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ヘルスケア 2020-03-23

【もっと知りたい!「ヘルスケア」のお仕事 vol.4】セラピスト歴18年。第一線で活躍しつづけるための極意とは?

柔道整復師、鍼灸師、整体師など、近年、健康意識が高まるにつれてさらに注目を集めている「ヘルスケア業界のお仕事」にフォーカスした新企画がスタート。

今回は、エッセンシャルオイルを用いてホリスティックセラピーを行うアロマセラピストの幅広い働き方をご紹介。

アロマセラピストの資格を持ち、老舗サロンで経験を積んだ後にホリスティックセラピー「パチュリ」を開業された原田尚子さん。その道を志したきっかけやセラピストの幅広い働き方についてお聞きしました。

教えてくれたのは…

原田尚子さん

ホリスティックセラピー「パチュリ」主宰。英国IFA認定アロマテラピスト。あすわマヤンカレンダーリーダー。サロン勤務を経て独立。アロマトリートメントとリンパティックケア、身体均整法という整体の技術を組み合わせたオリジナルの施術を行い、気持ちいいだけに留まらない、結果が出る施術に力を入れている。また、「あすわマヤンカレンダーリーダー」としても活動。サロンでは「あすわマヤ鑑定®」のセッションも行っている。

技術を磨くために2つのサロンを兼業

―はじめに、原田さんがセラピストを目指されたきっかけを教えてください。

大学卒業後に勤めたPR会社を退職したとき、少し時間ができたので、何か学ぶことができるんじゃないかと思ったんです。そのときに思い出したのが、母がやっていた自然療法。母は私が子どもの頃から、当時ではめずらしいエッセンシャルオイルやハーブを使って家でいろいろ実践していました。その影響もあり、何かそういう勉強をしてみるといいんじゃないかと思って。「カリス成城」というエッセンシャルオイルを扱っている老舗のお店に足を運び、専門学校のパンフレットを手にしたのが、のちにセラピストの道へ進むきっかけになりました。

―もともとお母さまの影響があったのですね。当時はまだアロマセラピーの学校は少なかったと思いますが、どこでどんな勉強をされたのでしょうか?

IFA(国際アロマセラピスト連盟)の認定校として日本で2番目に開校した「ロンドン・スクール・オブ・アロマテラピー・ジャパン(LSA)」に月に2回、一年半通いました。スクールでは、ホリスティック医療と植物療法の理論をはじめ、エッセンシャルオイルの作用について深く学びました。エッセンシャルオイルには化学式があるので、化学の授業もあるんですよ。「こういう分子を持っているものはこんな働きをする」というのが化学的にも証明されているんですね。また、エッセンシャルオイルは身体に作用するので、解剖生理学や病理学も学びました。他にも使用法やオイルトリートメントなどの実技。後半に少しだけ、独立するためのビジネスの話もありました。宿題がとても多かったですね。解剖生理学の本に、血管、神経細胞、内臓に色を塗って必死に覚えました。

―アロマセラピーの基礎をそこでしっかり学ばれたのですね。
 その後、アロマセラピストとしてどのようなキャリアを歩まれたのでしょうか?

スクールに通った当初は、自分のためになればいいなと趣味の延長だったんです。でも授業が終盤になって実技が入ってきたとき、同期に施術をしてもらったらとっても気持ちよかったんですね。実はそれまできちんとした施術受けたことなかったんです(笑)。こんなにいいなら、これを仕事にしようかなと。スクールの卒業試験と同時にIFA(国際アロマセラピスト連盟)の資格を取って、友人に紹介してもらった乃木坂のサロンで働くようになりました。

サロンではセラピストとしてすぐに現場に入りました。何年か働いて仕事にも慣れてきた頃、他のサロンのやり方や経営方針ものぞいてみたいと思い、経堂にあるサロンでも働くように。経堂では、整体師やリフレクソロジストもいらしたのでとても刺激になり、自分の技術向上にもつながりました。また、2つのサロンで使っているエッセンシャルオイルが違っていたり、施術の料金体系も違っていたので、双方を経験したことはとてもよかったと思います。

