【もっと知りたい! 「ヘルスケア」のお仕事 vol.8】BodySign?・宮本晋次さんが考える「整体師に求められるマインド」とは
「ヘルスケア業界」の多様な働き方を紹介する「もっと知りたい! ヘルスのお仕事」の企画。今回は「整体師」の職業に焦点を当ててお届け。
整体師・カイロプラクティックの技術で、多くのアスリートや著名人の骨格矯正に携わってきた宮本晋次さん。前回は、その道を志したきっかけや働き方についてお伺いしました。今回は、宮本さんが感じる整体師の仕事の魅力や、未来の整体師に向けたアドバイスをご紹介します。
忘れて欲しくない「整体師は命を預かる仕事である」ということ
――前回、宮本さんのマインドを後進に伝えるために、スクール併設のサロンを開かれたとお伺いしました。宮本さんが整体師として大切にされているマインドとは?
一番大切にしているのは、「命を預かっている」という意識を持つことです。
現代の整体は、骨格矯正があるところ、揉みほぐしだけのところ、アロマ系の整体など、多種多様になっています。僕の場合は、「骨格矯正」がメインです。
個人的主観ですが、「骨格矯正」は一番効果がある施術の反面、とても危険を伴う仕事だと考えています。過去の業界の歴史でもあったことですが少しのミスで、障害が残るようなことになる可能性もある。そうなればお客様本人だけでなく家族を含めて人生を狂わせてしまう。
逆に、効果が得られれば、いい方向に人生が変わります。
なんとなく関わってしまうと、事故につながる。どのようなスタンスのお店で働いたとしても「命を預かっている」と胸に刻みながら施術に関わらなければいけない。そのことを、整体師として忘れてはいけないと思っています。
――それを実践するために必要なこととは?
毎日の基本の反復練習や、意識をして上司の施術を見ること、見たものはすぐ実行して自分の財産にすること、技術・意識のレベルを高く持つことですよね。もちろん、できることから一歩ずつ。
日々痛みを根源から緩和するということを意識する、昨日よりも今日の自分が高いレベルで効果が出せるように関わっていかなければいけません。施術は慎重に慎重を期すことが大事ですし、カウンセリングの際、お客様の状態に違和感を持ったら、それを指摘することも重要なので、些細なことをキャッチするという意識を持つことがとても重要なのです。
――宮本さんは、カウンセリングも重視されているんですね。
カウンセリングは、体の不調だけでなく、心の不調をキャッチすることにもつながります。
現代では「心」にも何かしらのストレスを抱えている人が多いので、カウンセリングの能力=聴き力が必要です。心と体の不調は、つながっていますから。心の不調から、体の不調の原因を探るということにもつながるんです。
カウンセリングには、技術的なマニュアル以外の直感や、洞察力、共感力を養うことも大切なので、スクールでは、技術はもちろん、整体師のマインドを伝えること、カウンセリング法のレッスンにも力を入れています。
「心と体はリンクしている」心も救う整体という仕事
――宮本さんが感じる、整体師の仕事の魅力ややりがいはなんですか?
施術後の笑顔が、最高の報酬ですね。
体の不調が緩和してパフォーマンスがあがれば、お客様の「人生のステージ」が変わります。サービスの提供がゴールではなく、その先の人生までよい方向に向かわせてあげられる。そして、それに感謝していただける、奇跡の仕事だと思っています。
僕自身、高校生のときに恩師から施術を受けてから、人生が劇的に変わりました。心と体はリンクしている。そのことは、今でも自分の理念になっています。
――整体師を目指すうえで、必要な心掛けは何だと思いますか?
