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特集・コラム 2020-08-17

福祉用具専門相談員の資格はどうすれば取得できるの? スキルアップにおすすめの資格とは?

現行の介護保険の制度では、介護サービスを利用する人が必要な福祉用具を借りる場合には、福祉用具専門相談員が2名以上所属する指定福祉用具貸与事業者から借りる必要があります。介護度や生活状況によって、適切な福祉用具を使うことは、高齢者や障がい者の生活の質を向上させたり、維持したりするのにとても大切な要素です。

高齢者や障がい者が適切な福祉用具を使用できるように支援をする福祉用具専門相談員は、これからの超高齢化や介護保険の拡大によって、ますます注目される資格のひとつといえるでしょう。今回は、福祉専門用具相談員の資格取得方法やさらなるスキルアップのために、取得をおすすめする資格についてご紹介します。

福祉用具専門相談員の資格取得方法を解説!

福祉用具専門相談員は具体的にはどんな専門職であり、どのような資格取得ルートがあるのでしょうか。まずは福祉用具専門相談員の概要と、資格を取得する方法について解説します。

福祉用具専門相談員は福祉用具の貸与や販売サービスに携わる仕事

福祉用具専門相談員は、高齢者や障がい者が住み慣れた家や施設でなるべく自立した生活を送るために必要な福祉用具に関する知識を持って情報提供をおこないます。さらに、適切な福祉用具を選択し、継続的に正しく使用できるよう支援する専門職です。

介護保険によって指定を受けている福祉用具貸与・販売事業所には、2名以上の福祉用具専門相談員の在籍が義務化されています。具体的な業務としては、利用者のそれぞれの介護度や生活状況に応じて適切な福祉用具を選び、利用計画を立てて、使い方の説明をおこない、使用状況に応じて用具の調整などをするのが仕事です。

資格取得には福祉用具専門相談員指定講習の受講が必要!

在宅医療には欠かせない福祉用具専門相談員となるには、「福祉用具専門相談員指定講習」に掲げられた50時間のカリキュラムを終えなければなりません。また、講習内容をどのくらい習熟しているかを測る筆記による修了評価試験を受ける必要があるのです。そして、修了評価試験のあとに、福祉用具専門相談員の資格をえることができます。

受講資格|とくになし

福祉用具専門相談員指定講習を受けるために、特別な資格は必要ありません。そのため、誰でも福祉用具専門相談員指定講習を受けることができます。受講費用は大体4~6万円、受講期間も1週間前後となっていますが、研修場所によって受講資格が異なることもあるため、事前に確認をするようにしてください。

要チェック! 受講しなくても業務に携われる資格とは?

福祉用具専門相談員になるには指定講習会を受ける必要がありますが、以下に該当する資格を持っていれば、講習会を受講しなくても福祉専門相談員として仕事に従事することが可能です。

・看護師
・保健師
・准看護師
・理学療法士
・作業療法士
・介護福祉士
・社会福祉士
・義肢装具士

これらの国家資格を持っていると、福祉用具に関する知識があるとみなされるため、指定講習会の受講をせずに福祉用具専門相談員の業務をおこなうことができるのです。

指定講習で学ぶ内容 福祉用具の役割や介護保険制度の知識など

福祉用具専門相談員指定講習会では、以下のような内容を学びます。

・福祉用具と福祉用具専門相談員の役割
・介護保険制度、高齢者と介護・医療などに関する基礎知識
・個別の福祉用具に関する知識や技術

これらを学ぶ講義にくわえて、事例をとおして福祉用具利用者の支援に関する総合演習などをおこないます。

指定講習を受けられる場所 都道府県指定の研修機関

指定講習は、都道府県によって指定を受けた特定の研修機関で受けられます。東京都の例をあげると、2019年時点で14の事業者による講習が開催されており、主催者も株式会社や学校法人などさまざまです。

指定講習の名称もそれぞれ異なり、さらに都道府県によっては講習の開講状況や研修機関の一覧を記載していないところもあるため、必ず自分で確認して、必要なら直接電話で問い合わせるようにしてください。次に指定講習会の一例をご紹介します。

