ヘルスケア&介護・看護・リハビリ業界の応援メディア
介護・看護・リハビリ 2020-06-10

『ショートステイ』で働くための基礎知識

ショートステイは「短期入所生活介護」とも表現され、読んで字のごとく、短期的(連続利用日数は最長30日間)に入所・利用できる介護サービスのことです。出張や冠婚葬祭で短期的に家を空けなければならない方や、急な病気などで介護ができなくなったという方が利用することが多いです。機能訓練やレクリエーション、排せつ、入浴、食事の補助などの自宅で行う一通りのケアや機能訓練を行います。

介護保険サービスの中でも人気が高く、利用には2か月以上前から予約しないといけない施設が多いようです。しかし、介護をしているご家族が急に病気になったり、事故にあったりして、急遽入所せざるを得ない場合もあります。そんな時はケアマネジャーに相談して緊急入所枠を利用しましょう。

ショートステイサービスの特徴は

<ショートステイサービスの特徴>
特別養護老人ホームは社会福祉法人や自治体でないと運営できないのに対し、ショートステイサービスの施設は民間企業でも開設・運営が可能です。勤務先の間口は広いと言えるでしょう。

ショートステイは大まかに「短期入所生活介護」と「短期入所療養介護」の2つのタイプに分けられます。

生活介護やレクリエーションなど医療行為以外のサービスを請け負う短期入所生活介護は、専用施設や特別養護老人ホームに併設されていることが多いです。生活補助に加えて看護や機能訓練などといった医療的な分野までケアできる短期入所療養介護の場合は、介護老人保健施設や療養病床などが勤務先となります。

短期入所生活介護を「ショート(ステイ)」、短期入所療養介護を「療養ショート(ステイ)」と呼ぶこともあります。

<ショートステイサービスで必要な資格>
ショートステイの施設で勤務するには、以下の職種とそれに付随する資格が必要となります。

・生活相談員
社会福祉主事、社会福祉士、精神保健福祉士、またはこれらと同等の能力を有する人

・看護職員 介護職員
看護職員は看護師もしくは准看護師。介護職員については特定の資格は不要

・栄養士

・機能訓練指導員
理学療法士であることが必須の施設もアリ

・常勤管理者

・調理員その他の従業員

上記の通り、必ずしも資格を必要としない職種・施設もあります。ホームヘルパー二級や介護福祉士のような資格は持っていれば歓迎されますが、基本的には、ショートステイは介護初心者でもトライできる職場です。

<ショートステイの利用要件>
ショートステイの利用者は、要支援1の比較的軽度な方から要介護5の寝たきりの方まで様々です。また、特定疾病が原因で介護を必要とする40~64歳の方も対象となります。

<ショートステイの利点>
先に紹介した通り、ショートステイは基本的に、介護する側が短期的に介護を行えない時に利用するのが一般的です。しかし、365日24時間体制でのケアは、介護を行うご家族にとって心身ともに大きな負荷がかかるものです(実際、介護におけるストレスが原因で起きた悲しい事件がいくつも報道されていますね)。そんなときにショートステイを利用することで、新たな気分で介護と向き合えるようになるかもしれません。

<ちょっとひと息、介護のマメ知識>
介護施設名って、地名や経営者の名前以外では、穏やかな名前が多いような気がしませんか? 「○○園」とか「○○の里」「○○の森」の他、「ふるさと」や「そよ風」「ひだまり」など、自然や田舎を連想させる名前が多いように感じます。高齢の利用者が穏やかな気持ちで安心できる名前を付けるようにしているようですね。

ショートステイの求人を探す時の注意点

<待遇>
最近は社会保険完備の事業所が多いですが、中にはそうでないところもあるので、募集内容をしっかり確認しましょう。
ショートステイは土日祝日も稼働しているため、例え「完全週休二日」であっても、休日がいつになるかはわかりません。つまり、シフト制になる場合が多いようです。求人広告には「シフト応相談」と記載されている場合も多いので、自分のライフスタイルから検討して、面接時に面接担当者にお話しましょう。

