ヘルスケア&介護・看護・リハビリ業界の応援メディア
ヘルスケア 2024-05-21

自分自身の体に意識を向けてケアに専念できる場所を提供したい【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事Vol.140/整体師・田中千哉さん】#1

「ヘルスケア業界」のさまざまな職業にフォーカスし、その道で働くプロに、お仕事の魅力や経験談を語っていただく連載企画「もっと知りたい! ヘルスケアのお仕事」。

今回お話を伺ったのは、
整体師・田中千哉さん

東京・墨田区で「for.R整体院」の院長を務める田中さん。不調の根本改善を目指した幅広い施術メニューが人気です。
前編では、整体師になったきっかけや、「for.R整体院」に込めた想いを伺います。

同級生に見よう見まねで行なっていたケア。
恩師に出会ってプロの道へ

――整体師になったきっかけは?

学生時代野球部に所属していたのですが、腰を痛めている仲間が何人かいて、ときどき整体の先生が来てくれていたんです。私自身は痛めていなかったのですが、先生がやっている手技を見て、見よう見まねで仲間にやってあげていて。もちろん素人なのでうまくはできませんが、「楽になった」といってもらえるのがすごく嬉しくて、もっと深く勉強したいなと思ったのがきっかけです。

知り合いにいい先生がいると紹介を受けて、初めて施術に行ったのがカイロプラクティックでした。実際に施術を受けてみると、感動しましたね。「こんなに変わるんだ!」と体の変化に驚いたのはもちろん、先生がかっこよく見えて。実際かっこいい先生だったんですけども(笑)、私もこうなりたいと思いました。

卒業後は先生の母校に進学し、カイロプラクティックと整体を学びました。

――ちなみに、カイロプラクティックと整体の違いって……詳しく教えていただけますか?

そもそも発祥が違うんですよ。カイロプラクティックはアメリカのD.D.パーマーが背骨の歪みと体の不調の関係について体系立てたものが始まりです。

背⾻の中には脳から繋がった神経が通っているのですが、その神経は積み⽊のように重なった背⾻の隙間から出て、内臓や筋⾁などに繋がっていきます。カイロプラクティックでは、背⾻の歪みによって神経系の働きが悪くなることで体の不調が出ると考えます。動きが悪くなっている関節を矯正し、神経系の働きを回復させて⾃然治癒⼒を⾼めることがカイロプラクティックの⽬的となります。

逆に整体はその発祥自体が明確ではなく、日本古来の手技と中国発祥の手技が融合して発展してきたものといわれています。「整体(=体を整える)」という言葉通り、体に対して行う手技の総称とも言えますね。なのでカイロプラクティックにはない、筋肉をほぐしたり、ストレッチしたりすることもあるんですよ。カイロプラクティックのような明確な技術体系がないので、施術者によって施術内容が違います。

とはいえ、「自然治癒力を高める」という大きな目的に関しては同じ。「どういう理論とアプローチで行うのか」が、一番の違いになっています。

――なるほど。

私はきっかけこそ「カイロプラクティック」でカイロプラクターの先生のもとで学びましたが、今はその他のアプローチも多く取り入れているので、整体師といった方が適切かもしれません。経歴でいうと、専門学校在学中は整骨院でアルバイト。入学して1年半くらいが過ぎるとインターンが始まるので、インターンでは先の先生のところでお世話になって、卒業後も1年間くらい継続。その後2つほど整体院勤務を経て、この「for.R整体院」をオープンしました。

自分自身の体に意識を向けて
今の状態を正しく理解していただく

――この整体院をオープンしたきっかけは?

当時の整体業界は、社会保険がない会社が多かったんです。大きな会社はどうかわかりませんし、今は改善されてきていますが、私が働き始めた当時、私を含めたまわりの整体師の多くは個人事業主でした。

でも、社会保険がしっかりしたところで会社としてやっていきたいなと。そこで同じ思いを持った仲間と一緒に、会社を立ち上げることにしたんです。正直経営の知識は全くなかったんですが、ちょうどその頃、トレーニングとストレッチの専門家でありながら、経営の専門家としてコンサルタントの仕事もしている今の社長との出会いもあって。経営面は彼に任せて社長になってもらい、私は院長としてこの整体院をつくりました。

――ちなみ、整体院のコンセプトや「for.R」という名前の由来は?

私たちは「feel your body」という言葉を掲げていて、「ご自身の体を感じてほしい」というコンセプトで運営しています。昨今多くの人が、仕事のことだったり、家族のことだったり、自分の外側のことばかりに意識を向けすぎていて、自分自身の体に意識を向けることが少なくなっていると思うんです。自分がどれだけ疲れていて、どういう体の状態をしているのかというのに気づいていない人も多いので、それに気づいていただくというのが一つの目的です。

そのために、まずは私たちがお客様の体を確認します。そしてその状態を伝え、理解していただき、ここでのケアやご自宅でのセルフケアに繋げてもらうのですが、そのために行うアプローチが4つの「R」。これが「for.R」の由来にもなっていて、「リラックス、リカバリー、リメイク、リフレッシュ」ですね。ご自身の体の状態を正しく理解し、より良い体にするための適切なケアを行いながら過ごすことで、10年後、20年後の体は必ず変わると信じています。

地域に密着した仕事をする上で、
地域との繋がりやご縁は欠かせない

――田中さんの現在の働き方を教えてください。

基本的には施術が中心です。週5、一日平均6時間は、ここで施術をしています。その合間に書籍の監修をしたり、雑誌の取材を受けたり。最近は企業へ出向いてセルフケア方法のセミナーをすることも増えています。

セミナーをしていて思うのが、体を痛めている人、不調を抱えている人がすごく多いということ。それはメンタル的な意味も含めてですが、そのままにしておくのは危険です。日々少しずつでも意識して過ごしていただくことが大切なので、隙間時間に座りながらできるストレッチや、立ち仕事、座り仕事の時に気をつける姿勢、日常の中で気をつけたいポイントをお伝えし、実践してもらえるように訴えています。

――セルフケアの書籍も出されていましたね!

それは、ちょうどコロナ禍でテレワークが増えた頃に、私の普段の活動を見てくださった出版社さんからご依頼をいただいて出した本ですね。急ピッチで作って、1ヶ月くらいで仕上げました(笑)。

――それはすごい! にしても、日々お忙しそうですね。リフレッシュはどのようになさっていますか?

スタッフ同士でお互いにケアしあっています。他のサロンに勉強も兼ねて施術を受けに行くこともあります。あとは、散歩ですね。自然に触れるのが好きなので、よく散歩しています。この辺りは隅田川があったり、隅田公園があったり、自然が豊かなんですよ。

あと、働き方というのとは少し違うかもしれませんが、地域活動にも積極的に参加しています。会社としてですが、町内会に入って地域の方との交流を深めたり、お祭りに参加してお神輿を担いだり、運営を手伝ったり。この場所を選んだ理由にもなるのですが、そういう下町的な人との繋がりも大切にしています。会社というのは地域の方との繋がりの中にあるものだと思いますから。


後編では、たくさんの施術メニューがある理由や、整体師のやりがいや魅力、これから整体師を目指す人へのアドバイスを伺います。

取材・文/児玉知子
撮影/喜多二三雄

information

for.R整体院
住所:東京都墨田区錦糸1-7-16グリシーヌ1F
電話:03-3623-3232

この記事をシェアする

編集部のおすすめ

関連記事