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ヘルスケア 2023-11-07

自分の強みを活かした発信で、高齢者、医療・福祉職までハッピーにしていきたい【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事 Vol.119/介護エンターテイナー 石田竜生さん】#2

ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスし、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載企画「もっと知りたい! ヘルスケアのお仕事」。

前回に続き、介護エンターテイナーとして活動している石田竜生さんにインタビュー。作業療法士として働きながらお笑い芸人として活動を始めた石田さん。「介護エンターテイナー」として、リハビリ体操に笑いの要素を取り入れた活動を続けています。

後編では、これからヘルスケアのお仕事を目指す方へのアドバイス、石田さんのお仕事の心得3か条を教えていただきます。

お話を伺ったのは…
介護エンターテイナー 石田竜生さん

作業療法士として働きながら、フリーのお笑い芸人・舞台俳優の活動をスタート。その経験を生かし、日本介護エンターテイメント協会を設立。『人生のラストに「笑い」と「生きがい」を』をモットーに、『介護エンターテイナー』と名乗り活動中。リハビリ体操に笑いの要素を取り入れ、介護現場を『笑い』でいっぱいにするために、日本全国でボランティアやセミナーを開催している。

YouTubeチャンネル:「介護エンターテイメント脳トレ介護予防研究所」

直接出会えない人たちにも情報を届けるため
YouTubeやブログでの発信を続ける

――お仕事をするうえで大変なことは何ですか?

ご利用者さんにはいろんな方がいます。体が動かない、体操をやる気が出ないという方、その場にいられない…。そういう方々に、どうアプローチしていくかというのは、気を遣う部分ではあります。自分の課題でもあるのですが、講演会などの体操する場所に行けない方にアプローチしていかないと、介護予防の意味がないんです。

だから、体が不自由だったり移動手段がなかったり、そもそもそういう場があるという情報を知らなかったり、コロナ禍になり家で閉じこもっていたり…そういう方たちに、どのように動いてもらえるかを考えていくことが、一番大変なことだと思っています。

――そのために取り組んでいることはありますか?

例えばDVDを販売したり、YouTubeやブログを通して体操を発信したりして、どこにいても情報にリーチできるような取り組みはしています。YouTubeは8年ぐらい前から始めて、4・5年前からは積極的に投稿するようになりました。そういった動画は15~20分くらいのものが多く、介護施設での朝や昼の体操に活用していただいています。

どんな経験も活かせるのが介護業界の魅力
迷うなら、まずは飛び込んでみて


――これから介護をはじめヘルスケアに関わる仕事につこうと考えている方に向けてアドバイスをお願いします。

この業界は比較的、現場に入りやすい仕事だと思うので、社会人の方なら、とりあえず仕事を始めてみるのもいいと思います。ヘルスケアの仕事をするから何かを学んでおくのではなく、まず現場に飛び込んでみて、現場でどんな仕事をしているか、自分のどこが現場で活かせるかを探していく。働きながら学んで、経験を積んでいくことは、とても大切だと思います。

また学生さんで準備段階にある方なら、今のうちに発信力を高めておくことがおすすめです。今は疑問に思ったことをSNSで聞けば誰かしらが答えてくれる時代だと思いますし、ブログなどで自分が抱えている想いや希望を発信しておくというのもいい。SNSに慣れておくことで、いろんな情報を取り入れていけるはずです。

あとはリアルでできることと言えば、例えば日常動作をお年寄りになりきって生活してみるのもいいと思います。すると、駅でこういうことがしんどいかも、足が上がらないとこの階段は厳しい、家のトイレでもこの動きが難しいかもしれない…とイメージできる。それが現場に行ったときに、経験や知識を得るアンテナになります

――他の業種からの転職でも問題ないと思いますか?

例えば転職してヘルスケア業界に入るとしても、今までに経験を無駄にする必要はないんですよね。福祉や医療というのは、その人の生活を支える仕事だと思います。だからこそ、今まで生活してきたことは、すべてが活きてくるんです。

高齢者たちにもそれぞれ生活背景があって、いろんな仕事をしてきて、いろんな役割を持って生きてきた。そういう方たちのケアをする仕事ですから、自分がしてきた経験も必ず活きてくるし強みになります。自分が生きてきた人生を幅広く活かせる職種って、なかなかありませんよね

医療・福祉職の経験を活かして
地域や社会に貢献できる場を作っていきたい


――現在力を入れている活動や今後取り組みたいことは?

前述のとおり、家で何もしていない人や外出する方法がない方に向けて何かできないかと、商品開発をしたり発信力を高めたりというのは継続して行っています。

また今年6月に会社を興して事務所を借りることになったので、1階にはカフェのようなコミュニティスペース、2・3階はセミナールームやキッチンとして使用する予定です。「おふとんハウス」と名付け、クラウドファンディングにも挑戦しています。https://camp-fire.jp/projects/view/700603

キッチンでは栄養士さんが高齢者向けのメニューを開発してもらったり、セミナールームでは介護職や医療職が集まってセミナーやコワーキングスペースに活用してもらったり。そうして自然と介護や医療などの福祉に関わる人たちが集まる場にしていきたいと思っています。

今はそれぞれの現場だけで活かされている知識や経験、スキルを、もっと他の企業や媒体で活かしていけたらいいなと思うんですよね。これから高齢者社会になっていくなかで、高齢者に向けた商品開発や、高齢者がお客さんになったときの対応に悩んでいる企業は多いんです。そういうところに介護や医療、福祉の知識や経験を活かして仕事にできるような、医療・福祉職が新しく違う働き方ができる発信の場になるようにしていきたいです。

――最後に、石田さんにとっての「ヘルスケアの仕事の心得3か条」を教えてください。

1、自分の知識や経験を強みに変える
2、相手の立場になって考える
3、自分にとって当たり前でも他人には価値があることを意識して発信する

僕の仕事は「発信」というところが大きいです。そういった発信をするときは、幅広くやるよりも自分の得意なこと、自分が語れることを発信することが大切だと思っています。

例えば栄養士になりきって、自分で調べてインターネットにあるような記事を書くよりも、体操という経験を通して得たものを発信する。こんな雰囲気でしたらみんなが動いてくれたとか、こういう動きがリハビリにいいですよ…そんなふうに「これが自分の強みだ」と思えることを中心に発信していく。それが自分の幹になって、そこからいろんな枝葉がついていくんじゃないかと思います。

取材・文/山本二季

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