これは私のエゴですが、やっぱり、自分の手で多くの人を楽にしたい、幸せにしたいという気持ちで整体師を目指す人が、多くいて欲しいなと思います。
現状では、フランチャイズなどの大型店はもちろん、個人店でもマニュアル化された整体院が増え、自分の理念もビジョンもなく日々何となく仕事をしている人が多くなりました。経営をする以上マニュアルは大切なので、そこは否定しません。でも、僕個人としては、「整体とは命を預かる仕事である」「痛みの根源にアプローチする」「お客様の心の不調まで幸せにする」ということを意識しているので、とても違和感があります。
何となくで、できる仕事じゃない。「命を預かっている」ということを忘れないで欲しい。そして、お客様が自分の技術に「お金を払う」ということの価値を理解しなければいけないですよね。
来店する人には、さまざまな理由があります。どこに行っても改善されずたどり着いた、月に1回の自分へのご褒美…。そして、その施術代は、汗水たらして稼いで、やっと自分のために使える大切なお金と大切な時間かもしれません。
そこで、整体院に行って「やっと心と体の疲労から解放される」と思ったのに、担当者からは真剣さが感じられず「何となく」で揉まれてしまったら? 大切なお金をドブに捨てるような気持ちになるはずです。月1回のご褒美が、後悔や不満の残る残念な時間になってしまうかもしれない。だからこそ、お客様の背景を理解し、マニュアル通りに何となく揉むなんてことはあってはいけないんです。
――では、これから整体師を目指す人に、アドバイスをお願いします。
今は本当に多種多様なお店がありますし、いろんな整体師がいます。
だからこそ、まずは「どんな整体師になりたいか」というビジョンを明確にすること。そして、働く店を選ぶときは、そのビジョンに合った場所・人を選ぶことが大切だと思います。その場所で先輩の施術を見たり、反復練習をしていけば、目指す技術を無駄な時間をかけずに習得できます。
また、上司に恵まれたり、セミナーなどでの勉強を続けていると、ちょっとしたアドバイスで自分が大きく変化するときがきます。それには、自分の意識を高く持っていられるかが重要です。自分で意識して行動しない限り、上達はあり得ない。技術は一朝一夕では手に入りません。でも、努力すれば、おのずと結果につながります。小さな目標を設定して、一つ一つクリアしていく。成功体験を積み上げ、『自己承認』をしていくことが大切だと思います。
「BodySign®」宮本さん流! 整体師として忘れてはいけない3つのマインド
1.命を預かる仕事であると理解すること
2.マニュアル通りではなく、相手の気持ちを理解し寄り添うこと
3.心と体の両方面からケアができる存在であること
リラクゼーション業界が多様化し、さまざまな整体師が増えているなかで、よりお客様に寄り添った整体師が増えて欲しいと考えている宮本さん。宮本さんが持ち続けている、整体師として忘れてはいけないマインドが伝わりました。次回は宮本さんの手技にフォーカスした内容をお届けします。
▽#3はこちら▽
【もっと知りたい! 「ヘルスケア」のお仕事 vol.8】BodySign®・宮本晋次さん流! 整体師の手技&技法>>
取材・文:山本二季
撮影:奥村亮介(スタジオバンバン)
教えてくれたのは…
BodySign® 院長 宮本晋次さん
全身骨格矯正師®。村上整体学院(現:村上整体専門医学院)卒業後、整形外科をはじめ様々な場所で就業。その間に2度の開業&2度の閉店を経験し、2005年に有限会社プロポーション・スタジオを設立、2007年に整体院「BodySign®」をオープン。2010年に株式会社ボディサインを設立し、日本橋人形町にスクール併設のトータルボディケアサロン「~日本橋矯正スタジオ~ BodySign®」を移転オープン。独自開発の全身骨格調整法の技術で、多くのアスリートの骨格調整に携わるとともに、後進の育成に努めている。「宮本晋次の整体の学校」http://seitai-kikaku.jp/taiken/
Store Data
BodySign®(ボディサイン)~日本橋 矯正スタジオ~
住所:東京都中央区日本橋人形町1-11-9 レイニアビル2F
TEL:03-6661-0880
URL:https://body-sign.jp/