ブライダル全般の知識を活用。トータルプロデュースが強みのヘアメイクとは【フリーランスのライフスタイル ヘアメイク・藤村瑞恵さん】
フリーランス人口が増えるにつれ大切になってくるのが、他の人にはない個人の強みや経験の差。そこで今回は、ヘアメイクの仕事をしながらもブライダル全体の知識や経験を豊富に持つ藤村瑞恵さんに登場していただきます。
フリーランスになる前は結婚式場の専属ヘアメイク、ウェディングのトータルプロデュース会社にて経験を積んだという藤村さん。ヘアメイク以外にも、衣装選びのサポートや、プランナーアシスタントにプランニンング業、ウェディング全般の業務にも携わり、現在はその経験を活かしながら働かれています。また、前職ではノドウエディング(旅するウェディング)というお客さまの好きな場所に出向いて式を挙げる斬新な形式の結婚式にも携わっていたとのこと。会社員時代のスキルを活かしたフリーランスとしての働き方とは?
前編では、前職で携わった新しい結婚式の形式や、その経験が現在フリーランスとして働くうえでどのように活かされているかをお伺いします。
お話を伺ったのは…
藤村瑞恵さん
三重県出身、旭美容専門学校卒業。新卒で伊勢の結婚式場に就職し、専属のヘアメイクとして勤務。約5年勤めた後、同じく伊勢にあるウエディングのトータルプロデュースを行う会社へ転職する。衣装やウェディング業務全般に携わりながらへメイクスタッフとしても働く。2019年6月にフリーランスのヘアメイクに転身し、現在は伊勢を中心に結婚式、七五三、成人式などのヘアメイクを担当している。
Instagram:@mizue_fujimura
前職でウエディング全般の知識を習得。斬新な挙式も数多く経験
――――ヘアメイク以外にもさまざまな経験を積まれてきたとのことですが、具体的にはどのような業務を行っていたのですか?
最初に勤めた会社は、結婚式場の専属ヘアメイクでした。すべてのスタッフがオールマイティーに働くことが会社の方針。ヘアメイクだけでなく、衣装選びのアシスタント、管理・メンテナンスなどに加え、お料理だしのサービスなども学びました。2社目はウェディングのトータルプロデュース会社で、1社目と似た業務に加えて、ウエディングのプランニングなど多岐にわたって担当。両方の職場でウェディングに関する仕事は一通りできるようになりました。ヘアメイク以外の仕事は教えていただきながら、リサーチをたくさん行い、場数を踏むことで経験を積んだ形です。
また2社目は「背伸びしない自分目線のウエディング」をコンセプトに、ノマドウエディング(旅するウェディング)など、これまでにない結婚式のスタイルを得意とする会社でした。ノマドウエディングとは、結婚式場ではなく新郎新婦の希望の場所にスタッフが出向き、おふたりらしい挙式を行うスタイルです。今では少しずつ増えていますが、当時はとても珍しいスタイルの結婚式でした。
――――たとえばどんな場所で式を行うのですか?
新郎新婦がデートでよく行っていた公園やレストラン、キャンプ場、母校、大阪の万博公園などです。音楽好きのおふたりはフェスの要素を取り入れたり、行きつけのカフェのお料理が並んだり、形式にとらわれず1組1組、おふたりらしさが詰まったお式ばかりでした。
式場すべての仕事を把握することで提案の幅が広がる
――――充実した社会人生活を送られていたようですが、なぜフリーランスになられたのですか?
たしかに職場では他ではできない数多くの経験を積みながら楽しく働いていました。しかし、会社員では限りがあります。「ヘアメイクをもっとたくさんやっていきたい!」という気持ちが大きくなったため、フリーに転身することに。現在は、ウエディングを中心に、七五三や成人式などのヘアメイクを担当しています。今でも前職とのつながりは残っており、そこからの依頼で結婚式のヘアメイクに入ることも。これまでの経験は私にとって必要なもので今でもその知識や経験が役に立っていると実感することが多いです。
――――具体的にどのような点が活かせていると思いますか?
結婚式に対するおふたりの想い、雰囲気、全てを把握しつつヘアメイクを提案ができることは、私の強みだと思います。「カタチ」にとらわれない多くの式に携わってきたので、ヘアメイクだけでなく、衣装やアクセサリー、ブーケを含めて、王道スタイルから個性派スタイルまで、新婦さまらしいスタイルを作り上げることが得意です。
また、お式当日は皆さん緊張されています。当日、誰よりも一番近いところで、長い時間を私は共に過ごしているので、ヘアメイク以外のことも質問される事も多いです。前職での知識があるからこそ答えられる内容も多く、お二人の気持ちのサポート・安心に繋がっていると感じます。ヘアメイクに加え、挙式全体を通しての提案やサポートについても、視野を広く持って行うことができるようになりました。
お客さまとの距離を縮めることがお互いの信頼につながる
――――今まででとくに印象に残っている結婚式のエピソードがあれば教えてください。
前職で初めて携わった結婚式にはとても感銘をうけました。私にとって初めての野外ウエディングで、お客さまもゲストも自由に楽しんでいる姿が今でも印象に残っています。とくにスタッフとお客さまの距離の近さには驚きました。それまでスタッフは一定の距離感を保って仕事をするものだと考えていたんです。しかしそこで目にしたのはスタッフそれぞれが感じたままに笑ったり涙を流したりと、これまでではない光景ばかり。お客さまのお手伝いではなく一緒に思い出を作り上げているということを実感しました。いい式にしたいという気持ちがあれば、壁をなくして近い距離で接することも大切だという新たな発見があった結婚式でした。
ヘアメイクだけでなくトータルの知識を持つことで、より視野が広がり、幅広い提案ができるようになったという藤村さん。「カタチ」にとらわれない自由な結婚式はこれからも増えていきそうです。形式や自分の担当にとらわれず、結婚式にまつわるさまざまな知識を習得していくことが今後必要になってくるのではないでしょうか。
後編では、現在の結婚式のトレンドや藤村さんならではのスタイルの魅力、七五三や成人式などウエディング以外の仕事で心掛けていることなどをお伺いします。