保育士の資格は通信講座でも取得できる?通信のメリット・デメリットとおすすめ通信講座5選を紹介
保育士の資格取得を目指す場合、スクールや専門学校に通う方法や独学で勉強する方法などいくつかの選択肢があり、そのうちのひとつに通信講座があります。
そもそも保育士の資格は通信講座で取得することができるのか、不安に思う方もいるかもしれません。そこで、保育士の資格に通信講座は有効か、通信講座で資格取得を目指すメリットやデメリット、通信講座を選ぶポイントなどをご紹介します。
後半では、おすすめの通信講座や保育士試験の概要なども紹介しているので、最後までご覧いただけますと幸いです。
保育士の資格は通信でも取得できるの?
保育士免許は国家資格であり、指定の学校を卒業する以外の道では、試験を受けて合格する必要があります。
国が指定する学校を卒業する以外に通信教育でも保育士を目指すことはできるのでしょうか。ここでは、保育士の資格が通信でも取得可能かどうかについて詳しく解説します。
保育士資格の取得ルートは2つ!
保育士は国家資格であり、保育士資格を取得するために、2つの選択肢が存在します。ここでは国が指定する学校を卒業するルートと通信教育で資格取得を目指すルートについて、それぞれの特徴をメリットやデメリットを含めて詳しく解説します。
1. 都道府県知事指定の保育士養成学校や施設で所定の課程・科目を履修して卒業
ひとつめは、都道府県知事が指定する保育士養成施設において定められた科目や過程を学習して卒業するルートです。この場合、国家資格を受験する必要はありません。
国家資格に向けて勉強する必要がなく、定められた内容を履修できればよいため、卒業できれば確実に保育士の資格を取得できます。
2. 国家試験を受験して合格する
もうひとつは国家資格を受験して合格するルートです。指定外の大学や短期大学、専門学校に通った学歴がある場合や2年以上の実務経験がある場合に国家資格を受け、合格することで保育士資格を取得できます。
社会人になり、別の職業として働いたのちに保育士として働きたいと思った場合には、このように国家試験を受けることが条件です。
通信教育で資格を取得するには?
通信教育は、子育てや家事をしながら、あるいは社会人として別の仕事をしながら保育士の資格を目指したいという人にとって、ライフスタイルと両立しやすいのが魅力です。国家資格合格に向けて、通信教育で資格取得を目指す方法をご紹介します。
1. 通信制大学などに入学・卒業する
まずは通信大学などに入学して卒業するコースです。この場合、国家試験の受験をせずに保育士資格を取得可能。通信制大学では、科目学習やレポートの作成、定期試験や実習などで学びを深めます。自己学習に加え、スクーリングや実習でバランスよく、知識とスキルを身につけることが可能です。
2. 通信講座を受講して国家試験に備える
指定の保育士養成施設以外の学校を卒業している場合や実務経験で国家試験に備える場合、通信講座の受講で効率よく試験対策をおこなえます。
国家試験対策に特化した教材や講座が充実しており、添削指導などのサポート体制も整っているため、はじめて学習するという人もスムーズに学習を進めていくことが可能です。
【注意】受験資格を満たしているかをチェックしておこう
受験資格を満たしていなければ、通信講座をはじめても国家試験を受験できません。そのため通信講座をはじめる前に、受験資格を満たしているかを確認しておきましょう。
受験資格は、一般大学、短期大学、専門学校などを卒業している場合と実務経験に関する条件があります。高等学校を卒業して児童施設で2年以上、2,800時間、1991年3月31日以前に高等学校を卒業している場合には、児童施設での実務経験が5年以上、7,200時間を満たさなければなりません。
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通信教育で保育士を目指すメリット・デメリットを紹介
通信教育で保育士を目指す方法には、どのような特徴があるのでしょうか。ここでは通信教育で保育士を目指すメリットやデメリットについて詳しく解説します。通信講座の受講を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
通信教育の3つのメリット
通信教育は通学での学習とは違った特徴があり、通信教育のメリットとして、「費用が安く抑えられる」「自分の好きな時間に学べる」「勉強をはじめやすい」といったメリットがあります。それぞれのメリットについて詳しく解説しましょう。
1. 費用が安く抑えられる