<併設型の場合の仕事内容>
他の介護施設と併設しているショートステイの場合には、併設している施設の仕事を兼ねる場合があります。例えばデイサービスを併設している場合はデイサービスの仕事をすることも多いようです。ショートステイで働きたい場合は、面接の時に担当者にその旨を伝えましょう。

<通勤>
都心の施設では電車や自転車、徒歩で通勤することが多いですが、都心から離れると求人広告に「車通勤可」「車通勤OK」と記載されている施設もあります。お子様と一緒に車で保育所まで行き、預けてから職場に行くなど、自分の日常生活にあった求人に応募しましょう。

<その他>
施設での多くは制服で働きます。その際、求人広告には「制服貸与」や「制服支給」などの記載があるはずです。「制服支給」の場合は制服を与えられるのですが、「制服貸与」の場合、退職の時には制服を返さないといけません。転職情報サイトにはこのような、施設特有の細かい情報まで記載してある場合があるので、条件・応募資格(経験)・応募方法・備考・掲載期間・募集状況などまで、しっかり理解して面接に挑みましょう。

ショートステイで働く時の注意点

<状況把握>
ショートステイは他の介護施設に比べて、入所・退所が非常に多く、いろんな方が入れ替わり、入れ替わりで利用されます。そのため、状況・追加情報をしっかりと把握しないといけません。

<利用者の荷物>
入れ替わりが多いため、利用者が入所時に持って来た荷物に注意を払う必要があります。他の人の荷物と混ざってしまうなどして、わからなくなると大変ですから。入所の時点でチェック表を利用するなどをして、徹底した荷物の管理が必要です。

<利用者の送迎>
施設によっては利用者の送迎を行っています。その場合は自動車の運転免許は必要になりますし、運転技術も必要です。

<人員法定基準>
ショートステイには人員基準(スタッフ配置基準)が定められており、違反すると指定の取り消し事由に該当します。できればスタッフも認識しておくと良いですね。

管理者 1名(兼務可)
医師 1名以上
生活相談員 利用者:生活相談員=100:1名以上(そのうち1名を常勤とする)
介護職員(看護職員) 利用者:介護職員(看護職員)=3:1(そのうちそれぞれ1名を常勤とする)
栄養士 1名以上(※利用定員が40人を超えない場合で、他の社会福祉施設等の栄養士との連携を図ることが可能な場合は、栄養士を置かないこともできる)
機能訓練指導員 1名以上

<利用者にリピートしてもらう>
利用期間が短い人は一泊で帰ってしまうこともあります。1日だけだと、他の利用者とも打ち解けるのは難しく、「もう二度と行きたくない」と思ってしまう利用者も多いようです。たった1日の利用だけで、利用者に興味を持ってもらい「また来たい」と思っていただくことが必要なところが、ショートステイの難しいところでもあり、楽しいところでもあります。

よくある質問・相談

Q1.以前ショートステイで働いていた時は、大変な業務の中でも楽しく仕事をしていたのですが、特養に転職しました。ところが、ほぼ流れ作業の特養に対して、同じ介護業界でありながら業務内容のギャップに感じ、辞めてしまいました。こんな私にはどんな仕事が合っていると思いますか?

A1.仕事に何を求めるかにもよりますが、ショートステイが合っていたのなら、もう一度ショートステイで探すのが良いと思います。人に寄っては、「要介護度の幅が広く、毎日入れ替わりのショートステイは合わない」という人もいらっしゃいます。
色々試してみて、ご自身に一番合う仕事を探すのも良いですが、自分に合っていると確信しているショートステイで技術を伸ばすこともひとつの手として良いと思います。

 

Q2.緊急ショートステイって何ですか?

