「筋膜」を学んで、未経験から一気に実力派整体師の道へ!独自技術も開発!【もっと知りたいヘルスケアのお仕事 Vol.136 整体師 土信田裕介さん】#1
ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』。
サラリーマンを経験後、モデルを目指した後、整体師になった異色の経歴を持つ土信田裕介さん。現在は「Dr.Style整体院」の経営と、実践型で手技を学べる「整体大学」の運営を行うなど大活躍中です。
前編では過去にどんな困難を乗り越えてきたのか、土信田さんが考案した「筋膜フリクションテクニック(FFT)」とはどんなものかをご紹介します。
お話を伺ったのは…
土信田裕介さん
整体師。土信田整体義塾株式会社CEO。直営店、FC合わせて15店舗を経営している。youtubeのチャンネル登録者数4万人越え。「筋膜フリクションテクニック(FFT)」の療法を独自に体系化し、整体師育成を行うスクール「整体大学」も運営している。
指名ゼロから「筋膜」について学び、人気整体師へ!
――土信田さんは現在経営者としてご活躍中ですが、キャリアのスタートは整体師からだと伺いました。整体師時代、現場ではどんな悩みを抱え、それを乗り越えてこられましたか?
私はほぼ未経験の状態から整体師を目指し、専門学校に入学しました。そのときすでに家庭をもっていたことから「一刻も早く現場に出て、技術を習得したい!」という思いから学校を中退し、リラクゼーションサロンで1年、その後、整体院での勤務を開始しました。
ところが、リラクゼーションでは1年間ほぼ指名ゼロ。転職した整体院には、体のあちこちに不調を抱えた人が1日に約40人やってきたのですが、痛みの取り方や不調の治し方を知らない私はただひたすら患部を強く押して施術をするだけで、肉体的、精神的に疲弊。施術のしすぎで親指が変形し、メンタル的にもぼろぼろでした。
ちょうどその頃、実家に帰省した際に、同業の仕事をしていた姉のすすめでたまたま観たDVDで「筋膜」の存在を知ったのがターニングポイントでした。見様見マネで実家の父に施術を試したところ、てきめんに効果が現れたのを目の当たりにし、それを整体院で試すことにしたのです。
整体院の顧客からも評価が高かったことを受けて、筋膜に関する手技を教えてくださるスクールに通うことにしました。筋膜に関する知識や手技を学ぶにつれて、徐々に自分を指名してくださる患者さまが増えていき、整体師としての武器を一つ手に入れた状態になりました。
――患者さんの評判も上々になり指名が増えてきた後、土信田さんは独立をされています。開業当初の経営は困難もあったと伺いました。
開業や経営というのは私にとっても初めての体験だったので、実は最初は筋膜への施術について教えてくれる先生に開業サポートをお願いしていたんです。お店の選定やコンセプトづくり、公式ページの立ち上げまで一括でセットになっていたので、オープンするまではスムーズに進みました。
ところが蓋を開けてみると、開業しても集客が全然できなかったんです……。整体院に置いていた固定電話が壊れているのかと思うほど問い合わせがなくて、心配になって試しに自分の携帯電話から固定電話に電話を掛けたほどでした(笑)。
アドバイス通り人件費をかけて受付担当を設置していたこともあり、最初は大赤字。どうしようと考えて、当時全盛だったfacebookでお店のアカウントを開設することにしました。オープンを告知する広告を出すと、ぽつりぽつりとお客さまが増え、その方々が口コミで輪を広げてくださったおかげで、3ヶ月後には月商100万円を超えるようになりました。そこで改めて、筋膜にフォーカスした技術にも自信を得ましたね。
3ヶ月で臨床現場に立てる!独自の技術を体系化
――筋膜について深く学んだ土信田さんが独自に考案した「筋膜フリクションテクニック(FFT)」とはどんなものですか?
“筋膜”というと「筋膜リリース」のように筋膜の表層にアプローチする施術を思い浮かべがちですが、「筋膜フリクションテクニック」は“筋内膜”という筋膜の深い部分にアプローチをする施術を指します。すぐに効果が得られやすいのですが、リスクが少なく安全な手技というのが特徴です。
ヘルスケアの手技というと、手や身体の感覚で習得しないといけないものが多いですが、「筋膜フリクションテクニック」は体系化・言語化された技術のため、ヘルスケア未経験の人でも比較的習得しやすいのが、施術する側のメリットと言えます。
――土信田さんの今後の展望を教えてください。
今後は、海外展開に力を入れていきたいと思っています。
YouTubeで発信を続けてきたところ、ネパールやインドで人材派遣をしている方から、「筋膜フリクションテクニック(FFT)」の施術を教えてもらえないかという依頼を受け、展開に向けて動いています。
またイギリスで理学療法士をしている方からも、海外で加盟店を出せないかという相談があり、ヨーロッパへの展開も視野に入れている状況です。世界の人にも「筋膜フリクションテクニック(FFT)」の技術が届き、多くの方の不調を改善できる日が来ることを夢見ています。
現在、経営者として「Dr.style整体院」を運営しつつ、筋膜フリクションテクニックを教える「整体大学」の拡大を目指している土信田さん。後編では、整体大学が形になるまでのお話を詳しく伺います。