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ヘルスケア 2023-04-21

知ってもらう努力、断らない泥臭さで多方面から求められる「専門家」に【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事vol.77/アスリートゴリラ鍼灸接骨院 高林孝光さん】#2

「ヘルスケア業界」のさまざまな職業にフォーカスし、その道で働くプロに、お仕事の魅力や経験談を語っていただく連載企画「もっと知りたい! ヘルスケアのお仕事」。

前回に続き、東京都足立区にある「アスリートゴリラ鍼灸接骨院」院長の高林孝光さんにインタビュー。前編では、高林さんがヘルスケアの仕事についたきっかけや、お仕事で大切にしていることを教えていただきました。

後編では、接骨院の経営術についてフォーカス。これから柔道整復師を目指す方へのアドバイスもお聞きします。

お話を伺ったのは…
「アスリートゴリラ鍼灸接骨院」院長 高林孝光さん


鍼灸師・柔道整復師。治療家として延べ10万人以上を施術し、多くのアスリートの治療実績を持つ。スポーツ障害に精通する専門家として講師活動や子ども向けの筋トレ指導も。『たった10秒!子ども筋トレで能力アップ』(さくら舎)など著書多数。

自分が関わった人が夢を叶え、脚光を浴びるのがうれしい

スポーツ障害の専門家としてメディアにも多数登場している高林さん。
著書も多数出版されています

――高林さんにとって柔道整復師のお仕事の魅力とは?

ひとつは開業権があるので、自分で判断して方向性を決められること。自分でしたいことができるというのが、一番いいところかなと思います。その分責任もありますが、だからこそ一生懸命できる。

またやりがいとしては、自分が関わった人たちが活躍しているところを見られることが大きいです。私の場合はスポーツ選手や芸能人の施術も多いので、毎日テレビや新聞、雑誌などのなかに、誰かしら施術した人がいるんです。自分が関わった人に光が当たったときは、すごくやりがいを感じますよね。

試合に帯同して優勝したりすると、自分のことのように嬉しいし感動します。そんな、自分が見られなかったものを、選手に見せてもらえている。例えば甲子園の砂を持ってきてくれたり、ボールやユニフォームを持ってきてくれたりもするんです。そんな風にしてくれるのは、自分が何かしら彼らの助けになれたからなのかなと思うと、すごくうれしいです。

――接骨院の経営において大切なことは何だと思いますか?

施術をして結果が出せるというのは当然の話なんですが、今は腕がいいからメディアに取り上げられたりお客さんが来るという時代ではないんです。だから、自分から知ってもらう努力をしないといけません。知ってもらえなければ、救える人も救えない。

私は、自分からとにかく本を書きました。10年くらい仕事をすれば、誰かに教えられることが一つは出てくる。そこを本として形にすると、その分野に特化した先生として取り上げられるようになるんです。

全国の本屋さんに接骨院のチラシを置いてはもらえないけど、本なら勝手に置かれます。例えば接骨院を探していてホームページを見たときに、本を出している先生と出していない先生なら、前者に見てもらいたいじゃないですか。私の場合は運よく全国の本屋さんに置いてもらえたので、本当に全国からお客さんが来てくれます

インパクトを与えることで認知度を高め、選ばれる治療院に

インパクトのある接骨院の外看板。
著書のタイトルなどもキャッチーさを大切にしているそう

――本を書くことが集客につながるんですね。

そうですね。本を出すと、メディアにも取り上げられやすくなります。今は雑誌や週刊誌がウェブ記事もやっているので、誌面に出たらウェブ記事にもなる。その記事がYahoo!ニュースのトップに出たときは、すごく反響がありました。結果、テレビに出るまでになったんです。現在は、フジテレビの「ホンマでっかTV」で運動機能評論家としても認知されています。

そうなると、さらに多くのお客さんが来てくれるようになりますよね。やっぱりメディアの力はまだまだ大きいなと感じます。

――集客につなげるための出版の戦略などはありましたか?

