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特集・コラム 2023-01-06

障害者グループホームはきつい?施設や仕事内容、現状について解説

障害をもつ方が共同生活する障害者グループホームですが、具体的な施設の概要や種類、職員たちの仕事内容について知らないという方もいるのではないでしょうか?

この記事では、障害者グループホームの概要や具体的な種類、仕事内容や向いている人の特徴、現状の問題と課題について解説します。

障害者グループホームの概要について知って、就職・転職に活かしていきましょう。

障害者グループホームってどんな場所?

障害者グループホームとは、身体的や精神的、知的な障害を抱えている方たちが共同生活を送り、身の回りの世話や生活支援を行う施設です。正式名称は「共同生活支援」と呼ばれ、通常は2名から10名程度の少人数で共同生活します。

職員は世話人・生活支援員と呼ばれる方が担当し、一般的なアパートや一軒家を「グループホーム」として活用するケースが多く、別途で建物を建てるケースは少ないようです。

障害者グループホームを利用できる人

障害者グループホームを利用できる人には、身体的や精神的、知的障害をもっている方、難病を罹患している方が該当し、原則18歳以上の方が対象になります。ただし、支援の必要性が認められた場合は、15歳以上から入所可能です。

ちなみに、身体障がい者の場合は、65歳未満か65歳の前日までに障害福祉サービスなどを受けたことがある方限定となっています。

障害者グループホームの事業所数と利用者数

障害者グループホームの事業者数と利用者数は、以下のように増加傾向にあります。ちなみに、平成31年のデータは資料からは未確認です。

平成29年 平成30年 令和1年 令和2年
事業者数 7,794か所 8,434か所 9,111か所 10,164か所
利用者数 114,882人 122,673人 131,627人 143,472人

引用元:厚生労働省:障害者の居住支援について (共同生活援助について)

平成25年を100%とした、障害支援区分別の増減率の推移をあらわすと以下の通りです。

障害支援区分 平成30年 令和31年 令和2年 令和3年
区分1 19.8% 18.9% 14.3% 14.6%
区分2 34.3% 30.8% 26.3% 22.1%
区分3 45.8% 42.3% 39.3% 36%
区分4 69.1% 67.0% 64.6% 62.3%
区分5 96.6% 95.6% 94.2% 92.8%
区分6 133.2% 134.5% 136.7% 138.0%

引用元:厚生労働省:障害者の居住支援について (共同生活援助について)

このように、障害者グループホームの事業所数と利用者数は増加しているのです。とくに介護支援が必要な、区分6に該当する利用者の増加が顕著であることがわかります。

障害者グループホームには4種類ある

障害者グループホームには、以下の4つの種類があります。

・介護サービス包括型
・日中サービス支援方
・外部サービス支援型
・サテライト型住居

この章では、これらのグループホームごとの特徴を見ていきましょう。

1.介護サービス包括型

障害者グループホームの中で事業者数が多いのが「介護サービス包括型」の事業所です。
入浴・食事・排泄といった日常生活の支援や介助を行います。

中程度の障害を抱えている方が入所し、日中は就労継続支援施設など他の福祉施設で過ごし、朝晩や休日の間はグループホームで過ごすパターンが多いです。

2.日中サービス支援型

2018年に新設された、新しいタイプの障害者グループホームです。重度の障害を抱えている方や高齢者であるという理由で、日中の介護サービスを受けられない方向けの支援だといえます。

他のタイプのグループホームは、日中の活動を外部施設で行う必要がありますが、日中サービス支援型の場合は、日中でも活動支援を受けられます。

世話人・生活支援員の配置基準は入所者5名に対して1名で、他のタイプの「入所者6名に対して1名」という配置基準よりも多く職員が勤務しているのが特徴です。

3.外部サービス利用型

外部サービス利用型とは、洗濯や調理、掃除、日々の相談業務は職員が担当し、排泄や入浴、食事といった介護業務は外部の介護事業者などに委託するタイプです。

軽度の障害を抱えている方が入所する施設で、日中は屋外で活動し、朝晩と休日に関しては施設内で活動するグループホームとなっています。

4.サテライト型住居

2014年に創立された新しいタイプの障害者グループホームです。グループホームの近くにあるアパートや一軒家で、一人暮らしに近い形で生活します。サポートが必要な場合は、グループホームに連絡して、助けを求められるのが利点です。

