謙虚な姿勢で患者と向き合う!ふたつの接骨院で経験を重ねて実力派柔道整復師へ【もっと知りたいヘルスケアのお仕事 Vol.155 柔道整復師 坂本直人さん】#1
ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』。
現在「ライジング鍼灸接骨院」の院長として活躍中の坂本直人さん。前編では、坂本さんが柔道整復師の道を歩むことになったきっかけと、新人時代の印象深い経験を伺いました。
お話を伺ったのは…
坂本直人さん
柔道整復師。「ライジング鍼灸接骨院」院長。平成5年、富山県高岡市生まれ。小学校から横浜で育つ。八王子の柔道整復科を卒業後、町田市などの接骨院に勤務し厳しい研鑽を積む。
部活での怪我をきっかけに柔道整復師の道へ
――坂本さんが柔道整復師を目指した経緯を教えてください。
高校生まで続けていたサッカーで怪我をして、何度も整形外科や接骨院にお世話になっていたことをきっかけに、柔道整復師を目指し始めました。
高校2年生になり進路を考え始めたときに、人生でお世話になった人たちを思い出してみたんです。そのときにふと「接骨院で練習の後のケアの方法を教えてくれた人は、なんという職業なんだろう」と調べてみたことをきっかけに、柔道整復師という仕事を知りました。
患者さんの生活や習慣に寄り添ったアドバイスをすることで、人を元気にすることができるという柔道整復師の仕事に魅力を感じて志すようになったんです。
――柔道整復師さんになるためにどんな進路を歩んでこられましたか。
高校卒業後に専門学校に3年通って資格を取得しました。人体に関する勉強をするのは初めてで、新しく知ることばかりで楽しく学んでいましたが、解剖学や生理学などの専門的な知識の獲得には努力を要した思い出があります。
――専門学校卒業後、新卒でどちらに就職されましたか?
地元近くの町田の接骨院に就職をしました。近隣には学校や会社が多い地域でしたので、時間帯によって学生さんからビジネスマンの方まで幅広い方がお越しくださった印象です。
専門学校では座学を中心に学んでいて、患者さんの体に触れるような授業が少なかったため、施術をする先輩方を見て「とてもではないが、自分には到底できなそう」と怖気づいた覚えがあります(笑)。
――どのように技術を習得していきましたか?
営業時間中に先輩の施術を見たり、実際に手技の練習を繰り返したりしながら、症例別にどんな対処をしていくべきかをひとつずつ覚えていきました。
よく院にお越しくださる患者さんへの施術でデビューしたのですが、緊張でいっぱいだったことを今でも覚えています。
おごることなく謙虚な姿勢で患者さんと向き合う
――新人時代に学んだことで印象深いことがあれば教えてください。
当時の院長先生から言われたふたつの教えが印象深く心に残っています。ひとつは、柔道整復師の仕事は一生勉強だということ。だからおごることなく常に謙虚な姿勢で仕事に望むように教えていただきました。
もうひとつ、「手技の一つ一つに意味を持って患者さんに触れるように」というアドバイスをもらいました。このふたつは今でも自分の柔道整復師として働くうえでの軸になっています。
――新人時代、失敗してしまった経験はありますか。
いつもは院長が手技を施している患者さんに、柔道整復師歴1~2ヶ月の私が施術をしたところ、面と向かって「院長先生に施術してほしい」と言われてしまったことがあります。当時はとてもショックでしたね。
ただその経験があったからこそ、院長の「謙虚な姿勢を大切に」という教えが身に染みました。以来、より技術を研鑽してきたためか、患者さんからそうした言葉をいただいたことはありません。当時はショックでしたが、必要な経験だったのだと思えるようになりました。
――坂本さんはその後、近隣の接骨院に転職されています。どんなことをきっかけに転職されたのですか?
柔道整復師としてのスキルアップを目指し、先輩が転職した接骨院で働くことにました。ここでは2年間働かせていただきましたが、ちょうどコロナの流行時期とかぶっており、朝礼ができなかったり、フェイスシールドを付けて施術をしたりした思い出があります。
感染者数が増えた時期には、患者さんが減ってしまったこともありましたね。
――ふたつ目の職場で印象的だった学びはありますか?
「報告・連絡・相談」の重要性を院長に教えていただきました。
その院では細かく申し送りをすることを求められていたので、とくに患者さんへのヒアリング力が身についたように思います。施術に入る際には、患者さんのお仕事や家族構成、趣味や生活習慣、持病などをそれまで以上に細かく問診するようになりました。
複数人が勤務する職場でしたので、「情報を理解してもらうためにはどうしたらよいか」ということに考えを巡らせて、伝え方も考えるようになりましたね。
ふたつの職場で経験を積み、柔道整復師としての道を切り開いてきた坂本さん。後編では、院長として接骨院を開業した際のお話や、整形外科と連携をしている接骨院の強み、お仕事のやりがいについて伺いました。