介護職は本に書きたいくらい楽しいことだらけ!【介護リレーインタビューvol.60/生活指導員 石山麻衣さん】#2
介護業界に携わる皆様のインタビューを通して、業界の魅力、多様な働き方をご紹介する本連載。
お話を伺ったのは…
シェフズデイサービス茅ヶ崎
生活指導員 介護福祉士の石山麻衣さん
離婚を機に茅ヶ崎市内の養護老人ホームに就職。14年の勤務の間に介護福祉士などの資格を取得し、支援員、サービス提供責任者、生活相談員を経験する。2025年にシェフズデイサービス茅ヶ崎に転職し、現在に至る。
前編では、石山さんがシングルマザーになって介護の世界に足を踏み入れたこと、順調にキャリアを重ねて生活相談員となったものの、業務の多さに身も心も疲れてしまったことなどを伺いました。
後編では、転職を決意した家族のひと言、シェフズデイサービス茅ヶ崎に転職を決めた理由、介護職の魅力などをご紹介します。
息子の「足かせを外してもいいよ」のひと言で転職を決意

シェフズデイサービスという名の通り、ランチもおやつも味が自慢。この日のおやつはベリーソースのかかったチョコレートケーキ。
――生活相談員になってから仕事量が増えて、ご家族も心配したのでは?
家に仕事を持ち込まないようにしていたんですけれど、伝わってしまったみたいですね(笑)。ふだん何も言わない息子が高校を卒業するタイミングで、「もう『子どものため』っていう足かせを外してみれば」って。
――いい息子さんですね。
子どもの成長が嬉しい反面、ちょっとショックでした。子どもたちに「足かせ」だと感じさせてしまったのか、って考えると申し訳なくなりました。
――息子さんの言葉で転職を考えたんですか?
そうですね。仕事を変えるって体力と気力が必要じゃないですか。それまでずっと「子どもたちに食べさせて、寝かせて、学校に行かせて」という気持ちだけで頑張ってきたので、じっくり考える余裕がありませんでした。
――一人で二人のお子さんを育てるのは大変です。
もともと、他の施設も見てみたいな…という気持ちはあったんです。資格を取って勤め始めた養護老人ホームしか知りませんでしたから。
それに転職をするなら、年齢的にも今のタイミングしかないな、とも感じていました。歳を取ってからだと、転職する気力がなくなっちゃう気もしていました。
――勢いも大事です。
それで12月に退職することに決めました。「すぐに決まるはずがない」と思っていたので、のんびり休みながら仕事を探すつもりでした。
――シェフズデイサービス茅ヶ崎に決めたのはどんないきさつで?
今まで100人規模の大きな施設だったので、今度は小規模で利用者さんとじっくり向き合える施設がいいと思っていました。
前からホームページやインスタでシェフズデイサービスのことは知っていて、「こんな施設、いいな」と思っていたんです。でも、私が見ていたのは横浜エリアの施設だったので、「通えないな」って諦めていました。
――茅ヶ崎からだと、ちょっと遠いですよね。
諦めていたときに茅ヶ崎の求人があって、「これはチャンス!」と(笑)。すぐに応募しました。
――トントン拍子ですね。
会社を辞めたらしばらく休もうと思っていたのに、12月末に辞めて、1月4日にはもうここで働きはじめました(笑)。
「あなたがいて良かった」という仕事ができたことが誇り

転職してから、息子さんに「楽しそうだね」と言われるようになったとか。
――お話を伺っていて、大変なことも全て笑い飛ばしてしまう大らかさを感じます。今まででピンチだったことはありますか?
これは前の職場のことですが、コロナの時期に施設内でクラスターが起こってしまったんです。現場の職員と感染していない利用者さんを守るために、事務方の私たちがコロナ患者さんたちをケアすることになったんです。
――5年前だと、もう石山さんは生活相談員ですね。
1日16時間、防護服にマスク、ゴーグルを着けた完全防備の状態で働きました。認知症の方もいたので、食事から排泄、着替えの介助をして、仕事が終わったら食事の支度もできないくらい疲れ切っていました。真夏だったので防護服に汗が溜まってしまうほどだったんですよ。
――うわぁ。それは大変!
これだけ汗をかいたら痩せているだろうと思ったら、1㎏も減ってない(笑)! しかも、コロナ患者だらけの中にいて感染しませんでした。
――すごい! それほど過酷な中でも、「辞めたい」とは思わなかったんですか?
生活がかかっていたので、辞めようという気持ちにはなりませんでしたね。
辛いときは同僚と想いを共有して、無理に乗り越えようとか忘れようとしないで、ただ気持ちを受け止めていました。
それに、この仕事をして15年間、基本的にはずっと楽しいです。
――石山さんは強いです。
前の職場を辞めるとき、引き継ぎが必要だったので関わってきた利用者のご家族に転職することを伝えたんです。そうしたらお手紙をいただきました。「石山さんで良かった」とか書いてくださって、私の宝物ですね。「本当にこれでいいのか」と思いながら仕事をしてきたので、手紙をいただいて自信になりました。
――この仕事を目指す方にアドバイスをお願いします。
人の役に立とうとか、福祉の精神がなくても大丈夫です。こんなに毎日笑って過ごせる仕事はありません。世間的には人気のない仕事のようですが、人生の先輩から学ぶことは本当に多いですよ。
石山さん流! 生活指導員の心得三か条
1.研修や受験のチャンスがあれば、迷わず受けること。
2.利用者や家族の気持ちに寄り添い、常に最善の方法を考えること。
3.辛いことは無理に乗り越えようとせず、先ずは気持ちを受け入れること。
撮影/森 浩司













