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特集・コラム 2020-07-15

介護タクシーのドライバーになるには資格取得が必要なの?|開業には何が必要?

自力での移動が困難な高齢者や身障者の生活を支えるのが介護タクシーです。そのドライバーとして働くためには必要な資格を取得しなければなりません。ここでは介護タクシードライバーになるために必要な資格の種類と、介護タクシーサービスを開業する方法について解説します。

介護タクシーのドライバーになるには資格取得が必要!

介護タクシーのドライバーとして働くためには、定められている資格を取得しなければなりません。ここではそれらに必要な資格の詳細をご紹介します。

 普通自動車第二種免許|普通自動車免許ではダメ!

介護タクシーをはじめとした自動車を運転する仕事で運賃などの収入をえる場合、普通自動車第二種免許を取得しなければなりません。普通自動車免許だけしか所持していないと、介護タクシーのドライバーとして働くことはできないため注意しましょう。

普通自動車第二種免許の取得方法は?

普通自動車第二種免許は自動車教習所を卒業したあとに、運転免許センターで学科試験に合格することで取得できます。また、直接運転免許センターで受験し、技能試験と学科試験に合格することでもこの免許の取得は可能です。

資格取得の条件はある?

普通自動車第二種免許の取得は21歳以上であり、大型・中型・準中型・普通・大型特殊のいずれかの自動車免許を所持していることが条件となります。また、これらの自動車免許は通算3年(政令で定めるものは2年)以上の免許経歴がなければなりません。

介護職員初任者研修|介助に関する知識・技術を学ぶ

介護タクシーの運転をしながら、お客様の体に触れる介護サービスも提供する場合、介護職員初任者研修を受けておく必要があります。

ただし、このようなドライバー自身が介助もおこなうタクシーは、厳密にいうと「介護保険タクシー」に分類されるのが特徴です。あくまでも介護タクシーのドライバーとして働く場合、介護職員初任者研修への参加は必須とはなりません。

介護職員初任者研修の取得方法は?

介護職員初任者研修とは、介護職に従事する人が知っておく必要のある最低限の知識を身につけるための研修です。この研修は130時間にわたっておこなわれ、最後におこなわれる筆記試験で一定以上の評価をえると修了となります。

資格取得の条件はある?

介護職員初任者研修は介護職に従事する人が最初に受ける研修です。そのため、研修に参加するための条件は設定されておらず、基本的に誰もが参加できるようになっています。

介護タクシードライバーとして働く予定の方も、時間に余裕があればこの研修に参加しておくとよいでしょう。

介護タクシーサービスを開業する場合に必要なこととは?

介護タクシードライバーとして働くためには、求人を出している介護施設などを探してみるのがおすすめです。

一方で、ある程度のドライバー経験を積んだら、開業をしてみるのもよいでしょう。続いては介護タクシーサービスを開業する場合に必要なことについて解説します。

法人を設立して訪問介護事業所の指定を受けておこう

大前提として、介護タクシーを経営する際には、法人を設立すると同時に法人格を取得し、訪問介護事業所の指定を受ける必要があります。法人を設立するにあたっては資金の用意や各種申請などをおこなわなければならないため、時間的にも経済的にもじゅうぶんな余裕を確保しておくことが大切です。

人員基準とは?

介護タクシーサービスを開業する場合、介護支援専門員(ケアマネジャー)、看護スタッフ、生活相談員、介護職員などの各人員を必要人数配置しなければなりません。また、訪問介護事業所として運営する場合、管理者やサービス提供責任者、訪問介護員などの人員もそれぞれ満たす必要があります。

設備基準

介護タクシーサービスでは、訪問介護事業所としての指定を受ける場合に限り、事務スペースや相談室、鍵つきの倉庫などの設備を施設内に設けなければなりません。そのため、事業所の物件探しをする際には、これらのことを考慮したうえで敷地面積や間取りなどを確認することが大事です。

1. 許可要件を確認しよう!

介護タクシーサービスを開業する場合、許可要件を満たしたうえで申請をおこなう必要があります。続いては、満たす必要のある許可要件を種類ごとに確認していきましょう。

車両要件とは?

車両要件としては以下の2点が定められています。

・車いすやストレッチャーを使用するためのリフト、スロープ、寝台など特殊な設備がついている車両
・回転シート、リフトアップシートなど乗降をするための設備がついている車両

また、これらの車両は申請者が使用権限を持っている必要もあります。

車庫要件とは?

