姿勢が整って、気持ちも前向きに! 大人気「くびれダンス」のメソッドを紹介【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事Vol.92/くびれダンストレーナー・榎本愛子さん】#2
「ヘルスケア業界」のさまざまな職業にフォーカスし、その道で働くプロに、お仕事の魅力や経験談を語っていただく連載企画「もっと知りたい! ヘルスケアのお仕事」。
今回お話を伺ったのは、
くびれダンストレーナー・榎本愛子さん
もともとダンサーとして活躍していた榎本さん。コロナ禍以降、豊富な経験を元に、ヨガやピラティスなどのオンライン インストラクターとして活動されています。
前編では、榎本さんがインストラクターになったきっかけや、オンラインレッスンのメリット・デメリットなどを伺いました。
後編では、人気レッスン「くびれダンス」のメソッドや現在の働き方、未来のセラピストに向けたアドバイスを伺います。
「ほぐす・伸ばす・踊る」の3ステップで
より効果的に&楽しく、くびれダンス!
――ではいよいよ人気の「くびれダンス」について伺いたいと思うのですが、このメソッドはどういう経緯で生まれたんですか?
実は、私のコンプレックスからできたメソッドなんです。もともと細身ではあったんですが、お腹周りだけ何をやっても痩せなくて……。ダンスの衣装はウエストが出るデザインのものも多いので、「くびれてたらいいな」って思いつつも、トレーニングをすればするほど腹筋が割れるだけでくびれができない。半ば諦めていました。
これはのちに解剖学を勉強してわかったのですが、くびれを作るためには、運動するだけではなく、他にやるべきアプローチがあるんですよね。それをちゃんと理解しないと、綺麗にくびれてくれないんですよ。
また、母のためのメソッドでもあります。母はいつもダイエットとリバウンドを繰り返していて、私と同じように体型コンプレックスを持っていました。実は、お腹周りの体型にコンプレックスを持っていると、「隠したい」という気持ちが働いて、どんどん猫背になっていくんです。猫背になると上半身が俯きがちになりますよね。そうすると、心と体は繋がっているので、気持ちまで落ち込んでしまうんです。
特にコロナ禍で外出ができず、メンタルも弱っていた時期なら尚更ですよね。そこで、母娘共に前向きに変われたら、と思って作りました。
――では、早速そのメソッドを教えてください!
まず、これは「くびれダンス」という名前の通り「くびれ=お腹周り」にフォーカスしているんですが、とはいえ骨盤を整えないとお腹はスッキリしないので、骨盤にもアプローチできるようにしています。
さらに、「スッキリして満足」ではなく、その後の生活が楽になる、困らなくなることを目指しています。いくらスッキリしても腰が痛いままだとか、姿勢が悪いままだと意味がないので、くびれながら体を整えるつもりでチャレンジしてもらえると嬉しいです。
ステップ1:ほぐす
お腹周りをつまんでほぐします。ここが硬いまま運動しても、鎧の上に鎧をつけるような感じで、なかなかくびれないんですよ。どんなにトレーニングをしても腹筋が割れるだけだった当時の私は、まさにここが抜けていました。
ステップ2:伸ばす
お腹周りの空間を広げるように、伸ばします。ここの空間が狭いと、そこに収まらなかったものが外にあふれるんです。例えるなら、2畳の部屋に50個のダンポールを詰め込んだけど、入りきらなくて外にあふれ出た状態。スペースに対して内容量が収まってないんです。では、6畳の部屋に引っ越したらどうでしょう? 大方収まると思いませんか?
現代人はパソコンやスマホなどで前屈みの姿勢をとりがちなので、お腹の空間が狭まっている人が多いんです。そういう人は、お腹の空間を広げ、正しい姿勢に整えるだけで、お腹周りがスッキリしたように感じることも多いはずですよ。
この時の注意点は、骨盤をまっすぐ下に、上半身をまっすぐ上に伸ばすこと。背中を反るように伸ばすと、反り腰になってしまいます。腰が反っている分、お腹側が前に突き出ることになるので、逆効果ですよ。
ステップ3:踊る
踊るといっても、難しい動きをするわけではありません。要は有酸素運動なので、音楽に合わせて体を動かします。私のレッスンでは、骨盤や肩甲骨にアプローチをする動きを取り入れ、体のバランスが整えられるようになっています。
疲れたままではパワーも出ない!
しっかり働くためには、
体を労ってしっかり休むことも大切
――働き方について伺います。今、オンラインレッスンは週にどれくらいの本数お持ちなんですか?
個人で発信しているレッスンは、週に6本。オンラインジムの契約インストラクターもしているので、そちらのレッスンも入れると週9〜10本ぐらいになります。
あと、不定期ですが企業が開催する企画やイベントでのレッスンもしています。会社の福利厚生で受けられるレッスンや、企業がユーザー様に向けて開催するレッスンなどですね。
――ちなみにオンラインレッスンは単発ですか?
