はじめの2~3秒で「なんか楽しそう」を醸し出す【もっと知りたいヘルスケアのお仕事Vol.153 パーソナルトレーナーRYOさん】#2
ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載「もっと知りたいヘルスケアのお仕事」。前編に引き続き、30代以降の女性専用ダイエットトレーナーRYOさんにお話を伺います。
前編では、フリーランスになったばかりの頃はジムを3つ掛け持ちしていたこと、ターゲットを30代以降の女性に絞る理由などを伺いました。この後編では、インスタフォロワー数38.5万人、YouTube登録者数19万人(2024年6月現在)の超人気インフルエンサーになるまでのことや、茨城に開設したパーソナルジムについてお聞きします。
お話を伺ったのは…
パーソナルトレーナー
RYOさん
「節約しながら痩せる」30代以降の女性専用ダイエットトレーナー。4ヶ月で-13kgのダイエットに成功した経験からトレーナーに。専門学校卒業後、青山学院ジム施設のトレーナーに就任。2年後独立し、ダイエットサポート実績5000人以上。2023年には茨城県取手市にパーソナルジムを開業。オンラインでもパーソナル、食事指導を行う。親しみやすい宅トレ、ダイエットレシピ投稿でインスタフォロワー数38.5万人、YouTube登録者数19万人の超人気インフルエンサーでもある。現在26才
僕のエクササイズで欠かせないのは笑顔
――インスタのフォロワー数がすごいですね。
インスタは独立直後に始めて現在4年目ですが、お陰様でフォロワー数が38.5万人を超えました。
――なにかフォロワー数が増えるきっかけがあったのでしょうか。
最初はダイエットレシピの画像ばかり投稿していたんですが、それはあまり伸びなくて…。だったら動画にしてみようと音楽に合わせたエクササイズを投稿したところ、それがヒットしました。そこからシリーズでエクササイズを投稿していったら、一回伸びるとその後の再生回数もどんどん増えて、それに比例してフォロワー数も増えていきました。
――YouTubeは始めてどれぐらいになりますか。
YouTubeは2年目で、登録者数19万人を超えました。インスタもYouTubeも共通して「運動が苦手で体力に自信がない30代以降の女性」に向けて投稿しているのですが、インスタはこの種目を何セット・何秒やるといいですよという種目の紹介、YouTubeは10分以内でできるエクササイズの完結編として制作しています。
――RYOさんのエクササイズはすぐに真似したくなりますよね。投稿ではどんなことを心がけていますか。
いちばんは、見やすさ。長すぎず短すぎず。楽しそうな雰囲気づくりも大事です。初めの2~3秒で「なんか楽しそうだな」という雰囲気を醸し出すこと。そのために笑顔でエクササイズをすることを心がけています。ターゲット層である30代以降の女性が知っていそうな曲を選ぶこともひとつ。コメントでも「27才のRYO君がなんでこの曲知ってるの?」なんて言われることもありますね。
――30代でも知らないのでは?と思われる曲も多いですよね。
分析したところ意外と50~60代の方も多いことが分かったので、それならと50~60代に刺さる音楽を選んだら、それでまた再生回数が伸びたんです。
――シニア層の方は息子さんに教わってるような感じなんでしょうね(笑)。ダイエットレシピもすごく豊富ですが、あれはRYOさんが実際に作っているもの?
