SNSで大事なのは、「キャラクター性」と周りとの「差別化」ができているか【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事Vol.103 ボディワーカー 森拓郎さん】#2
ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』。
今回は、ボディワーカーとして多くの女性を美しく健康な体へ導いてきた森拓郎さん。
前編では、森さんがトレーナーとして独立するきっかけになったブログのコツを詳しくお聞きしました。ブログを集客につなげた森さんは、経営メインに舵をとります。後編では、経営を軸に取り組んだTwitter・YouTubeなどのSNSツールを始めた目的、コロナ禍によって開始したオンラインメニューのメリットについてお話しいただきます。
お話を伺ったのは…
ボディワーカー 森拓郎さん
大学の体育学部卒業後は、地元・滋賀県で自動車の営業職に約1年半従事。退職後は東京にあるスポーツジムにアルバイトで入社し、約1年後にはパーソナルトレーナーとして業務委託勤務に昇格。その後、ブログでの集客をきっかけに独立。現在は、ジムの経営をメインに本の出版やSNS発信を行っている。
SNSで大事なのは、「キャラクター性」があるか、「差別化」されているか
――Twitterを始めた理由をお聞かせください。
一定の顧客が獲得できた時点で新規のお客様は担当せずに、経営の一環としてSNSに力を入れていました。ブログを始めていろいろな方々に見ていただきましたが、まだまだ自分が知っている限りの情報を誰よりも早く発信したい気持ちが強くて。
そんな僕の気持ちと、Twitterのいつでもどこでも気軽に呟ける機能がマッチしたんだと思いますね。時間をかけて情報を詰め込んでいくブログに比べて、Twitterは「今書きたい!」と思ったらその場ですぐにつぶやけるうえに、拡散されるのも早い。目に見えてフォロワーの反応が見えるのはとても大事ですからね。
――それからTwitterに移行したのですね。つぶやいていた内容は?
ブログでも書いていたような情報を手短かにつぶやくようになりました。
――どのようにしてフォロワーを獲得していったのでしょうか?
僕の発信する内容がまだ世の中に浸透していない情報だったため、よく質問が届いていてその度に返信していたんです。一つひとつの質問にかなり丁寧に返信していたので、質問した人からは若干引かれてるのではないかと思う文字量でした(笑)。単にフォロワーを増やしたいと思う気持ちよりも、つぶやきを見て反応してくれることが嬉しくて返信していたのですが、それがフォロワー獲得に繋がったのかなと感じます。
――YouTubeはどうして始めたのですか?
経営に回った直後にコロナ禍に突入してしまい、ジムの需要が減ってしまったことを受け、宣伝を兼ねて始めました。
――どんな投稿をメインに発信していましたか?
周りが発信していない情報はもちろん、トレーニング動画も投稿していました。だいたいの方が、5〜10分以内の簡単にできるトレーニングを中心に投稿していたので、反対に動画の尺を20分くらいに長く設定。トレーニングをする意味が根本的に理解できれば、しっかり打ち込めるのではないかと考え、トレーニング方法だけではなく、「なぜそのトレーニングが必要なのか?」、知識を交えてレクチャーするように意識しました。
――周りと差別化を図ることは大事なのですね。
そう感じます。僕は動画の構成も気をつけましたが、他にも視聴者を意識し過ぎず、自然体でいるよう気をつけましたね。
――具体的に教えてください。
視聴者からいただいた質問について、想像で答えざるを得ない場合もあって。その場合は、その旨をご理解いただいたうえで僕ができる最大限のアドバイスをするようにしています。質問の意図が分かりにくくても、相手がほしい答えを想像し、いくつか選択肢を持っ
て答える。相手を不機嫌にさせる可能性はあるけれど、しっかり答えは用意しておくことがポイントです。この忖度ないキャラクターが支持していただけるポイントなのかと思っています。
――たくさんのライバルがいる中で抜きに出るために大切だと感じます。
誰もしていないことに目を向けるのは大事ですね。それが自分の個性や特徴になりますし、何よりたくさんのトレーナーが競争している中で見つけてもらうには、周りと違うアプローチをする必要がありますから。
――どんなことから始めると良いですか?
自分が気になったことや発信したいテーマをまずは検索してみてください。他の人が既に実行しているテーマをどうしても自分でやりたいと思うときでも、上位互換ができそうなら挑戦してみるのもあり。目新しいテーマも大事ですが、誰よりも突き詰められる自信があることは、その人にとって向いている証拠だと思います。
一方で発信したい内容が思いつかない人は、SNS向きではないと感じます。集客ツールや宣伝目的としてSNSが大事と分かっている人は多いと思いますが、発信するテーマが重要です。何も思いつかないのならとりあえず検索してみるとか、小さくても良いので気になるものを見つけてみることをおすすめします。
オンラインの良さは、「自発性」が育てられるところ
――コロナ禍によって始めたYouTubeの他にも、オンラインメニューを取り入れたと伺いました。実施するまでの経緯をお聞かせください。
YouTubeを始めた頃にライブ配信でレッスンをしてみたら、1000人の方々に見ていただけたことがきっかけです。それから続けて数回やってみても非常に好評だったので、有料化にしてライブ配信を行ったところ、700人を超える方々に参加いただきました。
それから「定期的に行ってほしい」といったリクエストも多くいただき、月額制のサブスクでレッスンをスタート。
始めた時期が緊急事態宣言の真っ只中にも関わらず、初日で500人もの方々が申し込みがあり、3年経った現在は1300人以上もの登録をいただいています。
オンラインならSNSでも随時募集できますし、ネームバリューもあったので集客が見込めそうと思ったところがメリットに感じましたね。
――実際に取り入れてみても、メリットと感じたことはありましたか?
オンラインはいつでもどこでも自分のやる気があれば自発的に取り組めるためか、リアルで通えるジムよりも、結果を出せる人が多かった印象です。
パーソナルジムだと自分とトレーナーだけの世界観になってしまうので、どうしてもトレーナーに依存してしまい、自発的に動ける人が少ないんです。でも、オンラインだと自分以外にも参加者がいますから、自分でしっかり聞いて実践しないと結果は出ません。そこで「やらなきゃ」と自発性が生まれることが、オンラインの方が結果を出せる理由なんだと感じました。
ご利用いただいた方々も結果に満足した方々の大半はレビューを書いてくださり、それをSNS上で流すと入会数もグッとアップするので集客にも困りません。
――今までのSNSでのブランディングによってオンラインが受け入れられ、さらに広がっているようですね。
そう思います。今はもともとのお客様や関係者からのご依頼があったときのみなので、トレーナーとしての時間は減っていますが、その分何もしないわけではなく、今でも知識を増やすために日々学んでいます。
一人でも多くの人の悩みを解決するためにまだまだ発信していけたらと思います。
森さんがSNSで地位を確立できた3つのコツ
1.誰も発信していないテーマを見つける
2.発信したいテーマを徹底的に極めて質の高い情報を届ける
3.お客様の質問には、一つひとつ真摯に受け止めて対応する
取材・文/東菜々(レ・キャトル)
撮影/本名由果