単発もありますが、サブスク(月額制)も行っています。最近はサブスクを利用される生徒さんが多いですね。金額は、ピラティスのクラス、ルイジエクササイズのクラス、くびれダンスのクラスなど、何のレッスンを受けるかで変えています。
――サブスクの方がインストラクター側も生徒さん側もメリットが多そうですね。
インストラクター側としては、生徒さんが集まる・集まらないに関わらず、「サブスクメンバーがいるからやる」って割り切れるので、すごく楽です。生徒さんも、サブスクだったら「時間を決めているからやらなきゃ」って思うし、参加できなくてもレッスン映像が残るアーカイブ機能があったりするので、キャンセル料とか気にせず、より気軽に受けられるんじゃないかと思います。
クラスが被っている人もいますが、今トータルで45〜50人ぐらいのメンバーがいます。
――1日の流れはどんな感じですか?
私のオンラインレッスンは朝にやることが多いです。気持ちよく1日がスタートできますし、これは個人的なことですが、朝にレッスンを入れておけば、ちゃんと早起きするクセがつくかなと思って(笑)。フリーランスだと、ついつい朝寝坊しがちなので、自分への喝ですね。
日中は、執筆活動をしています。私、ヨガ情報を発信するWEBマガジンでライターをしているんですよ。「月何本」という契約なので、そのための撮影をしたり、原稿を書いたりします。
夕方以降は、アイドルの振り付けだったり、ミュージカルのダンスレッスンだったり、外部で対面レッスンをしています。
――プロに向けたレッスンも行っているんですね。一般の方向けのレッスンと、難しさはどうですか?
目的が違うので、完全に別物ですね。強いて言えば、一般向けのレッスンは即効性というか、1回参加しただけでも「何かしら変わった」というお土産がないと続けてもらえないのかな、と思います。「すっきりした」「汗をかいた」だけでもいいんですけど、その人の満足感に繋がるものが必要だと思います。
――なるほど。とはいえ、朝から晩まで忙しそうですね! ご自身のケアやリフレッシュはどのようになさっていますか?
私、サウナに行くために旅行することもあるぐらい、サウナが大好きなんです。なので、空き時間があったらサウナに行きます。日中の執筆作業は、サウナ施設内のワーキングスペースで行うことも多いです。サウナに入って、原稿書いて、またサウナに入って帰る(笑)。最高のリフレッシュですね。
あと、レッスン以外の時間は、体を休ませるようにしています。リカバリーウエアを着たり、寝る時のマットレスや枕にこだわったり、しっかり働くためにしっかり休む。ずーっと疲れたままではパワーも出ませんからね。
過去の経験が未来の糧に!
何事にもチャレンジして、
経験という「宝物」をしっかり記録しよう
――この仕事のいいところややりがいはなんですか?
「変わってきた」とか「これができるようになった」とか、生徒さんから体の変化の報告を聞くのがやりがいですね。みんな笑顔で報告してくれるので、それを見ると、やっててよかったなと実感します。
ちなみに母は、くびれダンスでウエストが-7.5㎝になりました。恥ずかしいからと、写真は撮らせてくれないんですが、体が変わったことで気持ちも前向きになったよう。前よりイキイキしています。やっぱり体の変化は心の変化にも繋がるんだなって、身をもって感じました。
――素敵ですね! 今後の目標はありますか?
同業者の人達の中には、SNSの活用方法がわからなかったり、動画の編集の仕方がわからないっていう人も、結構多いと思うんです。そういう人たちに、自身のオンラインレッスンや、SNSの配信経験を活かしてサポートをしたいと思っています。わからないのは仕方ないと思うのですが、わからないから諦めるっていうのは、すごくもったいないと思うんですよね。同業者だからこそ理解できる悩みにも寄り添えるはずなので、何ができることはないかと模索中です。
――それはすごく心強いと思います! これからインストラクターを目指す人にアドバイスをするなら?
どの業界でも同じですが、特にこの業界は、自分の経験が全部宝物になるので、とにかく記録を残すことをお勧めします。
私自身やっておけばよかったと後悔しているんです。例えば、オンライレッスンのカメラやマイクの設定一つとっても、今の状態はわかるけど、もともと設定はどうで、それは何がよくなかったか、とか。意外とビフォーの記録って残ってないんですよね。生徒さんの変化も、今がすごくよくなっているのはわかるけど、元々どうだったかとか。変化の過程が見えると自信にも繋がるし、何か新しいことをする時の後押しにもなると思うんです。
あと、とりあえず何事もチャレンジしてみること。チャレンジしないで諦めてしまったら、0(ゼロ)のまま。0と1の差はすごく大きいです。やってみて「違うな」と思ったらやめたっていいんです。失敗したことで、新たな解決策が見つかることもあるかもしれないですよ。
――ありがとうございました! 最後にインストラクターの心得3ヵ条をお願いします。
・生徒さんの可能性を引き出す
・ポジティブエネルギーを伝える
・わかりやすく実感しやすく表現する
生徒さんの中には、自分のウィークポイントを必要以上に気にしすぎて悩んでいる人もいます。弱点を克服するのはいいことですが、「弱点=悪い」ではなく、どうして良くないのか、それを克服することでどうなれるか。その先の可能性を一緒に考えて引き出してあげられるといいですね。
前編・後編を通じて、熱い思いを語ってくださった榎本さん。「くびれダンス」は、スッキリとした綺麗なくびれを目指すだけでなく、現代病ともいえる姿勢の改善やメンタルへもアプローチできることがわかり、ますます注目したいところ。榎本さんご自身も「いつか本などを出せればいいな」と語ってくださいました。
貴重なお話をありがとうございました!
取材・文/児玉知子
撮影/喜多二三雄