はい。僕がダイエットをしていたとき実際に作って食べていたものです。あまり凝った料理が作れなかったので、ズボラでも簡単にできて、節約もできるダイエットレシピになっています。簡単・節約・ダイエットの3つが叶うレシピのバリエーションを増やすのは、結構難易度高めなので、よさそうなレシピを見つけたらもっと時短で作れるようにとか、もっと安い材料でできるようになど自分流にアレンジしたものを紹介しています。
オンラインのメリットは距離に関係なくどこでも繋がれること
――RYOさんはオンラインでのトレーニングも行っているそうですね。
はい。インスタやYouTubeで僕を見つけてくれた方の中には九州や海外在住の方もいるので、ZOOMや公式のLINE通話を利用してパーソナルトレーニングをやっています。
――オンラインの良さや難しさはどんなところですか。
オンラインのいちばんのメリットは、距離に関係なくどこでも繋がれることです。ただ画面越しで直接触れることができないので、どうしてもリアルよりはトレーニングの質が落ちるところはあります。そこはもう了承の上で、とにかく楽しく運動したい方、それから誰かがいることによって継続できる方ってすごく多いんです。お家だと一人では続かない方にフォームのチェックをしながら一緒に頑張っていこうというスタイルですね。
――オンラインの指導ではどんなことを心がけていますか。
直接触れられないので、言葉の伝え方には気をつけています。フォームの指導も食事のアドバイスも相手の立場になって伝えることを意識しています。
――オンラインもYouTubeもインスタも、実は言葉選びがすごく重要ですよね。RYOさんはそのへんがとてもお上手だと思うのですが、練習したりするのですか。
YouTubeそのものが話すことの練習になっているんだと思います。動画を撮って、編集するときに自分がしゃべっている姿が見えるので、これはもっとこういうふうに伝えたほうがよかったなと反省することも多いです。
それから以前、フィットネスクラブでダイエットのための栄養学セミナーを担当したことがあるんですが、そのときにセミナー開催のための研修に参加して話し方や伝え方、心理学などを勉強しました。それがいまになって活きているのかもしれませんね。
やってみないと分からないこともある。周りに背中を押されてジムを開設
――2023年2月に茨城の取手にパーソナルジムを開設されたそうですが、その経緯を教えてください。
元々自分のジムを持ちたくて、それを周りに伝えていたんですね。そしたら、焼肉店を経営している友だちが、「いい広さのテナントが空いたからジムやっちゃえば」と教えてくれたんです。
やってみないと分からないこともあるということで、すぐに物件を押さえて、マシンを発注。インスタで「ジムやります」と公表したら応援してくれる方や来たいと言ってくれる方がいて。そういうことにすごく背中を押されて、ほぼほぼ勢いで動き始めました。
――青学でのキャリアもあるし、都内に出店は考えなかったですか。
2店舗目は都内に出したいなと思っています。いま僕はSNSの集客と都内出張をメインにしていて、僕が不在のときはもう一人のトレーナーが取手でやってくれているので、次は需要の高い都内での出店を検討中です。
――コロナを機にパーソナルが急増する中、何か個性を出したりとかそういうことも考えていらっしゃいますか。
まずは、女性専門であること。パーソナルジムってそんなに広くないところが多いんですが、ここはスペースがあるので子連れのお客様も歓迎です。ママが筋トレしている間、お子さんは人工芝のスペースで遊べるので、安心してトレーニングできます。
女性メインでやるのであれば、マッサージやヨガなど美容的な要素を取り入れることも考えています。
――今後の展開を教えていただけますか。
まずはパーソナルジムを増やしていくこと。インスタ、YouTube登録者数ともに目指せ100万人。いまもテレビやラジオにちょこちょこ出させてもらっているんですが、もっとメディアに出てインスタを知らない人たちにも僕を知ってもらえたら嬉しいなと思います。
――最後に今後トレーナーを目指す方にアドバイスをお願いします。
トレーナーとしての知識を持つことはすごく大事ですが、その知識を持って傲慢にならず謙虚にして奢らず。お客様の立場になって、お客様のことを第一に考えるトレーナーを目指してください。
RYOさんが大人気トレーナーになれた3つの理由は
1.「30代以降の女性専用ダイエットトレーナー」ターゲットを明確にした
2.YouTubeやインスタははじめの2~3秒で「なんか楽しそう」を醸し出す
3.常にお客様の立場になって考える
YouTubeやインスタでこれだけの数がとれる理由はどこにあると思うか尋ねたところ、「自分らしくいること」という答えが。笑顔と相手に寄り添えるところが長所であり、自分らしさでもあるというRYOさん。進む方向が分からなくなったときは、自分らしさを見つめ直してみて!
撮影/大崎聡
取材・文/永瀬紀子