まずは通学で学ぶ場合と比べると、通信教育のほうが費用を安くできるという点です。そのため学費を理由に勉強をあきらめる必要はなく、経済的な負担を最小限にしながら学習できます。また通学する際の交通費をカットできる点も、通信教育の魅力といえるでしょう。
2. 自分の好きな時間に学べる
通信教育は自分の生活を基準として学習ができます。通学のように時間割が決まっているわけではないので、仕事や家事、子育ての合間に少しずつ学べるのが魅力です。通学よりも自由度が高く、無理なく自分のペースで学習を進めたい人におすすめとなっています。
3. 勉強をはじめやすい|通信講座
通信講座の場合、スクールの入学試験などがありません。そのためスタートの敷居が低く、自分のタイミングで勉強を開始できるのが魅力です。年齢制限を設けているわけでもないので、資格取得を目指したいと思ったときにすぐはじめられます。
通信教育の2つのデメリット
通信教育には、「実技試験に必要なスキルが磨きにくい」「自己管理やモチベーションの維持が必要」などといったデメリットもあります。ここでは保育士資格を目指すにあたって、通信教育におけるデメリットについてご紹介しましょう。
1. 実技試験に必要なスキルが磨きにくい
通信教育ではレポート提出や科目学習、試験対策などが中心となり、実習の機会が少ないのが特徴です。学んだことを現場で生かして経験として結びつけにくく、実技試験へ向けてのスキルアップという面では不安が残ってしまいます。
2. 自己管理が必要|継続的な勉強・モチベーションの維持
通信教育では時間の使い方が自由なぶん、自己管理能力が求められます。通学であれば一緒に学ぶ同期や友人に刺激を受けながら学べますが、通信教育では自分自身と向き合う時間がほとんどです。
勉強に集中できる環境を整える、休憩を取り入れながら勉強を継続できるようにするといった工夫が必要となるでしょう。
自分に合った通信講座を選ぶポイントは?
通信講座にもさまざまな種類があり、それぞれ強化しているサポート内容などに違いがあるため、自分に合ったものを選択することが大切になります。ここでは、自分に合った通信講座を選ぶために知っておきたいポイントについて解説しましょう。
1. 学習期間やカリキュラム|サポート体制
自分に合った通信教育を選ぶ際には、まず学習期間やカリキュラム、サポート体制を確認しましょう。短期間で集中して学べる講座を選択して、実際に学習スピードが追いつかずに無理がかかるというケースもあります。
早く学習を終えられるのは魅力的ですが、一日にどれくらいの学習時間を確保できるのかなどライフスタイルと照らし合わせて、検討する必要があるでしょう。
また気軽に質問がしやすいような電話、メールでの体制が整っているか、質問の回数に上限はあるのか、相談は有料なのかについてもチェックしておくと安心です。
2. 試験対策|不合格時のサポート
通信講座の種類によって、国家試験に頻出する分野を中心にまとめたオリジナル教材を提供している場合や、添削サービスで本人が気づきにくい弱点ポイントの指導をおこなうところもあります。
また不合格の場合には、費用の返還ができる講座も見受けられます。このように具体的に試験に向けての対策はどうなっているのか、不合格時にどのようなサポートが受けられるのかも確認しておきましょう。
3. スクーリング|実技試験対策
通信講座では、通学のようにまとまった期間に「実習」を受けることができません。そのため、スクーリングやどのような実技試験対策がおこなわれているかをチェックすることが大切です。
スマートフォンやパソコンで実技試験対策に関する動画などを視聴できる講座もあるため、自分に合った学習スタイルを選択できる講座を選びましょう。
4. 費用
通信教育を受講するうえで、費用がどの程度必要かというのも重要なポイントです。しかし安い費用ではあっても、学習サポート体制が整っていない講座もあります。
費用だけでなく、講座内容についてもしっかりと確認しながら、いくつかの通信講座の授業料を比較して検討してみるとよいでしょう。
自分に合う講座を探そう! おすすめの通信講座を紹介
保育士の資格を目指せる通信講座の種類はさまざまですが、選択肢が多いぶん、どの講座を選べばよいか迷ってしまうという人も多いでしょう。ここでは、そのなかでもおすすめの通信講座について詳しく解説します。
ヒューマンアカデミー たのまな|保育士【完全合格】総合講座(DVD+eラーニングコース)
最短6カ月でのカリキュラム完了を目指す講座です。過去の受講生や修了生の意見を反映したe-ラーニングシステムや試験対策セミナー、オリジナル教材を活用して、さまざまな角度から知識とスキルを深められます。
また学科試験と実技試験の直前には、オンライン模擬試験対策セミナーなどを実施し、弱点の明確化、強化のためのサポート体制も充実。短期間で確実に資格取得を目指したい人、試験勉強の効率化を重視したい人におすすめです。