どうしたら話題になるかというのは考えますね。例えば昨年「子どもを救いたい」という想いから、子どもの筋トレの本を出しました。これを届けるにはどうするか。今は雑誌も読者層が高齢化しているので、ターゲットはおばあちゃんたちなんです。そこで「こんな孫世代がいっぱいいるんですよ」という、インパクトのある言葉を掲げる。

例えば当時は「ダメな○○」「残念な○○」というのが流行っていたので、そこを踏まえて子どもたちの体のことを伝えるキャッチーな言葉を考えました。そこで「万歳できない子どもたち」というフレーズでメディア向けのプレスリリースを出したんです。それが見事バズり、多くのメディアに取り上げられました。結果、目指していたターゲットに届けることができた。

まだ他の人が言っていないことをキャッチーに伝える。すると世の中にインパクトを与えることができるんですよね。

――なるほど。他にも集客のための店舗での取り組みはありますか?

院の空間作りは意識しています。例えば関わった選手たちがくれたユニフォームなどを院内に飾るんです。夢を叶えた選手のユニフォームだらけにすることで、ここに来ると自分も夢を叶えられる、偶然ではなく必然になれるんだなと思えるような空間にするんです。そうすることで、通い続ける気持ちのベースが生まれるんじゃないかと思っています。

また外観も、ちょっとトリックアートみたいにしているんです。院名にちなんでゴリラが壁を打ち破ってバナナを手に取っている看板なんですが、遠くから見るとゴリラが壁から飛び出しているように見える。目立つので、看板の前で写真を撮ってくれたり、小さい子どもが足を止めてくれたりするんですよね。地元の方だと、「あのゴリラのところね」という感じで、浸透していますよ。

ベネフィットを追求し、経験を実績に変えていく努力を

野球教室の様子。依頼されたことは、ほとんど断らないという高林さん

――柔道整復師を目指す方が学ぶといいこと、経験しておくといいことは何ですか?

一番学んで欲しいのは、メリットではなくベネフィットを追求するための勉強や経験です。例えば、施術のための機械を使うに当たって「日本に3台しかないんです」「日本代表が使っているんです」ということではなく、そのお客さんの求めるもののために「こんないいことがある」ということを伝えられるようにする。

あとは単純に、泥臭いことは必ず誰かが見ているので、人が嫌がることは率先してやって欲しいですね。みんなが嫌がってやらないことだから、やれば目立つし知ってもらえる。それが結果的に経験や集客にもつながるんです。

だから「断らない勇気」を身につけて欲しいし、お金で買えないことはどんどん経験して欲しい。例えば、アーティストの全国ツアーに出ているダンサーに、「明日の公演に出られるようにして欲しい」と夜中に依頼されても、私は行きます。全国大会の決勝に泊まりで来て欲しいと言われたら行く。だってそんな経験は簡単にはできないし、経験すれば実績として言えるんですから。

そうして断らないことで、どんどんチャンスが生まれてきました。だから院のスタッフにも、日本代表が来たら、どんどん治療させてもらいなと伝えています。遠慮してしまう子は多いけど、そこで踏み出せれば「日本代表を治療したトレーナー」になれるチャンスなんですよ。そうした成功体験を積み重ねることが、自分の治療家人生を守ってくれるんです

――最後に、これから柔道整復師を目指す方にアドバイスをお願いします。

時代的に叱らない先生も多いと思いますが、やっぱり叱ってくれる人を自分の近くに置くことが、一番成長できるんじゃないかと思います。自分の経験上、褒められたことより叱られたことのほうが覚えているんですよね。そして叱られたことって、二度としないように気をつけられるんです。

そういうアドバイスを、素直になんでも吸収して、自分から考えられる柔道整復師になって欲しいです。いい加減な柔整師ではなく、「いい加減」ができる柔整師になって欲しい。そのための経験をたくさん積んでいって欲しいです。

また今はどの分野も進化していて、柔整も同じようにいろんな技術が進化しています。だから、これを読んだ人たちも、時代に合わせて変わっていくことを恐れないで欲しいです。今やっているものが正しいとは限らない。そのことを常に頭に入れて、どんどんいいものに進化させていく。そうして困っている人たちを、一緒に救っていって欲しいなと思います。

取材・文/山本二季

Information

アスリートゴリラ鍼灸接骨院
住所:東京都足立区島根2-30-21
電話:03-5856-5063

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