業者の仕事は1対1での援護なので、より利用者にあった支援をおこなうことが可能です。じっくり向き合う介護ができるため、利用者の満足度も高めやすくなるでしょう。
移動支援従業者の主な就職先
移動支援従業者の資格取得者がどんな場所で活躍できるのか、主な就職先について見ていきましょう。
訪問介護事業所
訪問介護事業所は、介護保険制度にもとづいて利用者の介護を行う事業所です。利用者が施設に通所するのではなく、職員が利用者の自宅を訪問して介助などのサービスを提供するのが特徴です。
一人で行動することが難しい利用者の、通院や買い物といった外出に同行して、必要なサポートを行います。
障がい者支援施設
障がい者支援施設は、施設の入所者に対し、一日を通して日中だけでなく夜間の日常生活の介助も提供する施設です。
障がい者支援施設で働く移動支援従業者は、外出時の同行とサポートだけでなく、食事やトイレ、入浴といった日常生活の介助も行います。
社会福祉協議会
公的機関である、社会福祉協議会に所属する移動支援従業者もいます。社会福祉協議会に所属する職員は、特定の施設で働くのではなく、利用者の要望に応じてさまざまな場所へ派遣され、必要なサポートや介助を行います。働く場所や介助内容が固定されないため、さまざまな経験を積むことができます。
移動支援従業者になるには資格が必要!
移動支援従業者とは、ひとりで外出することが困難な人に対してお手伝いをするのが仕事です。対象者は大きく3種類にわけられ、全身性障害・視覚障害・知的障気・精神障害となります。
資格は、都道府県・市町村・福祉系の学校が開催する研修を修了することで取得可能です。なお、それぞれの障害にあわせた資格を取得する必要があります。
自分がどの資格を取得したいかをよく考えたうえで、自分に合った講座を受講して移動支援従業者を目指しましょう。
引用元
越谷市全身性障害者介護人派遣事業実施要綱
広島県:(参考資料 3) 同行援護従業者等の取扱いについて(平成30 年3 月31 日までの経過措置) 1 同行援
福岡県:居宅訪問系サービス従業者の資格要件
社会福祉法人荒川区社会福祉協議会:視覚障がい者・知的障がい者移動支援サービス事業