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ヘルスケア 2022-09-13

地方で長く活躍するには、信頼されるコミュニケーションと明確なビジョンが大事【院長 鈴木 智之様さん】#2

地方でヘルスケア事業に携わっている方に、集客や売上アップのための取り組みについてインタビュー。

今回は、愛知県内で鍼灸院と整骨院の2店舗を経営する院長の鈴木 智之さんにお話を伺います。

前編では、経営者になるまでの経緯や理念、整骨以外に展開している美容メニューについて伺いました。後編となる今回は、整骨と美容の二本柱のサービスに力を入れている鈴木さんが新たに頑張りたいことやスタッフ育成、経営を目指す方へのアドバイス、今後の目標についてお伝えします。

お話を伺ったのは…
院長 鈴木 智之様さん

愛知県内にある明治国際医療大学へ進学し、鍼灸について学ぶ。その後、実家のお寺を継承するため大本山総持寺で僧侶として1年間修行。鍼灸だけではなく、整骨の資格を取得するため米田柔整専門学校へ入学し、柔道整復師の免許を取得。卒業後、整骨・整体の派遣会社で約10年間勤務し、義父の整骨院で8年働いたのち、経営者となり現在愛知県内で二店舗開業。

理想像に近づくために月1回の個人ミーティングでアドバイス

毎月1回行われる個人ミーティング。「相手の意見を尊重し、こちらの意見を押し付けないように気をつけています」。

 

――整骨だけでなく美容も注力していますが、今後新たに力を入れていきたいことはなんでですか?

子どもの運動を支援・サポートするトレーナースタッフを取り入れていきたいと考えています。最近、運動不足や無理な運動によって発症してしまう「ロコモティブシンドローム」という症状を訴える子どもが多く見受けられるようになりました。無理なトレーニングをして足腰を自由に動かせなくなるというのは、将来の子どもの才能を潰してしまっている可能性にもなりえます

そこで、正しい知識と運動法を熟知しているトレーナーが必要だと感じました。子どもは限界を分かっておらず、無理をしてしまうことが多い。そこをカバーできるトレーナースタッフを構築していきたいです。目先の目標としては、一緒に働いていただける方を見つけることが課題ですね。

――スタッフ探しが今後の課題につながるのですね。では、鈴木さんがスタッフを採用する際に大事にしているポイントはなんですか?

元気よく挨拶ができて将来のビジョンが明確に描ける人ですね。

――採用した後、スタッフの教育面で心がけていることはなんですか?

こちらの意見を押し付けすぎないようにすること、将来の自分の姿がイメージできるようになってもらうことです

具体的にはスタッフが20年後にどうなりたいか、将来像を聞き出してそのために何が必要なのか?を考えるための個人ミーティングを月一で励行しています。どういう計画を立てれば理想像に近づけるのかアドバイスをして、個人のモチベーションアップに繋がればいいなと思って取り組んでいます。

他にもコミュニケーションの仕方を指導していますが、これは伝えることが非常に難しくて…。密接に関わり合い繋がりが深い地方で開業していることもあり、コミュニケーションについては徹底的にレベルを上げるよう指導しています。今後も院を経営していくために大事なことだと感じています。

相手を「尊重する」コミュニケーションを意識して、地域の方と良好な関係を保つ

スタッフとの距離感を大切にしている鈴木院長。仲の良さが伺えます

 

――やはり地方で経営していくためにコミュニケーションは欠かせないのですね。レベルを上げるといいますと、どういったことに気をつけていますか?

そうですね、欠かせないです。というのも、地方は都心と比べて繋がりが深いので、口コミがすぐに広がります。そうすると口コミが良くも悪くも売り上げに影響してくるので、悪い印象を与えないように対応し、いいイメージを持っていただくためにコミュニケーションは大事。

何か指摘される時って、好きな人から言われるのと嫌いな人から言われるのって同じ内容でも捉え方が変わってきますよね。コミュニケーションは、とにかく信頼関係が大事。自分だけが正しいという思い込みはよくないですし、まずは相手の気持ちを聞く姿勢が重要です。相手の意向を聞き取ってお客様が求めている答えを用意をした上で、こちらからのアドバイスや大事なことは漏らさずにお伝えするようにしています。そのようなコミュニケーションができると心を開いていただけますし、お客様との信頼関係が築かれ、より良好な関係性が保たれるように。しかし、普段から意識していなければできないことなので、私はもちろんスタッフには普段の施術時から心がけてもらうように促しています。

――経験が必要そうですね。

そうですね。私も急にできたわけではありませんし、少しずつ経験値が積み重なってきた結果なので。時間はかかるかもしれませんが、絶対にわからないといけないことなので根気強く伝えていこうと思っています。

――コミュニケーションの指導以外に、経営をしていて大変だと感じることはなんですか?

売り上げが安定しないことですね。いい月もあれば悪い月もあって、頑張った分だけ数字に反映される。常に先を見て走っていかなければなりません。そのためには、軸となるものが必要です。定まっていない状態での経営は難しいと感じますね

地方で経営するなら「明確なビジョン」が必要不可欠

――地方で経営していくためには、明確なビジョンが必要なのですね。

そう感じます。ただお金を稼ぎたいとか利益のことだけ考えて開業しても地域の方には見破られますし、うまくいかない。綿密に立てたビジョンの元、これだけの収益が見込める、というところまで計画しておかなければなりません。ただ、覚悟を持って挑めば、やりがいは感じられるし楽しいと思えるはずです。

――では、地域と密接に関係していくことを踏まえて、鈴木さんの今後の目標についてお聞かせください。

最終的な目標は、理念にもあるように「笑顔そうぞう」を具現化すること。具体的には、福祉と医療と保育の複合施設を作りたいと考えています

福祉・医療面では、高齢者の体調管理や福祉サービスはもちろん、子どものロコモティブシンドロームの予防にも繋げられます。また、高齢者の方と子どもが触れ合う機会が生まれると昔の文化や歴史を継承できてお互いに良好な関係性が築けると思うんです。高齢者も生きがいになり子どもも学べて知識が増える、というような。「笑顔そうぞう」にかなり直結した目標であると思っています。

――そのために取り組んでいることはありますか?

ホールディングスの設立を目指しています。正直、規模も大きいですし一人では難しいところがあるので仲間を募って一緒に取り組んでいける方達と模索中です。まだまだ同業者の方達も募って、仲間を増やして目標達成を目指していきます!

ヘルスケア事業を地方で経営していくための三か条

1.お客様と働く側のニーズを擦り合わせる

2.身近なお客様の声を聞き、都度サービスに取り入れる

3,コミュニケーションを大事に、お客様との信頼関係を築く


「笑顔そうぞう」という自身の目標だけでなく、スタッフの将来まで一緒にそうぞうする姿から、経営者としても教育者としても熱い気持ちを感じました。地方で経営を検討されている方はぜひ参考にしてみては。

取材・文/東菜々(レ・キャトル)

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information

かえる鍼灸整骨院
住所:愛知県江南市村久野町平河65
TEL:0587-81-8114

海と空のくじら整骨院
住所:愛知県一宮市浅野八幡裏2
TEL:0586-82-5919

※写真は「海と空のくじら整骨院」

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