鍼灸師と柔道整復師はどこが違うの? 仕事内容や資格・お給料の違いを紹介!
鍼灸接骨院などで、一緒に施術をおこなうことの多い鍼灸師と柔道整復師。いずれも国家資格であり、おもに医療関係の職場に従事する職業です。
しかし、実際にそれぞれでどんな違いがあるのか知っている人は少ないでしょう。今回の記事では、鍼灸師と柔道整復師の仕事内容・資格条件・就職先・給料の違いなどについて、くわしく解説していきます。
鍼灸師と柔道整復師はどこが違うの?
鍼灸師と柔道整復師は似たようなイメージが持たれがちな職業ですが、実際にはあらゆる面で違いがあります。
つづいては、仕事内容・資格の取り方・働く場所・給料などから鍼灸師と柔道整復師の違いをみていきましょう。
1. 仕事内容の違いを紹介
鍼灸師と柔道整復師は、それぞれ仕事内容が異なるのが特徴です。患部にどのようなアプローチをするのか、治療するにあたってどのような道具を使うのかなど、さまざまな点からその違いを説明していきます。
鍼灸師の仕事内容|鍼灸を使った施術
鍼灸師は、鍼(はり)や灸(きゅう)を使って体のツボを刺激し、病気や体の不調を整える職業です。鍼・灸の治療は東洋医学にもとづいており、ツボを刺激することによって「気」の巡りをよくし、人間本来の自然治癒力をサポート狙いがあります。
鍼治療では直径0.2mmほどの極細の鍼で患部のツボと神経を刺激。灸治療では、もぐさを患部に乗せて線香の火で燃やし、その熱によってツボに刺激を与えます。
柔道整復師の仕事内容|打撲や骨折などに対応
柔道整復師は、日常生活やスポーツなどで生じた打撲・捻挫・脱臼・骨折・筋肉や靭帯の損傷などのさまざまなケガを薬剤や外科的手術ではなく、手による整復・固定法で患部を整えます。
整復は、手技によって患部を正常な状態に、固定法は、ギプスやテーピングを用いて患部のサポートします。施術後には、患者さんの生活に対する指導管理などをおこなうのも仕事のひとつです。
2. 資格の違いを紹介|どちらも国家資格
鍼灸師と柔道整復師はいずれも国家資格なので、試験に合格しなければいずれの職業も名乗ることはできません。ここでは、それぞれの資格の概要・試験方法・受験資格についてみていきましょう。
鍼灸師の資格|はり師・きゅう師
鍼灸師は、はり師国家試験ときゅう師国家試験の両方に合格し、はり・きゅう治療に必要な知識・技術を習得している人のことをいいます。
はり師国家試験ときゅう師国家試験は同時に受けることができ、共通科目の試験は申請によって免除することが可能。試験は、筆記方式となっています。
受験資格は、以下のとおりです。
・学校教育法の規定により、大学に入学することができるもの
・国が認定した学校または養成施設(専門学校)において、3年以上はり師・きゅう師に必要な知識および技能を習得したもの
柔道整復師の資格
柔道整復師は、柔道整復師国家試験に合格し、柔道整復に必要な知識・技術を有している人のことです。試験は、筆記形式でおこなわれます。
受験資格は、以下のとおりです。
・学校教育法の規定により、大学に入学することができるもの
・国が認定した学校または養成施設(専門学校)において、3年以上柔道整復師に必要な知識および技能を習得したもの
受験資格を得る方法|大学や専門学校の学科で学ぶ
鍼灸師も柔道整復師も、国家試験の受験資格を得るためには、国や県が認めた養成機関に通う必要があります。大学や短大以外には、どのような養成機関があるのでしょうか。
鍼灸が学べる学校の一例|東洋鍼灸専門学校
鍼灸師の国家試験の受験資格を取得できる養成機関には、東洋鍼灸専門学校があります。この学校では、鍼灸科と鍼灸あん摩マッサージ指圧科を設置。鍼灸科には夜間部もあるため、日中は働きながら学ぶといったことも可能です。この科では1年次からの実技と臨床教育で、鍼灸に関わる伝統、現代、美容までのあらゆる治療について学ぶことができます。
昼間部である鍼灸あん摩マッサージ指圧科には、幅広い年代層の学生が在籍しており、はりやきゅう、あんまをバランスよく取り入れた施術を学ぶことが可能です。
柔道整復が学べる学校の一例|東京メディカル・スポーツ専門学校
柔道修復師の国家試験の受験資格を取得できる養成機関のひとつが、学校法人慈慶学園東京メディカル・スポーツ専門学校の柔道整復師科です。3年間の過程のなかで、基礎から専門知識と手技、国家試験対策を学べます。
担任とチューターがダブルサポートで指導をおこなってくれるため、こまやかな学習指導を受けることが可能。さらにこの学校では、経験豊富な柔道整復師から実際に医療技術とトレーニング法を学べます。
どちらの資格でも活躍できる資格もある|機能訓練指導員
鍼灸師または柔道整復師のいずれかの資格を持っている場合、「機能訓練指導員」として働くことができます。
機能訓練指導員とは、介護施設や医療施設などで患者さんの身体状況に合わせて機能訓練プランを作成し、それを実施する職業です。
鍼灸師・柔道整復師のほかにも、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師・あん摩マッサージ指圧師の資格保持者が機能訓練指導員になることができます。ただし、鍼灸師の場合、機能訓練指導員が在籍する職場での半年以上の実務経験が応募の条件となるので注意しましょう。
ダブルライセンスもおすすめ|独立開業にも有利
鍼灸師と柔道整復師のどちらか一方の資格ではなく、両方の資格を取得するという選択肢もあります。それぞれに別の時期に資格を取得するとなると計6年の習得期間が必要ですが、ダブルライセンスを目指して同じ時期に学べば、3年の習得期間で両方の資格を取得することが可能です。
ダブルライセンスであれば、より多くの疾患と患者さんに対応できるようになるので、働ける場所の幅が広がり、就職で有利になるでしょう。また、独立開業する場合もダブルライセンスのほうが有利に働きます。
3. 職場の違いを紹介!