受講費用 | 受講期間 | 合格率 | 教育訓練給付制度対象 |
初回3,849円(税込)
3,200円(税込)×17回 計18回 |
最短6カ月 | 68.9% | 〇 |
ユーキャン|保育士講座
国家試験合格に特化し、視覚的な理解をうながすイラストや図表が豊富なテキストを中心にした学習ができます。標準学習期間を12カ月としており、法改正など試験に出やすい情報も提供してくれるため安心です。
添削指導のほか、質問の受付などサポート体制も充実しているため、はじめて学習をする人にもおすすめとなっています。
四谷学院通信講座|保育士講座
習得する知識やスキルを55段階に分類し、1段階ずつクリアしていくシステムを設けています。カリキュラムがすでに組まれているので、ひとつひとつ課題をクリアしていく楽しさや達成感を味わいながら学習を進められるのが特徴。
また動画で見た内容をテキストで復習できるので、知識やスキルが身につきやすいのが魅力です。
受講費用 | 受講期間 | 合格率 | 教育訓練給付制度対象 |
初回4,247円(税込)
3,850円(税込)×23回 計24回 |
標準8カ月 | 69.5% | 〇 |
キャリカレ|保育士受験対策講座
はじめて勉強する方でも6カ月で試験合格を目指す講座で、初心者でもわかりやすく効率的に学べる学習法にこだわって開発されています。「覚えるトコ」「試験に出るトコ」など、ポイントをわかりやすく解説し、覚えやすい工夫がされているのも特徴。
出題傾向を徹底分析した、試験に出る可能性がある課題に絞った効率的なカリキュラムなので無駄なく学習できます。また、実技試験のためのサポートも充実しており、専任の講師から練習方法や本試験のポイントなどを映像講義で詳しく学ぶことができ、不合格の場合は全額返金制度があるので、初めて保育士の試験を受ける方におすすめの講座です。
受講費用 | 受講期間 | 合格率 | 教育訓練給付制度対象 |
一括 41,900円
分割 1,460円×24回 |
6カ月 | 63.7% | ✖ |
三幸保育カレッジ|保育士受験対策講座
「ゼロからはじめて一発合格」のキャッチコピーが目を引くこの講座は、オプションでeラーニングによる直前対策セミナーや、実技試験合格率100%の実技試験の個別レッスンを受けられるのがポイント。
自分に合わせた対策や添削をしてもらえる担任制で、通信講座でありながら、しっかりとサポートしてもらえる体制があるので安心です。マンガと連動のテキストは視覚的にも理解しやすく、ストーリー仕立てで体系的に覚えることができます。
受講費用 | 受講期間 | 合格率 | 教育訓練給付制度対象 |
一括 46,200円(税込)
分割 初回4,164円×12回(初回のみ4,165円) |
6カ月 | 64% | 〇 |
保育園だけじゃない!保育士が活躍できる職場を紹介
保育士といえば保育園の先生というイメージが強いですが、実は保育士の免許を活かせる職場はそれだけではありません。保育士の就職先の一例を紹介します。
- 児童福祉施設
- 知的障がい児施設
- 知的障がい児療育施設
- 乳児院
- ベビーシッター
- 家庭的保育事業(保育ママ)
- 子供向け施設
- 企業の託児ルーム
子ども向けの施設では保育士の資格が重宝されます。国や市町村が運営する施設だけでなく、子供向けのテーマパークや習い事、写真館のスタッフとしても活躍できるでしょう。
保育士試験は受かりやすい?!合格までの道のり
保育士は国家資格なので、受験にはそれなりの準備が必要です。これから挑戦する場合、合格率や難易度、試験の内容など気になることはたくさんあるでしょう。
そこで、保育士試験の難易度や内容など保育士試験にまつわることを紹介していきます。
保育士試験の合格率と難易度
令和4年度の保育士試験合格者数は、合計で22,878人。合格率は30.0%ほどでけっして高いとはいえません。筆記試験は出題範囲が広く、全9科目でそれぞれに6割以上正解する必要があります。
詳しくは後述しますが、筆記試験に出題される科目は社会福祉や保育の心理学、保育実習理論など専門的な知識が必要な内容も多いです。まったく知識がない状態から勉強を始めた場合、全科目で6割以上の正答率をだすのは難易度が高いといえるでしょう。
一方で、実技試験のみの合格率は80%以上と高い傾向です。理由として考えられることは、実技試験では課題の3分野のうち、2分野を選ぶことができる点です。
実際に楽器を演奏したり、お話をしたり、課題に沿った絵を描いたりといった得意なことを選べるため、高い合格率につながっていると見ることができます。
引用元
※地域限定受験者と合格者数は除外
試験の内容は?
