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特集・コラム 2022-10-28

【認知症ケア専門士】資格取得の難易度や合格率、メリットを解説|試験の流れやおすすめの勉強方法も紹介

日本では少子高齢化により、認知症を発症する人の増加と介護者の減少が介護・医療現場の大きな問題になっています。

安全に認知症を患う人の介護をするには、専門的な知識と病気への理解が不可欠です。ここでは、認知症ケアに役立つ資格や取得するメリット、おすすめの勉強法などを解説します。

認知症ケア専門士とは

認知症ケアの専門的な資格として知られている資格のひとつに、「認知症ケア専門士」 という資格があります。

認知症ケア専門士とは、一般社団法人認知症ケア学会が主催している民間資格のことです。認知症に関する専門的知識や介護技術を持つ人のことを指します。

認知症患者さんの増加により、最近では医師や看護師、介護士などの有資格者も取得をしている資格のようです。

認知症ケア専門士のおもな職場

認知症ケア専門士が活躍する場は、グループホームや高齢者介護をおこなう介護施設などがあります。

ほかにも、認知症の治療を専門的におこなう専門の医療機関や、高齢者が多く入院している総合病院などで勤務することもあるようです。

認知症ケア専門士を取得するメリット

認知症に関する知識や技術を持つ認知症ケア専門士。ここでは、この資格を取得するメリットは解説します。

需要が多く、就職に有利

高齢者人口が増えている日本では、認知症を発症する人も比例して増えている状況です。その一方で、高齢者を介護する人口は減少し続けています。

そのため、認知症に関する知識を持つ認知症ケア専門士の需要はますます高まり、就職にも有利となるでしょう。また、就職後も資格手当がつく可能性もあり、待遇面でも大きなメリットとなります。

専門的な知識と技術で自信をもってケアにあたれる

認知症は一般的によく知られている病名ですが、その病態や特徴など深い知識を有している人は限られています。

認知症患者さんの介護をするにあたって、専門的知識を持って関わることは患者さんの安全性を確保するだけでなく、自らの精神的負担を和らげることにも繋がるでしょう。

認知症ケア専門士のデメリット

メリットの多い認知症ケア専門士ですが、少なからずデメリットも存在するようです。ここでは、認知症ケア専門士のデメリットを解説します。

介護報酬の加算は対象外

現在、介護報酬で加算対象になる有資格者は、国や自治体が主導する研修の修了者と定められています。認知症ケア専門士は民間資格であるため、専門的知識を有していてもこの加算対象には該当しません。

そのため、この介護加算対象を目指す場合は、認知症介護指導者研修などの資格取得を検討するとよいでしょう。

認知症ケア専門士は難しい?合格率はどれくらい?

資格取得を検討している方のなかには、試験の難易度が気になる方もいるでしょう。ここでは、資格取得試験の難易度と合格率について解説します。

合格率は50%前後で難易度は高め

認知症ケア専門士認定試験は過去18回開催されており、合格率は第1回目の試験から50%前後で推移しているようです。つまり、2人に1人しか合格していないということになり、民間資格ではありますが難易度は高めとなります。

この認定試験に合格しているということは、認知症の専門的知識を有しているという証明になりますので、合格するためには十分に勉強して臨む必要があるでしょう。

認知症ケア専門士の資格取得、流れを紹介

認知症ケア専門士認定試験を受けるには、どうすればよいのでしょうか。ここでは、受験資格要件と申請手続きについて解説します。

受験資格の条件は?