鍼灸師または柔道整復師の資格保持者は、働く場所としてどのような選択肢があるのでしょうか。鍼灸師・柔道整復師の職場と、その違いについてみていきましょう。
鍼灸師の職場|鍼灸院や病院など
鍼灸師の就職先として挙げられるのは、鍼灸院・接骨院・病院・診療所・介護福祉施設など。基本的に医療関係の施設が、おもな職場です。
近年は、鍼灸の効果が美容業界やスポーツ業界で注目されるようになっており、エステサロン・フィットネスジム・トレーニングジムなどで鍼灸師が働くケースも増えています。
柔道整復師の職場|接骨院や整骨院など
柔道整復師の就職先は、接骨院・病院・介護福祉施設など鍼灸師同様に医療関係の施設が多いです。病院で働く場合、整形外科やリハビリ科などに配属されるケースが多いといわれています。
柔道整体師はスポーツ業界での需要が高いため、スポーツジムやフィットネスジムで働く人も増えてきました。
どちらの資格でも活躍できる職場もある|スポーツトレーナーなど
鍼灸師または柔道整復師の資格を持っている人の職場として、スポーツトレーナーという選択肢があります。スポーツトレーナーの仕事はメディカルトレーニングとコンディショナルトレーニングの2種類にわかれており、前者は選手の応急処置・リハビリテーション・スポーツマッサージ、後者は選手のトレーニングプログラムの作成、ウォーミングアップやクールダウンの指導などです。
現在、プロのスポーツトレーナーとして仕事をしている人の9割以上が、鍼灸師・柔道整復師いずれかの資格、または両方を取得しています。
4. お給料の違いを紹介!
最後に、鍼灸師と柔道整復師のお給料の違いについてみていきましょう。最新の求人情報から鍼灸師と柔道整復師の月収、時給の相場をご紹介するので、鍼灸師および柔道整復師として働きたいと思っている方はぜひ参考にしてみてください。
鍼灸師のお給料
鍼灸師として鍼灸院や接骨院で働く場合、平均月収は22万円~30万円程度となっているようです。
キャリアが増えるに応じて月収も増え、最高月収を50万円程度に設定している医院も多くみられます。アルバイト・パートとして働く場合は、時給の相場は1,000円~1,200円程度です。
柔道整復師のお給料
柔道整復師が接骨院や整骨院で働く場合、平均月収は25万円~33万円程度であり、鍼灸師よりやや高めになっています。
鍼灸師同様にキャリアに応じて月収が高くなり、最高月収の相場は60万程度でした。アルバイト・パートとして働く場合は、時給の相場は1,100~1,400円程度です。
鍼灸師と柔道整復師はどちらも国家資格! ダブルライセンスもおすすめ
社会人の方が鍼灸師または柔道整復師を目指す場合、おもに専門学校の鍼灸師学科・柔道整復学科・リハビリ系学科などで、必要な知識・技術を学ぶことになります。日中学校に通う時間を確保するのがむずかしいという方は、夜間部の受付をしている学校を探してみるのもよいでしょう。
鍼灸師と柔道整復師は、似ているようで実は仕事内容が大きく異なる職業です。どちらが自分に合っているかを慎重に考えたうえで、資格取得を目指してみてください。余裕があれば、鍼灸師と柔道整復師のダブルライセンスを目指すのもおすすめです。
引用元:
厚生労働省 職業情報提供サイト はり師・きゅう師
厚生労働省 はり師国家試験の施行
厚生労働省 きゅう師国家試験の施行
厚生労働省 柔道整復師国家試験の施行
日本柔道整復師会 柔道整復師とは
日本柔道整復師会 日本機能訓練指導員協会