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介護・看護・リハビリ 2020-03-29

訪問介護員としてずっと利用者さんのそばで働きたい! 介護リレーインタビューVol1【サービス提供責任者 佐藤祥子さん&菊地博美さん】#2

介護業界にはどのような職種や働き方があるのか、そして、より具体的な仕事内容をお伝えするべく、現場で働く介護従事者の生の声をお届けする連載企画。

訪問介護サービスにおいて、介護プランの作成やスタッフのシフト管理など、訪問介護事業所に必要不可欠な存在である「サービス提供責任者」。今回、高齢者や障がい者の方に向けた訪問介護サービスを行う「ケアサポートあすなろ三鷹(有限会社あすなろ会)」で働くサービス提供責任者の佐藤祥子さん&菊地博美さんにお話を伺いました。

サービス提供責任者という役職でも訪問に出向くことが多いというお二人。訪問介護の仕事が大好きで、何よりも利用者さんとの関係づくりが重要であり魅力でもあるとお話しされていました。

この後編では、サービス提供責任者の視点から訪問介護の現状について教えてくださいます。

《プロフィール》

佐藤祥子さん(39歳)…介護福祉士。病院勤務を経て、有限会社あすなろ会に入社し訪問介護をスタート。訪問介護歴13年のベテラン。

菊地博美さん(30歳)…介護福祉士。福祉系の短大を卒業後、20歳で有限会社あすなろ会に入社。訪問介護は学生時代のアルバイトからはじめて12~13年目。

訪問介護の大変さ&向いている性格

いざという時に一人で対応しなければいけないのが訪問介護

菊池さん(写真・左)と佐藤さん(写真・右)

――今の仕事をしていて苦労したことはありますか?

佐藤さん私は初対面の人に対しても緊張するタイプではなく、お話しするのも好きな方なのであまり苦労を感じたことはないですね。ただ、やはり利用者さんと、本当の意味で信頼関係を築くのは大変ですけどね。

菊地さん私は祖父母と暮らしていたこともあり、高齢者の方に接することに慣れていました。むしろ私としてはウェルカムという感じですね(笑)。とは言っても、相手によっては構えてしまう方もいるので、様子を見つつ接するようにはしています。

――やはりお二人のような性格が訪問介護に向いているんでしょうか?

佐藤さん利用者さんが人見知りの場合もあるので、こちらも人見知りだと良好な関係を築きにくいので、誰とでも話せるということは大事かもしれません。あとは、利用者さんのお宅で一人で仕事をこなすことになるので、何かあったときに他に助けてくれる人がいないということも訪問介護の特徴です。だから、緊急事態が起きても、焦らず行動しなければいけないことを理解している人ですね。

――冷静さを身につけるにはそれなりの経験が必要ですね。ちなみに、ずっと寡黙なままのスタッフさんはいないのですか?

菊地さん寡黙な人でも慣れてくると話せるようになっていますよ。

佐藤さん最初はどうしても利用者さんから距離を置いてしまう人や緊張してしまう人はいますが、この仕事を選んでいるわけだから、本当は人とお話しするのが好きな性格なんだと思うんですよね。だから慣れるのを待ちましょう!

菊地さん中には、話しかけるなという利用者さんもいますが、私たちの場合だとそれがつらいんです!!

佐藤さんとにかくお喋りせずにはいられないんです、私たちは(笑)

――介護の仕事に対してギャップを感じたことはありましたか?

菊地さん訪問介護でももちろん最期を迎える方もいるので、そこは思っていた以上に辛いことでしたね。あとは、ご家庭によっては決まりごとが多かったりするので、そういうことを覚えなければいけないということですね。仕事に関してのギャップは特にないですね。

――体力面でも結構きつい仕事だと聞きますが…

佐藤さん入社当初や最初のうちは、無理した介助の仕方をしたり、技術が身についてないために力任せにやったりして腰を痛めることが多々ありました。長くやっていく中で、力を使わずにできる介助の方法が身について、腰を痛めることはほとんどなくなりましたよ。緊急の場面でとっさに取った行動で身体を痛めるということはありますが、日々の業務で身体を痛めることはないですね。

――それも経験値があってこそですよね。

佐藤さんそうなんです。経験を積むにはそれなりに時間がかかるので、「あすなろ」では、現場スタッフたちに自分の身体を痛めない介助テクニックを教えることもしているんです。

――お二人のリフレッシュ方法を知りたいのですが、休日と仕事はきっちり分ける方ですか?

