児童指導員の仕事は子どもの特性と環境のミスマッチをなくすこと【福祉・介護・看護・リハビリ業界のお仕事企画 児童指導員 森末晋史さん】#2
業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載「福祉・介護・看護・リハビリ業界のお仕事企画」。今回は、「リッツ児童デイサービス港南台」管理者・児童指導員の森末晋史さんにお話を伺います。
多忙を極めた建築会社での23年間に終止符を打ち、児童指導員に転職した森末さん。児童指導員のいちばんの仕事は、特性と環境のミスマッチをなくしてあげること。特性はその子自身にあるものだから、それを変えることも否定することもしちゃいけないのではと語ってくれました。
お話を伺ったのは
リッツ児童デイサービス港南台
管理者・児童指導員 森末晋史さん

大学卒業後、建設会社に就職。現場監督として23年間勤務した後、放課後等デイサービスに転職。強度行動障害支援者養成研修(基礎研修)終了。現在、リッツ児童デイサービス港南台の管理者・児童指導員として奮闘中。
子どもたちと触れ合うために極力プログラムに参加

オープン当初は小学校にチラシを置かせてもらい、ホームページやインスタ発信にも力を入れたそう。
――一日のタイムスケジュールを教えてください。
8:00~9:00 出社
メール確認、送迎表作成、リッツプログラム内容と人員配置確認
13:00 昼食
14:00 行きの送迎開始
16:00 リッツプログラム開始
17:40 リッツプログラム終了
18:00 帰りの送迎、事務作業、清掃
19:00~20:00 退社
自力通所できる子にはしてもらい、ひとりでバスに乗れない子などを送迎します。放課後等デイサービスは法令上、児童発達管理責任者と児童指導員のほかに管理者が必要。事務作業は管理者としての仕事が主ですね。
――管理者のお仕事にはどんなものがありますか。
保護者対応、子どもの管理、スケジュールシフト作成、あとは区の自立支援協議会にも参加します。ただこの事務作業に追われてプログラムに参加できなくなると、すごくストレスを感じることに。子どもたちと接する時間がなくなって雑務ばかりしている感覚が強くなってしまうので、極力プログラムには参加するようにしています。
児童指導員の仕事は特性と環境のミスマッチをなくすこと

昼礼では、子どもにこんな反応があった、次はこんなアプローチをしたらいいのではと前回の子どもの様子をスタッフ間で共有。
――児童指導員のやりがいや魅力はどんなところですか。
日々子どもと一緒に笑い合えること、子どもと一緒に楽しい時間を共有できること。そこにとてもやりがいを感じます。
例えば、読み書きができなかった子がいつの間にかひらがなが書けるようになっていた。それまで発語できなかった子がおしゃべりするようになり、自分の意思を主張してコミュニケーションがとれるようになった。そんなときは自然に笑顔になりますよね。
――リッツプログラムの成果ですね。
そうですね(笑)。でも一個人としては、その成長はその子自身の成長だと思うのです。自分の指導の成果だと思ってしまうのはちょっと違うのではないかと。
――具体的に教えてください。
私が児童指導員として心がけているのは、決めつけない、押しつけないことです。少し経験を積んでくると、この子は自閉症スペクトラムだからこんな行動で、こういう支援をしなきゃいけないと決めつけてしまうことがあると思うのです。でももっといろんな視点で見なきゃいけないと思うのですよね。
――それはなぜですか。
例えばすごく泣き叫んでいる子がいて、その理由はスタッフが想像していたのとはまったく違ったりすることもあると考えます。答えを知っているのはその子だけなのでスタッフはみんなで意見を出し合って、試して、常に探ってあげなきゃいけないのではないかと思います。
児童指導員のいちばんの仕事は、特性と環境のミスマッチをなくしてあげること。特性はその子自身にあるものだから、それを変えることも否定することもしちゃいけないと考えています。また指導しているのではなく、成長のお手伝いをさせて頂いていると考え、支援を行うように心がけています。子どもと指導員は対等であるはずだと思います。
遅刻してしまう中学生に毎朝モーニングコール

子どもたちと一緒に笑い合えるのは、子どもたちと笑うポイントが似ているせいかも。
――児童指導員として印象深い出来事はありますか。
どうしても朝遅刻してしまう中学生がいました。父子家庭の子だったのですが、お父さんも多忙であり、父子ともに大変な毎日を過ごされていました。遅刻をしないようにと言われても、誰かがサポートしないとそれは難しかったと思います。だから目覚まし代わりに毎朝電話させていただきました。
――そんなに献身的に?
社長にもやりすぎだと叱られました(笑)。だからその子がなんとか高校に入れたときは本当に嬉しかったですね。リッツに最初に来た子なのでとくに思い入れが強かったのかもしれません。
――児童指導員に必要なことは何だと思いますか。
常に笑顔でいること。全然言うことを聞かない、大暴れしちゃう子どもに「ついつい怒っちゃうことがある」はNG。特性を理解し、原因(行動を起こす機能)は何かを考え、人・物・環境を変えてあげる支援を行うこと、その考えを持つことが大事だと思います。
――目に見えない大変なこともあると思います。森末さんのストレス解消法は?
バスケットボールですね。転職して自分の時間がとれるようになったことがいちばんのメリット。中学時代にやっていたバスケを再開しました。雨でもできるし、週に3回地域の活動に参加させていただいています。
――最後に児童指導員を目指す人にアドバイスをお願いします。
いまうちに来てくれている子たちと出会えて本当によかったなと思っています。それは、特性がある子も定型の子も同じなのだと思います。子どもが幸せになることを真剣に考えられる人、子どもと一緒に楽しめる人、子どもと一緒に楽しみたい人がこの仕事には向いているのではないかなと感じます。自分の承認欲求を満たすためとか押しつけじゃなく、子どもが幸せになるために、本当に子どもが何を望んでいるのかを汲み取って、それを応援することが大事なのではないかと考えます。
森末さんが児童指導員として心がけていることは
1.常に笑顔でいること
2.決めつけけず、押しつけず、子どもに選択肢を持たせる
3.目標は子どもが「できる」ようになることではなく「幸せになる」こと
森末さんは常に子どもの目線に立ち、子どもの味方であるのだなと率直に感じました。子どもと一緒に笑い合いたい、楽しい時間を共有したいと思う方はぜひ児童指導員という仕事を候補に入れてみて!
撮影/森末美穂
取材・文/永瀬紀子