A2.普段介護をしている方(ご家族など)が急病などの理由により、急遽、在宅での介護が困難になった場合など、緊急時に被介護者がショートステイを利用できるサービスのことです。あらかじめ施設に緊急用のショートステイ床を確保しているため、2か月以上前から予約が必要な通常のショートステイと違い、すぐに利用できます。

 

Q3.要介護度5の父親を自宅で介護しているのですが、たまには介護から離れて旅行に行きたいとか、ゆっくり家でのんびりしたいなどの理由でショートステイを利用することはできるのですか?

A3.まったく問題ありません。ご家族の介護疲れを軽減するために利用することは認められています。近年介護疲れから、親子無理心中というような悲惨な事件も起きています。そういった状況から回避するためにも、追い込まれる前にショートステイを利用して、心と体をリフレッシュしましょう。

 

Q4.私が働いているショートステイでは、介護士と看護師の連携が取れておらず、生活相談員だけが知っていて看護師は知らない、またはその逆ということが多いのです。他のショートステイでも同じようなものなのでしょうか?

A4.他の事業所でも同じということはないと思います。普通はどんな情報でもスタッフ一同で共有します。スタッフからの連絡、ご家族からの申し送りなども、当日休んでいるスタッフにも伝わるように連絡帳に記入して共有します。でないと、事故の原因になりますからね。施設管理者が情報共有されない危険性を感じていないのか、そもそも情報共有されていると思い込んでいるのかはわかりませんが、まずは施設管理者に相談しましょう。

 

Q5.ショートステイを31日(30日以上)連続で利用することは違法ですか?

A5.違法ではありません。ただし、区分支給限度内であっても31日目の利用については介護保険が適用されないので、利用者が全額自費負担になってしまいます。

 

Q6.ショートステイで、入所・退所時にご利用者の荷物確認をする作業に、すごく時間がかかります。何か効率的な方法はありませんか?

A6.退所して、家に帰ってから「○○が壊れている!」「下着がない!」という苦情少なくないようです。そのため、施設では入所・退所時に利用者の荷物を確認します。その作業に時間がかかるということですが、各施設ではいろんな方法で作業を短縮化しています。
<入退所時、荷物を透明のビニール袋に入れてチェックをする>
カバンの中を探って荷物の確認をすると、時間がかかってしまいます。透明のビニール袋に荷物を入れて、外からでも中身がわかるような状態にして、チェックリストに記入します。
<荷物の写真を撮る>
入所の時に衣類や小物類の写真を撮ります。退所の時に写真と同じ荷物かをチェックします。写真は退所の時まで、PCのフォルダに保存しておくなど、管理が必要です。

 

ショートステイで働く魅力は

ショートステイは利用者が入れ替わり立ち代わりするため、利用者だけでなく勤務する側も常に新しい気持ちを持って業務に当たることが求められる職場です。

新たな利用者と接することでリフレッシュできる反面、「休み空けに出勤したら知らないお客様ばかり」ということも。1週間休んだだけで、2、3年ブランクが空いた人のようになってしまうかもしれません。職場の仲間等から、常に利用者の情報をインプットし、短期間で利用者との信頼関係を築けるように、気を引きしめてケアに従事しなければなりません。

また、介護の度合いが比較的軽度な利用者も多く、日勤・夜勤・早番・遅番・常勤・非常勤、勤務形態も様々。業務によっては資格が必要ないものもあるので、「介護に関する仕事が初めて」という方でもチャレンジしやすく、活躍できる環境であると言えるでしょう。

この記事をシェアする

編集部のおすすめ

関連記事

近くの介護職求人をリジョブケアで探す

株式会社リジョブでは、介護・看護・リハビリ業界に特化した「リジョブケア」も運営しております。
転職をご検討中の場合は、以下の地域からぜひ求人をお探しください。

関東
関西
東海
北海道
東北
甲信越・北陸
中国・四国
九州・沖縄