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ヘルスケア 2023-11-04

「どんな人に選ばれてきたか」をヒントに。独立準備でもっとも大切なターゲット決め「いとAROMA&SPA」真部奈津子さん

2023年6月、愛媛県今治市に「いとAROMA&SPA」をオープンさせた、セラピストの真部奈津子さん。前編ではどのように技術を高めてきたかを伺いました。

後編では、真部さんが行ってきた、独立準備について伺います。一番苦労したというのが、ターゲットをしぼること。半年ほど悩んだそうですが、最終的にはサロン勤務時代にどんなお客さまから指名されることが多かったかを考え、40代~60代女性に決めたそうです。ターゲットをしぼったことで、その後は店名、内装のコンセプトなどがスムーズに決めることができたといいます。

今回、お話を伺ったのは…

真部奈津子(まなべなつこ)さん

「いとAROMA&SPA」オーナーセラピスト

ブライダル業界、有名コーヒーチェーン店勤務を経て、33歳のときにセラピストとなることを決意。3年間のサロン勤務ののち、2023年6月に愛媛県今治市に深層リンパトリートメントサロン「いとAROMA&SPA」をオープン。私生活では、2人の子どもを育てる母でもある。

インスタグラム:@ito_aroma_spa

悩み抜いたターゲット決め。「過去の指名」にヒントを得て

「いとAROMA&SPA」のホームページ。店名の「いと」が印象的

――アロマトリートメントサロンですと、横文字の店名が多いですが「いと」というサロン名が印象的ですね。

このサロンはターゲットを40~60代女性にしぼっているので、その方たちに親しみを持ってもらえるよう、店名を横文字にはしないと決めていました。ターゲットを決めるまでが本当に大変で。1年ほど独立準備をしていたのですが、そのうちの半年はターゲット決めに時間を費やしていました。

――開業する際には、やはりターゲットを決めたほうがいいのでしょうか?

私はターゲットをしぼってよかったと思っています。決めるまでが大変でしたが、そのあとの店名、内装、メニュー決めなどが、スムーズに進めることができました。たとえば、「疲れている女性全部」という風にしてしまうと、あまりに広すぎて結果的に届かなくなってしまうこともあると思いますし、コンセプトもぶれてしまうと思うんです。

――なぜ40~60代女性に決めたのですか?

まずは自分がお客さまにどういう価値を届けたいのかというところから、考えていったのですが、これがなかなか、決められず(笑)。悩んでいたときに、当時務めていたサロンで、自分を指名してくださるお客さまはどんな人かを考えてみたんです。そのときの私のお客さまは50代以上の方がとても多かったので、そこから少しだけターゲットを広げて40代から60代の女性に設定しました。

――なぜ、その年代の方の指名が多かったのでしょうか?

あくまで私の分析なのですが、ご自身の不調や疲れを抱えている方から楽になったと言われることが多かったと思います。20代から30代くらいの方ですと、トリートメントを受ける目的が自分へのご褒美という方が多いと思うのですが、50代を超えるとご自身の疲れと向き合っている方がすごく増えます。今までと違って疲れがなかなか回復しない、だけど病院に行くほどではない、そういう方が定期的に通ってくれるようなサロンを目指したいと思うようになったんです

調光と素材にこだわり、上質な非日常空間を作る

「いとAROMA&SPA」の施術部屋。上質な空間になるように、とくにこだわったのが間接照明だったそう

――内装もターゲットに合わせたとのことでしたが、とくにこだわった点は?

調光や色温度によって、心を落ち着かせられる空間を演出できると確信していたので、とくに間接照明にはこだわりました。蛍光灯のような真っ白な光で照らされ続けても、交感神経だけが活発になってしまって落ち着かないので、落ち着いた光が部屋の端を照らしているような状態を作りあげました。また施術前と施術後でも光の強さを調整していたり、こだわっているポイントです。

――光が大切だということは、どこかで勉強されたのですか?

ピンタレストなどで「上質な空間」というようなキーワード調べたときに、ホテルのスパが出てきて、それが自分のイメージととても合っていたんですね。そういった画像を見続けたときに、なぜ自分はこの空間を上質だと思うんだろう、と考え続け、「光がポイントなんだ」と気付いたんです。ほかにも内装を作る際には、木のぬくもりが感じられることも意識しました。正直にいうと、思っていた以上の予算がかかってしまい、予算オーバーになってしまったのですが、今治では自宅サロンを経営している方が多いので、そういったサロンとの差別化にもつながったのかなと思っています。

――集客はどのようにされたのでしょうか?

集客サイトなども使いましたが、結果としては新規の9割の方がインスタから来てくださっています。今でも月に5日くらい、「今治に住む30代以上の女性」とターゲットをしぼって、定期的にインスタ広告を打っていて、これがフリーペーパーなどに広告を出すより安価ですし、かなり効果的です

――インスタ発信の際に心がけていることはありますか?

お客さまの心をつかむためには、独立準備の段階から知ってもらうことが大事だと思っていたので、このサロンのビフォーや準備の状態をストーリーズで流すようにしていました。サロンが完成してからは、写真家である兄に写真を撮ってもらい、きれいな写真も掲載していますが、サロンが完成していくリアルな状態も発信することでここに行ってみたい、応援したいという気持ちになるのではないかと思います。

出会えたお客さまを大切に

お客さまと誠実に向き合い、ともに過ごす時間を大切にしたいと真部さん

――最後に今後の目標を教えてください。

店舗にしたいとか、拡大していきたいという思いはなくて、私が対応できるお客さまを大事にしていきたいという思いが強いです。生まれ育った今治市で開業したので、この街に暮らす女性に「いと」をもっと知っていただきたいですし、そういった方々のケアをこれからも続けていきたいとシンプルに思っています

私のゴールは、お客さまの表情が和らいだり、ワクワクしたり、明日からがんばろうと思えるような状態になることで、私がやっていることはその手段でしかないと思っています。これからもお客さまに誠実に向き合い、お客さまの人生の一瞬を過ごす場所ではなくて、お客さまの生活の中にこのサロンが存在できるようになっていけたらうれしいです。


お客さまが心地よく過ごせることや、満足いただける技術を提供することにひたむきな真部さん。サロンの内装や、店名に至るまであらゆるところに、その思いが感じられました。セラピストとして活躍したい方は、参考にしてみてくださいね。

Information

いとAROMA&SPA
住所: 愛媛県今治市松本町2丁目2-13 ヤヨイ写真館ビル3F

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