身の回りのことを自分でこなせるような、障害が軽度な方で、障害者グループホームから出て、自立した生活をしていきたいと考えている方向けの施設だといえます。

障害者グループホームはきつい?働く職員の仕事内容

障害者グループホームの仕事は、入所者の身の回りのサポートである洗濯や調理・掃除などの生活支援、場合によっては排泄や食事、入浴といった介護サポートです。また、入所者の日々の悩みや不安に関して相談に乗るのも、大切な役割の一つだといえるでしょう。

障害者グループホームには配置基準があり、入所者30名につき1名のサービス管理者を配置する必要があります。また、日中サービス支援型では、入所者5名につき1名の世話人を配置しなければならず、そのほかのタイプの施設では、入所者6名につき1名の世話人を配置する必要があります。

1日のスケジュール

障害者グループで働く世話人のスケジュールは、下記のとおりです。

7:00:出勤・入所者のバイタルチェック
8:00:朝食
9:00:レクリエーション
10:00:洗濯・掃除
10:30:自由時間
11:00:昼食
13:00:入浴サポート
15:00:施設周辺を散歩
16:00:買い物・洗濯
17:00:遅番とシフト交代

入所者の身の回りの世話や介護サポートをして、夜勤の方につなぎます。

障害者グループホームで働くのに向いている人の特徴徴

障害者のグループホームで働くためには、どのような人が向いているのでしょうか?ここでは、具体的な特徴について見ていきましょう。

・円滑なコミュニケーションがとれる
・状況に応じた柔軟な対応ができる

グループホームでは入所者との対話だけでなく、世話人同士、保護者、関係機関と緊密なコミュニケーションをとることが大切です。コミュニケーションをとる中で、入所者にとって最適なサービスを提供し、必要な情報を世話人同士で共有します。

また、予想外のトラブルにあっても冷静に状況を客観視して、しっかりと最適な対処をしていく柔軟な対応力が求められます。何事にも焦らずに対応できる方が向いているといえるでしょう。

障害者グループホームの現状と課題

障害者グループホームの現状を知るための資料として、入所している方の実際の声を見てみると、「よいと思うこと」「いやだと思うこと」には以下の点が挙げられます。

項目 よいと思うこと(複数回答あり)
仲間がいるのでさみしくない 1,188人(49.1%)
困ったら相談しやすい 1,176人(48.6%)
困った時に助けてくれる 1,101人(45.5%)

 

項目 いやだと思うこと(複数回答あり)
うるさいと感じることがある 826人(34.1%)
特にない 681人(28.1%)
自由に外出できない 492人(20.3%)

引用元:厚生労働省:障害者の居住支援について (共同生活援助について)

友人や仲間と一緒に滞在でき、必要なサポートが受けられる点にメリットを感じる方が多い一方で、自由が制限されることにデメリットを感じる方もいるようです。

施設ごとに、うるさいと感じないためのルール作りや、自由に行動できる時間を多く作るなど、入所者がストレスを感じにくいような仕組みづくりが重要だといえます。

障害者グループホームの仕事は自分にとってきついかどうか判断して、就職・転職活動に有効活用しよう!

この記事では、障害者グループホームの概要や現状、仕事内容や勤務するのに向いている人の特徴について解説しました。

障害者グループホームの仕事は、入所者の身辺介護と生活介助をし、日々の悩みや不安についての相談に乗るのが主な業務内容です。

障害者グループホームでの勤務が自分に向いているのかを判断して、就職・転職するべきかどうか判断してみましょう。

引用元
厚生労働省:障害者の居住支援について (共同生活援助について)
厚生労働省:障害者総合支援法による「障害支援区分」の概要

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