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介護・看護・リハビリ 2021-04-12

【今さら聞けない!? 介護のお仕事の基本vol.31】施設内での恋愛トラブルの対処法は?

さまざまな背景や事情を持つ人たちと接する仕事だからこそ、介護の技術だけでなく、細やかなコミュニケーションや配慮が必要となる介護のお仕事。現場での様々な困りごとの対処法をご紹介する当企画の今回は、恋愛に関するトラブルを取り上げます。

ホーム内での三角関係。恋のもめごとにはどう対処する?

ある老人ホームでの出来事。入所して1年が経つKさん(男性)が、相談したいことがあるとスタッフに言ってきました。

「S美さんと私が話をしていると、Mさんが私の椅子を蹴ったり怒鳴ったりするんです」とKさん。そういえば、MさんとS美さんは仲が良いと施設内で評判でした。ですがKさんはこう続けます。「最近、S美さんは私と話すことが多くて。Mさん、やきもちをやいているのか、このところ嫌がらせがひどいんです」と。

老人ホームなどでの恋愛問題については、かなり前から取り上げられていますが、いざ、自分の職域で起こったら、どう対処するのがいいのでしょうか。対処のポイントを見ていきましょう。

ポイント1:ただの三角関係だと思って軽視しない

男女のいるところでの恋愛問題は避けて通れません。火種を消さずにそのままにしておくと、嫌がらせがエスカレートして怪我につながるなど、大きな問題に発展してしまうことも考えられます。そうなる前に細やかな対応が必要です。

相談を受けた時点ではひとまず、火種を大きくしない応急処置を。Kさんには、スタッフがMさんと話をすることを伝えた上で、Mさんを刺激しないためにMさんの前でS美さんと話すのをしばらく控えてみることを提案するのはどうでしょう。S美さんにも暴力が及ばないよう、Mさんと話をするまでのしばらくの間だとすれば、Kさんも納得しやすいでしょう。

ポイント2:当事者の話を聞く

Kさんからの話だけでなく、他の当事者の話も聞きましょう。恋愛絡みのトラブルです。S美さんは誰にも特別な感情はなく、男性2人の片思いだった―ということもあるでしょう。S美さんがKさんかMさんのどちらかに思いを寄せているかもしれません。もしかしたら心変わりしたということもあるかもしれません。どれにせよ、この場合の鍵となるのはS美さんの気持ちです。スタッフはS美さんと相談し、彼女の気持ちを整理した上で、Kさん、MさんにはS美さんから直接話してもらうのが良いのではないでしょうか。

老人ホームでの恋愛問題で言ってはいけない2つのこと

1.「いい年をして恋愛なんて」
2.「周りの人が不快に思っている」

男女が集団生活を営むなかでは、親しくなって恋愛関係に発展する人がいても不思議ではありません。老人ホームにおいても、避けては通れないことなのです。その前提の中では、上記のような否定的・批判的な考え方でいても、何の問題解決にもつながりません。起こって当然という意識でいるようにしましょう。

文:細川光恵
参考:「こんなときにはどう言葉をかけたらいい? 介護の言葉かけタブー集」誠文堂新光社

監修

中浜 崇之さん
介護ラボしゅう 代表/株式会社Salud代表取締役/NPO法人 Ubdobe(医療福祉エンターテイメント) 理事/株式会社介護コネクション 執行役

1983年東京生まれ。ヘルパー2級を取得後、アルバイト先の特別養護老人ホームにて正規職員へ。約10年、特別養護老人ホームとデイサービスで勤務。その後、デイサービスや入居施設などの立ち上げから携わる。現在は、介護現場で勤務しながらNPO法人Ubdobe理事、株式会社介護コネクション執行役なども務める。2010年に「介護を文化へ」をテーマに『介護ラボしゅう』を立ち上げ、毎月の定例勉強会などを通じて、介護事業者のネットワーク作りに尽力している。

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