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ケアマネージャ
特集・コラム 2019-07-30

【介護の教科書】施設ケアマネジャーと居宅(在宅)のケアマネジャーの違い

ケアマネジャー(介護支援専門員)には大きく分けて、「施設ケアマネジャー」と「居宅(在宅)ケアマネジャー」の二種類があります。
施設でも居宅でも、ケアマネジャーになるための資格に違いはありませんし、どちらも略称で「ケアマネ」と呼ばれているケアマネジャーですが、仕事内容はまったく異なります。

施設ケアマネジャーの仕事

介護保険施設

介護保険施設(特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・療養病床)で働くケアマネジャーは、施設利用者(高齢者)のケアプラン(課題分析をし、具体的なサービス計画をまとめたもの)を作成することが本来の役割です。しかし、実際の現場では、人手不足等の関係で介護職や生活相談員などを兼任することが多いようです。本来のケアマネジャーとしての業務以外に、介護事業所で介護生活を送るお年寄りの要介護認定の更新など、いろんな申請手続きの代行や、利用者本人やその家族の悩み相談や要望を聞くなどの生活相談を行います。
当然、他の介護スタッフと同様に介護や介助を行う必要があるので、夜勤に入ることも珍しくありません。

地域包括支援センター

地域包括支援センターでは主任ケアマネジャーが働きます。主任ケアマネジャーとは、5年以上ケアマネジャーとして経験を積んだ人が研修を受けることにより取得する資格です。
主任ケアマネジャーには介護予防ケアプランの作成や管理業務など、多くの役割があります。

グループホーム

利用するお客様の数が少ないため、ケアマネジャーの仕事は管理職、生活相談員の仕事が多く、施設によっては要介護者への介護サービス業務を兼任します。

居宅ケアマネジャーの仕事

居宅ケアマネジャーとして入社すると、居宅介護支援事業所に勤めることになります。居宅介護支援事業所は、在宅で介護を受けている高齢者に居宅の介護保険サービスを提供するための支援を行うところです。その中で、ケアマネジャーが主体となって、次の業務を行います。

訪問調査

要介護認定の申請した人の自宅に訪問し、日常生活の動作や行動をチェックします。この調査結果記録は、介護認定審査の一次判定に必要なものであり、要介護度決定のもとになる材料のひとつですので非常に重要な調査です。

要介護認定申請及び介護保険関連のさまざまな手続きの代行

介護保険サービスを利用するには、市区町村への申請手続きが必要です。申請は本人か家族が行うことになっていますが、ケアマネジャーが申請を代行することもあります。

在宅介護に関する相談を受ける

要介護度が決まったら、利用者はケアマネジャーを選び契約をします。契約を交わしたケアマネジャーは利用者であるお年寄りのお住まい(自宅)へ行き、介護についての費用などさまざまな相談や希望を聞き出してケアプランの見直しに役立てます。利用者とケアマネの相性の問題もありますが、ケアマネは介護の専門家でありながらも、利用者やその家族が気軽に質問・回答できるような存在であることが良い関係性を築けるコツです。

ケアプランの作成

利用者の相談を受け、心身状態・本人の希望や事情、状況に応じてケアプランを作成します。

サービス担当者会議(ケアカンファレンス)

ケアプランの確認、修正、他の事業所の相談員やサービス提供責任者との連携を強くする「サービス担当者会議(ケアカンファレンス)」という制度があり、その会議に参加します。サービス担当者会議はケアマネジャーが主宰となって実施します。

モニタリング

ケアプラン作成後もサービスの実施状況や利用者の病気の状態、ニーズの変化などを確認し、必要であれば再度課題分析(アセスメント)を行い、ケアプランの変更をします。

関連機関と連絡・調整

以下のような介護サービスを提供する事業者との連絡調整を行います。
[訪問介護][訪問看護][訪問入浴][デイサービス][デイケア][ショートステイ][福祉用具貸与][特定福祉用具販売][住宅改修]

給付管理業務

給付管理業務とはデイサービスなどのサービス提供事業者に市区町村から介護報酬が適正に支払われたか、利用者からも自己負担分が適正に徴収されているかなどを管理する業務です。サービス利用票やサービス提供票を作成し、利用者に対してサービスが計画通り提供されたかを毎月確認し、給付管理用表を作成します。