佐藤さん休日は全然仕事のことは考えません(笑)。

菊地さん今2歳の子どもがいるんですが、なるべく子どもと一緒にいる時間を取るようにしています。昨年の4月から仕事復帰したのですが、平日に保育園に子どもを預けている分、休日は思いっきり子どもと遊び倒します! それが私のリフレッシュ方法ですね。

佐藤さんうちは逆に子どもが大きくなったので自分の時間を満喫していますよ。飲みに行ったり買い物に行ったり。

――お二人は本当に楽しそうにお話しされますよね。お二人にとってお喋りがリフレッシュ方法のような感じですか?

佐藤さん本当そうかもしれない(笑)

菊地さん自分が思っている以上に周りからそう思われているかもしれない!

介護業界の現状と課題

訪問がなくなって空いた時間は研修を入れてみたり!

――「あすなろ」さんは若いスタッフさんも多いですか?

佐藤さん若いスタッフもいますが、基本的には年配の方が多いですね。うちでも求人募集はしているんですが…。訪問介護のパートだと、訪問した先での時給換算になるので、若い方だと一日中確実に仕事ができる施設に流れてしまうんですよね。やっぱり、利用者さんが施設に入ったり入院したりすると、その間仕事がなくなっちゃうので。だから、「あすなろ」ではそういう時でも仕事と時給を保証するような勤務体制を取り入れてみたんです。訪問がなくても1日いくらかの給与を支払うという体制など。

――訪問がなくなった代わりに研修を入れたり、ということですか?

佐藤さんそうですね。本来その現場スタッフが訪問介護するジャンルとは違うジャンルを教えることもしています。時間が空いたから他の分野も研修してみようか!という風に。そうすれば、現場スタッフたちのスキルの幅も広がって、色々なレベルの介護に対応できるようになりますしね。

――お二人が感じている介護業界の課題とは何でしょう?

菊地さんまずは人材不足ですよね。そして定着率の低さ。介護業界って中途で入ってくる人が結構多いのですが、その中でもあまり続かない人もやっぱり多くて…。

佐藤さん特に訪問介護だと、一度のサービスに一人しかスタッフを派遣していません。だから、担当のスタッフが休んでしまうと、代わりの人を補填しなければいけないので大変なんです。特に小さなお子さんがいる方だと急なお休みを取らなくてはいけない時もありますし。常勤スタッフも常に体を空けておける状況ではないので、シフト管理が難しくなってくるんですね。応募する側にとっても募集する側にとっても、それが訪問介護の難しいところです。

今後の目標

ずっと利用者さんのそばで共感していきたい

――介護の仕事をしていく上で今後の目標はありますか?

佐藤さん今の仕事はとても楽しいのでずっと続けていくつもりです。訪問先では、仕事をしているという感覚があまりなくて、利用者さんに楽しませてもらっているくらいです。だから、これからも利用者さんと一緒にいたいというのが私の望みです。ただ、一線は超えてはいけないということは肝に銘じていますよ。私たちは利用者さんの家族ではないので、あまりにも深いところに入りすぎてはいけないんです。ギリギリのところまでは近づいて、一緒に共感していきたいですね。

菊地さん私もこの仕事が気に入っているので施設で働くという選択肢はないです。1対1の仕事スタイルが、私にとっては何といっても魅力です。

佐藤さんそうですね。意識向上していきたい!

――最後に、介護業界を目指している人へメッセージをお願いします!

佐藤さん実際に働いている私たちからすると、介護業界は大変!ということはありません。どんどん活躍してほしい!

菊地さんマイナスイメージの方が世間的には強いけど、もっと気軽に入ってきてもらえたらと思います。

【サービス提供責任者とは?(一言)】

現場に入って、利用者さんに共感していく仕事

今回は、お二人とも「喋らずにいるのは苦痛!」と言うだけあり、笑い声が溢れた取材になりました。訪問介護は、一人で担当する分緊張感のある職業というイメージがあった中で、「利用者さんに楽しませてもらうことが多くて、仕事している感じがしない」とおっしゃっていたことが印象的でした。利用者さんと会話することも大事な仕事のひとつと考えると、訪問介護に興味を持つ人にとって、気持ちの上でもハードルが少し下がるのではないでしょうか?

取材・文/佐藤咲稀(レ・キャトル)
撮影/岩田慶(fort)

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ケアサポートあすなろ三鷹

住所:東京都三鷹市上連雀8-18-11
電話:0422-40-0196
サービス提供時間:365日 24時間
URL:https://www.care-asunaro.com/mitaka.html

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