お茶の水ケアサービス学院 福祉用具専門相談員指定講習会

東京・神田にある「お茶の水ケアサービス学院」では、福祉用具専門相談員指講習会を東京と大阪会場で毎年開催しています。50時間の指定講習の研修カリキュラムが、テキスト代込みで業界最安値の3万9,600円で受けることが可能です。定員65名・6日間の研修が東京と大阪会場で組まれています。講義は福祉用具に関わる専門家が担当し、補講などの研修後のフォローアップも充実しているのが特徴です。

このように福祉用具専門相談員は、介護保険制度のもと、介護サービスの一環として適切な福祉用具を利用者が使えるように支援する大事な役割を果たしています。そのため、指定講習において必要な知識を習得し、それを実践で生かすことが必要となっているのです。

出典元:お茶の水ケアサービス学院 福祉用具専門相談員指定講習会

福祉用具専門相談員の仕事に役立つ! あわせて取得したい資格とは?

介護・福祉分野で活躍できる福祉用具専門相談員の資格を取得したら、さらにスキルアップをしたいと思う人もいるのではないでしょうか。福祉用具専門相談員の資格だけでなく、資格をさらに実践で生かすスキルアップにおすすめの資格の例をご紹介します。

日本福祉用具供給協会 福祉用具選定士

福祉用具選定士とは、福祉用具専門相談員が介護サービスを利用する人や関わるケアマネジャーに対して、より適切に福祉用具を選択・利用できるよう確かな知識のもと情報提供がおこなえるように創設された資格です。

福祉用具選定士となるには、日本福祉用具供給協会が主催する「福祉用具選定士認定研修会(A研修とB研修)」を受講し、筆記試験に合格する必要があります。

出典元:一般社団法人 日本福祉用具供給協会 福祉用具選定士

テクノエイド協会 福祉用具プランナー

福祉用具プランナーとは、適切な福祉用具の選定をおこない、それに沿った使用計画を作成し、実際にきちんと福祉用具が使用できるよう支援をします。そいて、適宜使用状況をモニター・評価するといった過程が、相応の知識や技術を持って実施できる専門家のことです。

履修時間約100時間(座学48時間、実技・演習・修了試験52.5時間)の福祉用具プランナー研修を修了して、試験に合格すると資格をえることができます。資格取得には、修了試験実施日までに、福祉用具専門相談員業務や関連業務に2年間従事した経験があることが必要になるため注意が必要です。

出典元:公益財団法人 テクノエイド協会 福祉用具プランナー

東京商工会議所 福祉住環境コーディネーター検定試験

福祉住環境コーディネーターとは、医療や福祉だけでなく、高齢者や障がい者を取り巻く住環境にも配慮して、住みやすい環境を提案するアドバイザーのことです。講習会を受ける必要はなく、テキストや検定試験の過去問を自己学習し、検定試験(1級・2級・3級)に合格することで資格をえられます。

受験資格はなく、誰でも受けることができ、2級から受験したり、2級・3級を併願して受けたりすることも可能です。ただし、1級試験のみ2級合格者のみ受験できるようになっているので注意しましょう。

出典元:東京商工会議所 福祉住環境コーディネーター検定試験

福祉用具専門相談員のスキルアップにおすすめの資格をいくつかご紹介しました。福祉用具は利用者の介護度や身体状況だけでなく、療養生活を送る住宅構造や環境などに合わせて選択する必要があります。福祉用具専門相談員の資格にあわせて関連する資格を取得すれば、ますます活躍の場は広がることは間違いないでしょう。

福祉用具専門相談員に関する講座を受講して知識を深めよう!

福祉用具専門相談員になるには、都道府県が指定する講習事業者がおこなう福祉用具専門相談員指定講習の講座を受講して、講習のあとに実施される修了評価(筆記)を受ける必要があります。福祉用具専門相談員の資格を取得すれば、指定福祉用具貸与・販売事業所だけでなく、福祉系の企業やメーカーで活躍することも可能です。

超高齢化社会が進むなか、福祉用具専門相談員として活躍できる場をさらに広げるためにも、今回ご紹介した関連するほかの資格をあわせて取得をすることを目指してみてはいかがでしょうか。

出典元:
一般社団法人 全国福祉用具専門相談員協会
一般社団法人 全国福祉用具専門相談員協会 福祉用具専門相談員指定講習における目的、到達目標及び内容の指針
独立行政法人 福祉医療機構 福祉用具専門相談員

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