【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事 Vol.18】壱番館フォルトゥーナ 志水剛志さん流 柔道整復師/整体師の手技&技術
ヘルスケア業界のさまざまな職種にフォーカスし、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』の企画。
これまで「壱番館フォルトゥーナ」で柔道整復師/整体師として活躍する志水剛志さんに、柔道整復師を目指したきっかけや、お仕事の魅力についてうかがってきました。今回は、志水さんが行っている、「距骨」を中心とした施術について、その流れや手技をご紹介します。
人の生活を支えている「足」の大切さを広めたい
―志水さんは「距骨調整」を掲げ、距骨を中心とした施術に重きを置いていらっしゃいます。距骨に注目したきっかけは?
最初に入社した接骨院が外反母趾に注力している医院だったので、足の大切さというのはそこでも学んでいました。それにくわえ、僕自身、中学生のころに右足の靭帯を切ってから、長年にわたって腰痛に悩まされていたんですが、足の調整を自分でしていったら、すごくよくなったんです。そこで、足を深堀りしていったら、距骨に行きついたんですよね。
―「距骨調整」について、教えていただけますか?
二足歩行の人間にとって、土台となるのが足元と骨盤です。とくに距骨は、立ったり歩いたりするときに、すべてを支えている骨なので、ここが歪むと全身の症状につながります。施術では、距骨と骨盤を中心に整え、歪みの原因となっている日常生活での体の使い方を、改善できるようにアドバイスしています。
―志水さんが、施術において大切にしていることは何ですか?
慢性的な症状を抱えている場合、明確な原因はなく、日常生活から症状が出ることが多い。つまり、体の使い方を間違えているということですね。でもその間違いは、本人にとっては当たり前のことなので、気づけない。改善していくためには、立ち方や歩き方、生活スタイルまで、しっかり知ったうえで評価して、本人に認識させる必要があります。
だから一番大切なのは、体についての知識のない人でも、しっかりとイメージできるように伝えること。改善に向かうためには、どこを鍛えて、どこを動かす必要があるのか、何をしたらいいのかというのを明確にする。そのための方法のひとつとして、3Dスキャンやインソールなどのツールを取り入れています。
―施術の基本的な流れを教えてください。
まずは問診をしてから、3Dスキャンで足のゆがみを数値化します。また、鏡を見ながらの歪みチェックと、足の筋力・機能テストで、状態を詳しく把握していきます。ここまでで30~40分くらい。しっかり時間をかけて、ご本人にも自分の体の現状を理解してもらいます。
その後、施術に入ります。足と骨盤の整体がメインですが、初診の場合は足の調整だけで終わることも多いです。まずは、足を使える状態にしてから、段階を踏んで全身の調整をしていきます。
クロージングでは、日常の中でできるセルフケアを中心に、お話させていただきます。テーピングを使った補整の仕方などで、日常生活から改善につながる意識を作っていく感じです。
問診&検査
問診で、仕事環境や通勤、生活スタイルなどについて詳しく聞き、ふだんの体の動かし方を確認。その後、3Dスキャンで、座位と立位での足の過重負荷、傾きなどの変化をチェック。数値化することで、目標設定が明確になります。鏡の前に立ち、全身のゆがみをチェック。足の人さし指を正面に向けて立ち、膝の向き、骨盤の傾き、肩の高さなど、お客様と一緒に確認していきます。その後、ベッドに仰向けに寝てもらい、足首の動きと筋力をテスト。
「距骨調整」施術
施術では、足を使いやすい状態にしてあげることからスタート。足指、中足部の歪みを整え、可動域を広げていきます。
距骨の調整。距骨は、かかとの上にある、足で唯一筋肉についていない骨です。最初は固まっている場合が多いので、歪みを整え、動かせるように調整していきます。軽く体重をかけながら、正しい位置、傾きに導きます。その後、骨盤の整体へ。
クロージング
再度、3Dスキャンで歪みのチェックをして、変化を確認。整体後の状態が続くように、クロージングでは、日常生活でのセルフケアについて説明。自宅でできるテーピングについても指導します。テーピングは、足裏のバランスを整え、正しい歩行感覚を覚え込ませるのに効果的です。
慢性症状の改善のためには、その日の施術だけでなく、日常への意識の変化まで導くことが大切だという志水さん。「治療行為でしかなかった施術の価値を、予防にもつながるコンディショニングに変えたい」とお話ししてくださいました。世間からの認知も高まっている「距骨」からのアプローチ、ぜひ体感してみてください。
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【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事 Vol.18】壱番館フォルトゥーナ 志水剛志さんが柔道整復師を目指したきっかけ>>
取材・文/山本二季
撮影/片岡 祥
教えてくれたのは…
「壱番館フォルトゥーナ」院長 志水剛志さん
柔道整復師。笠原接骨院にて副院長として従事するとともに、整体の知識・技術も習得。2007年に独立し、整体院を開業。2008年に整骨院を開院、2010年に株式会社壱番館を設立し、ホテルスパとの業務提携をスタート。2016年、日本距骨調整協会を設立。「距骨」の重要性を伝えるため、執筆、商品開発など幅広く活動中。著書に『MAG MOOK 距骨を整えれば不調が治る!』(マガジンハウス)など。