居宅ケアマネは、施設ケアマネのようにお年寄りのお世話(介護)をすることはほとんどありません。介護は訪問介護員(ホームヘルパー)やデイサービスのスタッフが行います。
通常、事務的な仕事が多い立場(職業・職種)のように思われがちな居宅ケアマネですが、実際は体力とフットワークも必要なのです。

ケアマネの一日の流れ

施設で働くケアマネジャーは、施設の種類によって仕事の流れは変わります。居宅ケアマネジャーであっても事業所やその日の状況によっても仕事の流れは変わりますので、あくまでも一例ではありますが、ケアマネの一日の流れをご紹介します。

 施設ケアマネ居宅ケアマネ
8:30出勤・ミーティング
9:00電話応対・相談業務・要介護認定の書類作成代行・ケアプラン作成など
※フロアリーダーと相談し、介護作業か事務作業を決めます。状況により予定変更は多々あります。
出勤・朝礼・申し送りの確認・メールチェック・夜間問い合わせの対応など
9:30
10:00
10:30担当利用者の自宅に訪問。利用者の状態モニタリングやサービス内容の確認、来月のサービス計画表の配布など。
11:00
11:30食事介助
12:00
12:30昼食(昼休み)昼食(昼休み)
13:00
13:30電話応対・相談業務・要介護認定の書類作成代行・ケアプラン作成など
※フロアリーダーと相談し、介護作業か事務作業を決めます。状況により予定変更は多々あります。
サービス担当者会議。利用者と訪問介護ステーションの管理者、デイサービス事業所の担当者等と、意見交換やサービス内容の変更について協議します。
14:00
14:30
15:00
15:30サービス担当者会議の結果から、今後のサービス計画表を作成します。また、新規利用者のケアプラン作成や、電話対応、事務処理なども行います。
16:00
16:30
17:00ミーティング
17:30退勤
18:00
18:30退勤(緊急時用の電話を携帯)

よくある質問・相談

ここでは、リジョブに寄せられたご意見の中からケアマネジャー関連のよくあるご質問・ご相談に無料で回答していきます。

Q1.施設ケアマネと居宅ケアマネ、業務内容はどちらが大変ですか?

A1.施設には施設の、居宅には居宅の大変さがありますので一概には言えません。施設ケアマネは介護と兼務になってしまうので大変ですが、居宅のケアマネはカンファレンスなどいろんな遠いところに出かけたり、いろんな人と関わったりする必要があるのでそういう意味で大変です。「介護の仕事もしたい」という人は施設ケアマネで良いでしょうし、ずっと動き回るのは苦にならないという人は居宅ケアマネの方が良いかもしれません。

Q2.時間変則の勤務が苦手なのですが、居宅ケアマネの方が良いでしょうか?

A2.施設ケアマネの場合は介護の仕事もするため、夜勤になることもあります。そのため変則勤務になってしまいますが、居宅ケアマネの場合はそれがありません(※但し、夜中に緊急の連絡が入ってしまうことはあります)。
仕事のオンとオフを規則的に取りたい場合などは居宅ケアマネとして働く方が良いでしょう。応募の際は求人広告ページの勤務時間、夜勤があるかなどを確認するようにしましょう。

Q3.居宅ケアマネと施設ケアマネ、給料が高いのはどっちですか?

A3.平均値で見ると、施設ケアマネの方が高いようです。とある調査によると居宅ケアマネの平均給与額面は23万円前後であり、手取りで20万円前後だと言われています。居宅ケアマネは基本給で20~30万円と幅があり、更に深夜手当などの手当が付きます。年収で計算すると350~500万円程度で、これにも幅があります。中には600万円貰える人もいるようですが、これらの給与は運営母体によっても変わってきます。社会福祉法人よりも株式会社の方が高い傾向にありますし、中でも大手の方が高くなるとも言われています。

まとめ

ケアマネジャーと高齢者は医療業界で言うところの医者と患者の関係です。一般的な高齢者は介護サービスの知識をほとんど持っていないため、介護サービスの選び方のポイントもわかっていません。そのため、ケアマネから提案されたサービスに対して疑いを持たず利用していることがほとんどです。
施設ケアマネであっても居宅ケアマネであっても、自分自身が高齢者の立場になって、利用者が魅力を感じるサービスを提供しなくてはなりません。
高齢者にとってのケアマネジャーは信頼するパートナーでもあるのですから。 

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