デイサービスに取り組む前に知っておきたいマインド3選 介護福祉士の日常あるある#3【Q&A編】
利用者の方にとって安心できる施設にしようと取り組んでいたというベテラン元介護福祉士の國廣幸亜さん。デイサービスを続けるには、利用者の方を一番に思った行動と、自身で目標を立てることが重要と話します。そんな國廣さんに、利用者の方にデイサービスを楽しんでいただくために行った取り組みと、続けていくための心構えを伺いました。
Q.デイサービスで利用者の方と接するときに意識していたことは?
A.利用者さんに楽しんでいただくために、色々な話題を提供することを意識していました。例えば、「寒くなってきましたよね」や「今日はすごく晴れた天気ですね」などの、季節や天気についての話を積極的に振りましたね。加えて、利用者さんの前回出会ったときから変わったことやご家族のこと、大切にしていることを話題にすることもしました。ただ、それでも家に帰りたいと不安に思う利用者さんもいらっしゃり、ときにはご利用時間外にも関わらず帰ろうとする方を必死で引き止めることも。そこで施設に少しでも長く居てもらいたいと思い、まずは、利用者さんにとって安心できる場所とは何かを考えることにしました。
Q.利用者の方にとって安心できる場所とは?
A.例えば、職場、家庭、学校といった社会的なつながりがある場所だと思いました。人と何かしらのやりとりをすることで、他の方とのつながりが実感でき、安心できるんだと思います。ほかには、自分自身にとって馴染みのある場所だったり、知っている人がいたり、気の置けない仲間がいたり、頼れる人がいたりすると、心から安心できると思ったんです。そういった場所であることを利用者さんに意識づける取り組みを行っていきました。
Q.どんな取り組みを行った?
A.私が利用者さんにとって気の置けない仲間や頼れる存在だと思っていただくために、編み物や家事が好きな利用者さんとそれらを行っていきました。ほかには、他の方とのつながりを実感していただくために、歌が好きな方が多く来所していただいた日は、歌詞カードを用意してみんなで歌うこと。歌謡曲集、動物もの、お笑いもの等、利用者さんが好きそうなジャンルのDVDを流したり、時代劇やドラマの放送を鑑賞したりして、楽しい施設だと思ってもらえる取り組みも行っていきました。
それでもご自宅に帰りたいという利用者さんもいらっしゃったので、その方々には、「お子さんが家で待っているのが気になるんですか? それだったら今は学校へ行っている時間なので大丈夫ですよ」と理由を聞き、それに答えて不安を減らすことも行いました。ほかにも、帰りたいという気持ちで頭がいっぱいな利用者さんには、全く関係ない話題を振って、気をそらすこともしていました。そういった取り組みを行うことで、少しずつ利用者さんに打ち解けていただき、中には施設に長い時間居続けていただく方も増えたので、取り組んでよかったと思っています。
Q.デイサービスを続けるためのマインドは?
業務中の喜びを感じることと、小さな目標を立ててそれに取り組むことです。利用者さんを楽しませようと取り組んでいましたが、実際は失敗することの方が多く、利用者さんが出て行こうとするのを追いかけたり、会話どころか業務をこなすのに精一杯になってしまったりすることがありました。私もいつも自信などありません。ですが、「ここに来るのが楽しみ」と言ってもらえたり、利用者さんと思いきり笑い合える瞬間があったりと、大変な分その時の喜びはひとしおで、続けようと思うモチベーションアップにつながります。
また、自分自身で小さな目標を立てて、それを達成するために取り組むことも、続けるコツのひとつ。例えば、「入浴介助していた時の◯◯さん最高だったな…」など、思い出し笑いする時間を業務終了後に持つという目標を立てることで、仕事のモチベーションを上げていました。些細な目標でもいいので、立てることが業務を続けられるコツのひとつだと思います。
國廣さん流・デイサービスを続けるうえでのマインド3箇条
1.利用者の方が安心できる雰囲気づくりを心掛ける
2.利用者の方にとって気の置けない存在になる
3.自分自身で小さな目標を立ててそれに取り組む
取材・原文/井上桂佑(レ・キャトル)
イラスト/國廣幸亜
教えてくれたのはこの人!
國廣幸亜さん
訪問介護や介護老人保健施設、デイサービスなど多くの介護現場を渡り歩いたベテランの介護福祉士として活躍し、現在は自身の豊富な介護経験を題材にした漫画などを手がける人気の漫画家として活躍中。
所有資格:介護福祉士。