それでは、実際に試験の内容を筆記試験、実技試験それぞれで見ていきましょう。
筆記試験|マークシート択一式
筆記試験で出題される科目は全部で9科目で、それぞれに6割以上の正答率を目指す必要があります。1科目の試験時間は60分で、科目は以下です。
- 保育原理
- 教育原理
- 社会的養護
- 子ども家庭福祉
- 社会福祉
- 保育の心理学
- 子どもの保健
- 子どもの食と栄養
- 保育実習理論
筆記試験は社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士の資格をすでにもっている場合、免除される科目があります。免除される科目は「社会的養護」「子ども家庭福祉」「社会福祉」の3科目です。
幼稚園教諭の免許をもっている方は「保育の心理学」「教育原理」の2科目と実技試験が免除されます。また、実務経験などの条件を満たすことで、さらに科目が免除となる場合も。幼稚園教諭の免許をもっている方は受験前に確認してみましょう。
引用元:
社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士資格所有者の免除について|一般社団法人全国保育士養成協議会
実技試験|
実技試験の課題は3分野。音楽・造形・言語の中から得意なものを2つ選んで受験します。
音楽 | こどもに歌を歌って聞かせることを想定して、楽器の弾き歌いをする。課題曲は2曲。 |
造形 | 保育の一場面を描いて表現する。 |
言語 | 3歳児クラスのこどもに「3分間のおはなし」を聞かせることを想定し、4つの課題の中から1つを選んでおはなしをする。 |
音楽では、ピアノ・アコースティックギター・アコーディオンのいずれかを選び、課題曲を弾き歌います。ピアノ以外は持ち込みが必要です。
造形では、鉛筆かシャープペンシル、色鉛筆を使って当日出題される問題文の設定に沿った内容を描きます。クレヨンやマーカーペンなどの使用は禁止されているので、注意が必要です。
言語では、こどもが15人程度いることを想定して、声の出し方、表現の仕方などに気を配りましょう。課題として出されるおはなしは広く知られているものですが、絵本や道具の使用は禁止なので、あらすじを3分間にまとめておはなしできるよう練習しておくのがおすすめです。
引用元
保育士試験は比較的とりやすい資格!そのわけは?
保育士は比較的とりやすい資格です。難易度が高いのにとりやすいといわれる理由を説明します。
保育士試験は前期と後期で、それぞれ筆記試験と実技試験を受験します。試験と試験の間は1~2カ月程度のタイムラグがあるため、試験ごとにしっかり対策をとることができるのがポイントです。
また、筆記試験は9科目と広範囲ですが、一度合格した科目は3年間有効なので、不合格だった科目だけを再受験することができます。一発合格できるに越したことはありませんが、再チャレンジしやすく、最終的には免許をとりやすい資格だといえるのです。
保育士の試験対策には、目的や条件に合った通信講座を選ぼう!
保育士の有効求人倍率は2.87と高く、待機児童の多い地域では保育士の人手不足は深刻です。また、保育士の資格を活かせる職場は保育園だけではないため、子どもに関係する施設やサービスで需要は尽きることがないと考えられます。
通信講座で自宅でも受験対策ができるので、自分に合った講座を選んで保育士免許の取得を目指しましょう。
引用元
社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士資格所有者の免除について|一般社団法人全国保育士養成協議会