車庫要件については定められているのは以下のことです。

・営業所から直線で2km以内にあること
・運行管理が可能であること
・配置するすべての車両を収容できること
・車両と車庫の境界、および車両どうしの間隔が50cm以上あること
・ほかの用途に使用される箇所と区画されていること
・申請者が土地・建物について3年以上の使用権限をもっていること
・関係法令に抵触していないこと
・車の点検、整備、清掃をおこなうための施設があること
・車の出入りに支障がない構造になっていること
・前面道路が車両制限令に抵触していないこと

営業所要件とは?

営業所に関しては以下4点の要件を守る必要があります。

・営業区域内にあること
・土地・建物について3年以上の使用権限をもっていること
・関係法令に抵触していないこと
・規模が事業計画に合っていること

休憩仮眠施設要件とは?

介護タクシーサービスの事業所では休憩仮眠施設を用意しなければなりません。こちらの要件は以下のとおりです。

・営業所と車庫の両方から直線で2km内の場所にあること
・事業計画に合った規模と適切な設備が用意されていること
・ほかの用途に使用される箇所との区画がなされていること
・運転者が事業計画にもとづいてつねに使用できること
・申請者が土地・建物に対して3年以上の使用権限をもっていること
・関係法令に抵触していないこと

人員要件とは?

人員に関しては以下の3点を順守しなければなりません。

・法令試験に合格した役員が1名以上専従していること
・運行管理者と整備管理者を選任できること(車両台数が5両未満の場合は資格不要)
・事業計画に見合った人数の運転者が在籍していること

資金要件とは?

資金に関しては以下の要件が定められています。

・所要資金の見積もりが適切で、なおかつ合理的な資金計画が立てられていること
・所要資金の50%以上、事業開始当初に必要な資金の100%以上が自己資金であること

2. 運輸支局へ許可申請書を提出しよう

許可要件を満たしたら許可申請書の作成・提出をおこないます。この申請書の提出は営業所の所在地にある運輸支局に対しておこなう必要があるため、詳細な所在地などはあらかじめ確認しておくとよいでしょう。

3. 法令試験・事情聴取を受けよう

申請書が受理されたら、毎月1回実施されている法令試験と事情聴取を受けます。法令試験は不合格になってしまっても翌月に再受験することが可能ですが、スムーズな開業のためには1回で合格できるよう、入念に準備をしておくことが大切です。

審査にはどれくらいかかるの?

事情聴取までが終了すると、申請された情報などをもとに運輸支局による審査が実施されます。審査では上述した許可要件を満たしていることが基準となり、結果がわかるまでには約2カ月の期間を要します。

4. 許可証をもらおう

審査に通過すると許可証が交付されます。ただ、これですぐに開業できるようになるわけではなく、ここからは開業に向けた手続きをおこなっていかなければなりません。詳細な手続き方法に関しては、許可証の交付時に運輸支局にて説明してもらうことができます。

5. 登録免許税を納付して届出をしよう

開業をするためには登録免許税を納めなければなりません。また、登録免許税を納付する際には届け出をする必要もあり、この手続きも忘れずにおこなうようにしましょう。

6. 運賃・約款の認可申請をしよう

介護タクシーサービスを開業する際には、運賃と約款に関しても認可をえなければなりません。この認可は申請して、受理されればえることができますが、受理までには1カ月程度の時間がかかることもあるため、余裕をもって申請をするようにしましょう。

介護タクシーは介護福祉事業サービスのひとつ!

介護タクシードライバーとして働くためには、普通自動車第二種免許が必要です。また、介護をともなうサービスを提供する場合には介護職員初任者研修も受けておかなければなりません。

高齢化が進む昨今においては民間の介護福祉事業サービスへの需要も高まっており、介護タクシーもまた多くの人の生活を支えるサービスとなっています。介護や福祉関係の仕事に従事したいという方は、介護タクシードライバーも選択肢のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。

出典元:
千葉県警察 普通通自動車第二種免許の取得方法
神奈川県警察 大型二種・中型二種・普通二種免許(指定校卒業)の試験手続について
神奈川県 介護員養成研修のページ
三幸福祉カレッジ 介護職員初任者研修資格

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