―2つのサロンを掛け持ちすることで、技術向上にもつながったという原田さん。
 長年勤めていたサロンから独立し、パチュリを立ち上げた理由を教えて下さい。

両サロンでたくさんのことを学ばせてもらったんですけど、一人一人のお客様に満足のいくことができていないと思ったんですよね。お店では時間が限られているからお話もあまりできないですし、アフターフォローも満足にできない。流れ作業のように次から次にといった感じで。お店ですから仕方のないことなんですけれども、それは私の本当にしたいことじゃないなと思うようになったんです。とは言っても、経営のノウハウもなかったため、乃木坂のサロンを続けながら、レンタルスペースを借りて月に数回お店を開くことから始めました。そこからマンションの一室を借りたのを機に本格的にサロンをスタートして現在に至ります。

―独立されたとき、集客で悩んだり、何かに困ったりしたことはありましたか?

すごく悩んだ時期もありました。お客様が来ない日が続くと、不安に押し潰されるというのはこういうことだなと実感しました。サロン時代は何でも話せるスタッフやアドバイスをくれる先輩がいましたが、独立したら感情や精神的なものの処理を一人でしなければならない。でもそんなときに友人が、「じっとしていてもしんどいだけだから遊びに行きなさい」と声をかけてくれたんです。散歩でもお茶でもいいから何か他のことをしなさいって。それがよかったんですよね。そうこうしていると、お客様の予約が入ったりするんです。最初の頃はその繰り返しです。意識の置き所が大事だと思っているので、予約がない日は掃除をしたり、経理をしたりしています。

アロマセラピーと整体を組み合わせで手応えを実感

―その後、丁寧な施術が評判を呼び、第一線で走り続けてきた原田さん。
 接客するうえで日々心がけていらっしゃることはありますか?

お客さまの要望にきちんと答えられているか、それに答えるにはどうしたらいいかを常に考えています。アロマセラピーって触るだけでも気持ちいいんですよね。だから「気持ちよかった〜」で帰ってもらうことはできるんですが、その人が持ってきた訴えが緩和されているかどうかが大切。腰痛、四十肩、首が痛いというのは、ある程度緩めることはできるけれども、アロマセラピーの技術だけではどうにもならないことがあるんです。それをどうにかしたいと思い、整体の議論や技術などを学んで2014年頃から取り入れています。私が学んだ整体は「身体均整法」というもの。自分の持っている技術で満足せず、お金と時間をかけて、今自分に必要なものを取り入れ続け、学び続けて実践するというのを大事にしています。

それともう一つ、お客さまのことに踏み込みすぎないように意識しています。生活養生や「あすわマヤ鑑定」などを通じて、私の学んだ情報はきちんとお伝えしたいと思っていますが、専門のカウンセラーではないので、会話を通して相手を変えようとは思っていません。体のケアをして心身ともに安定したりというのはあっても、カウンセリングのプロではないため、中途半端に踏み込んではいけないと思っています。

―貴重なお話をありがとうございます!
 では、原田さんの1日のスケジュールを教えてください。

接客、施術に加え、備品管理(仕入れ)、経理、掃除、洗濯も一人でしていますので、変動はあります。自分自身もリラックスしている状態で施術をすることも大切。『猫と遊ぶ』時間も適当なタイミングで入ってきます(笑)

お客様の要望に応えるために学び続ける姿勢が大事と教えてくださった原田さん。次回はアロマセラピーの魅力やこれからセラピストを目指す人たちへのアドバイス、今後の展望を教えていただきます。

取材・文:長井麻記
撮影:中村 早

▽#2はこちら▽
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Salon Data

ホリスティックセラピー「パチュリ」

住所:東京都町田市玉川学園5丁目
※詳しい住所と道順については予約時にお知らせしています。
電話:042-720-7921
URL:https://www.aroma-patchouli.com

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