この試験の受験資格者として該当するのは、過去10年間に認知症ケアに関する業務に携わっていた実務経験が3年以上ある人です。

これには、従事していたときの保有資格や役職などは関係ありません。つまり、看護師や介護士などの資格を持っていない人でも、認知症ケアに携わっていれば受験資格に該当するということです。

試験までの手順

次は、試験への申し込み手順を解説します。これは2022年現在の申し込み方法になりますので、費用や受験日の詳細については公式サイトでご確認ください。

受験の手引きを申し込もう

受験に関する手引きを申し込みます。この手引きには受験に必要な書類や提出物などが記載されており、受験の願書になっているため、受験者同士でコピーしたり、前年度の手引きを使用したりすることはできません。

手引きの申請は有料で、電話かFAX、またはインターネットでの申し込みが可能です。料金は1部1,000円です。

第1次試験と第2次試験があり、それぞれに申し込みが必要

この試験は第1次試験と第2次試験の2部構成になっており、それぞれに申し込みが必要となります。

この申し込みには、受験料と受験分野数に相当する料金を支払わなければなりません。申込期間はそれぞれで異なるため、期限の確認は忘れないようにしましょう。

試験に合格したら登録申請を忘れずに

認定試験の合格通知を受け取ったら、登録申請をおこないます。必要な書類を作成して提出しますが、このときにも登録費用が必要です。

第1次試験の概要|筆記試験

第1次試験である筆記試験の概要は、以下のとおりです。

受験料:3,000円と受験分野4科目の費用12,000円
試験方法:WEB試験(インターネット上でおこなう)
試験分野:1.認知症ケアの基礎 2.認知症ケアの実際Ⅰ(総論) 3.認知症ケアの実際Ⅱ(各論)4.認知症ケアにおける社会資源

合格するには、上記の4分野すべてで70%以上の正解率が求められます。

第2次試験の概要|論文と面接

第2次試験である論文と面接の概要は、以下のとおりです。ちなみに、この試験の受験資格は第1次試験合格者で、合格有効期限内であること、または条件を満たしている認知症ケア准専門士であることが条件となっています。

受験料:8,000円
試験内容:認知症ケアの事例(3題)に対する論述

回答内容が適切なアセスメント視点や認知症の理解など計5つの評価基準を満たしていると、合格とみなされます。

認知症ケア専門士のおすすめ勉強方法

認知症ケア専門士認定試験に向けて、どのように勉強を進めていくとよいのでしょうか。ここでは、資格試験におすすめの勉強方法をご紹介します。

基本は「認知症ケア標準テキスト」で勉強

認定試験に向けた勉強方法の基本は、「認知症ケア標準テキスト」 に沿って勉強することです。このテキストは試験を運用している一般社団法人日本認知症ケア学会の公式テキストで、試験の出題範囲はこのテキストに準じた内容となっています。

公式サイトから購入できるので、はじめはテキストを丸暗記するという気持ちで読み込んでいくとよいでしょう。

過去問題の再現問題集を繰り返し解く

標準テキストをしっかりと読み込んだら、実際の問題を解いてみましょう。公式の過去問題集は試験ごとに回収されるため、入手できませんが、受験者の経験をもとにして作られた過去問題集があります。

また、最近ではアプリを活用して問題を解くことも可能なので、隙間時間も有効に活用しながらの勉強ができるでしょう。

受験対策講座を受講する

自己学習では継続が難しかったり、勉強方法があっているのか不安だったりする方は、受験対策講座を受講してみるのがおすすめです。

いろいろな受験対策講座が開催されていますが、日本認知症ケア学会が主催している講座もあります。オンラインでの勉強と模擬試験も受けられるため、試験対策に役立つでしょう。

認知症ケア専門士はメジャーな資格で就職に有利!デメリットも理解して資格取得を目指そう

認知症ケア専門士は認知症ケアに関するスペシャリストで、認知度が高い資格です。また、今後あらゆる医療・介護現場で重宝される資格となるでしょう。

国家資格ではないため、現在は介護報酬の加算対象にはなりませんが、より専門的な認知症ケアがしたいと思っているのであれば取得しておいて損はありません。

難易度は高いですが、そのぶん専門知識と技術が身につくおすすめの資格なので、取得を目指してみてはいかがでしょうか。

引用元サイト
日本認知症ケア専門士 公式サイト 認知症ケア専門士情報

一般社団法人日本認知症ケア学会 試験概要:受験資格

一般社団法人日本認知症ケア学会 試験概要:第1次試験

一般社団法人日本認知症ケア学会 試験概要:第2次試験

一般社団法人日本認知症ケア学会 受験対策講座

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