お客さまを癒しながら、自分も元気をもらえるイヤーセラピーは私の天職!【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事Vol.83 /イヤーセラピスト・平林初生さん】#2
「ヘルスケア業界」のさまざまな職業にフォーカスし、その道で働くプロに、お仕事の魅力や経験談を語っていただく連載企画「もっと知りたい! ヘルスケアのお仕事」。
今回お話を伺ったのは、イヤーセラピスト・平林初生(fal)さん
コロナ禍でイヤーセラピーの施術を受け、沈んでいた気持ちがパッと明るくなったという平林さん。その時の驚きと感動を多くの人に伝えたいと資格を取り、約2年前からイヤーセラピストとして活動をスタートされました。
前編では、平林さんのこれまでの経歴や施術のコンセプト、そこに込めた思いを伺いました。
後編では、現在の働き方や今後の目標、未来のセラピストに向けたアドバイスを伺います。
お客さまのご希望に合わせて
メニューの変更もOK!
臨機応変さが個人サロンの強み
――施術の流れはどんな感じですか?
コースは4つあります。
・40分のお試しコース
耳と耳周りのトリートメント(揉みほぐし)と耳ツボ刺激
・50分のベーシックコース
耳と耳周りのトリートメント(揉みほぐし)と耳ツボ刺激+頭・首・肩・背中・腕などのトリートメント+イヤージュエリー
・80分のフルコース
50分のベーシックコースをより念入りに
・90分のスペシャルコース
80分のフルコース+オイルトリートメント
このほかに、頭・首・肩・背中・腕など、気になる部分をより念入りに揉みほぐす「リフレクソロジー」のオプションメニュー(20分or30分)もありますし、延長もできます。お客さまのご希望に合わせて施術する、臨機応変さが売りです。出張でお伺いする場合には、ハンドリフレクソロジーや全身のリフレクソロジーを行うこともあります。
基本的な流れは、まず耳を消毒して、おでこから脇までリンパを流します。そうやって土台を整えてから施術へ。これはコースによって内容が変わります。イヤージュエリーはつけない方もいらっしゃいますし、キラキラしたストーンがついていないクリアタイプもあるので、お好みで。最後に頭から脇、肩甲骨の方までもう一度リンパを流して終了です。
――道具などのこだわりはありますか?
道具も使いますが、イヤーセラピーの場合は自分の手が一番の道具になるので、普段からしっかりケアするようにしています。施術前にはボディクリームも塗りますね。お客さまの顔周りで手が動くので、香りの好みを聞くこともありますが、リラックス効果のあるような香りを意識して選んでいます。
――働き方としては、今も出張サロンがベースですか?
最近はレンタルスペースを借りて、個人サロンでも施術しています。とはいえ半々ぐらいでしょうか。お客さまのご自宅やオフィスに伺ったり、店舗の一角を借りたりすることも、まだまだ多いです。
――代表的な1日の流れを教えてください。
――ご自身のケアやリフレッシュはどのようになさっていますか?
イヤーセラピーは自分でもできるのがいいところ。セルフケアとしてもよく行っています。もちろん他のサロンさんで施術を受けることもありますよ。もともとマッサージを受けることが好きでこの業界に入ったので、イヤーセラピーに関わらず、いろんなマッサージを受けに行っています。あとはお気に入りの飲食店に行ったり、温泉に行ったり、といった感じです。
イヤーセラピーをきっかけに
気持ちが変化していくお客さまを見ると、
やりがいを感じる!
――この仕事をしていてよかったと思うことや、やりがいを教えてください。
お客さまから感謝していただけることも嬉しいですし、お客さまの変化を一緒に喜べるのもこの仕事のよさです。
あと、「気づき」を与えられること。少し話がそれますが、私、運動が苦手なんです。だから「運動した方がいい」って言われても、なかなか実践できない。むしろ言われれば言われるほど、ちょっと嫌になっちゃう(笑)。
お客さまの中にも、同じような方がたくさんいます。だから私は、あんまり「運動してください」って言わないんです。言ったとしても、「たぶんやらないと思うけど、もし気が向いたら!」ぐらい、やんわりと伝えます。
でもイヤーセラピーを受けて、ご自身の不調やよくない習慣、クセに改めて気づいて、「散歩を始めました」とか「スイミングに通い始めました」っていうお客さまが増えてきたんです。イヤーセラピーをきっかけに、生活自体がいい方向に向かって変化しているんですよ。嬉しいですよね。そういう、気持ちの変化を目の当たりにすると、この仕事やっていてよかったなと思います。
――今後の目標はありますか?
講師の資格を取ろうと思っているので、まずはその勉強を頑張ることですね。あと、活動場所も広げていきたいです。
先日は「実家の母と祖母にもイヤーセラピーを受けてもらいたい」っていうご希望で、関西まで出張サロンをしてきました。私を必要としてくれる人、興味を持ってくれている人がいるならどこへでも行きたいです!
正直どんな仕事にも辛い時があります。でも、お客さまと会話をしていると、みんなそれぞれ悩みがあっても頑張っているんだなって感じるんです。そうすると「私も頑張らなくちゃ! 負けてられない」って励みになるんですよね。お客さまに元気をもらっています。
資格を取ってからが本当の勉強のスタート。
知識を身につけ、お客さまに寄り添った接客を心がけて
――今後セラピストになりたい人や、もっとステップアップしたい人にアドバイスをお願いします。
この仕事は、資格を取ってからが本当の勉強のスタートです。勉強することはたくさんありますが、なかでも解剖生理学をしっかり学んでほしいですね。人体の構造や機能についてきちんと知識を身につけてほしい。そして、学んだことは教科書そのままの言葉ではなく、お客さまにもわかりやすい言葉で説明できるようになれば、よりいいなと思います。
あとは、相手の辛さに寄り添い、お客さまとしっかり向き合うこと。そうすればお客さまの安心感や信頼感にもつながると思います。
――ありがとうございました。最後にセラピストの心得3ヵ条をお願いします。
・お客さまに信頼していただけるよう、知識を増やすこと
・お客さまと向き合い、その方に合わせた施術を行うこと
・お客さまがリラックスでき、話しやすい環境をつくること
例えば、同じ「頭が痛い」という症状を訴えるお客さまがいたとします。でもそれは、原因も違えば辛さの度合いも違いますよね。100人いれば100通りの施術が必要になるはず。教科書通りの対応ではなく、一人一人に合わせた施術で、真摯に向き合うよう、心がけてくださいね。
前編・後編を通じて、熱い思いを語ってくださった平林さん。出張サロンの料金を伺ったところ、「基本的には施術料金+交通費だけ。何かのついでだったら、交通費をいただかないこともあります」とのこと。フットワークの軽さと、お客さまへのやさしい思いやりに驚きました。
貴重なお話をありがとうございました!
取材・文/児玉知子
撮影/喜多二三雄