世界タイトルを取るのと同じくらい、妊活もやると決めたらとことんやる。アイリスト泉 愛里さん♯1
表参道の目元専用サロン「aile lash」オーナーをはじめ、メーカー業、スクール業と多岐に渡ってビジネス展開する株式会社AIRI IZUMI代表の泉愛里さん。ビューティーワールドジャパンなど大きなイベントにも登壇し、仕事一筋のイメージが強い愛里さんが、なんとママに!
不妊治療を経て、2023年6月長女を出産。仕事復帰までのお話をお伺いしました。愛里さんは、これまでのビジネススタイル同様、妊活でも全方位からあらゆることにトライ。出産時のハプニングもビジネスで鍛えた柔軟なマインドで乗り越え、仕事復帰されました。2名のベビーシッターの他に、両方の母にもビジネスとして子育てをサポートしてもらっているのだそう。ママになってからのインタビューは今回が初ということで、愛里さんの妊活・出産・育児ストーリーをどこよりも先に公開します。
お話を伺ったのは…
株式会社AIRI IZUMI
代表 泉 愛里さん
表参道の有名美容室に勤務するも、激務のため体調を崩し退職。その後、大手アイサロンに入社、統括マネージャーを経験。2013年に独立し、東京表参道「aile lash」、大阪「EYE on ME」など自らのサロンプロデュースの他、メーカー、スクール、オンラインサロン運営など多岐に渡って活躍。アイデザイナーとして世界大会優勝など獲得タイトル多数。2023年6月に長女出産。
妊娠・出産のシャッターを閉める前にやれることすべてにトライ
――まずは、ご出産おめでとうございます。仕事一筋というイメージが強かった愛里さんが、ママになったと聞いてびっくりしました。
そのイメージ通り、30代までは仕事一筋、浮気なしという感じでした(笑)。40代を目の前にして、妊娠・出産を本気で考えるきっかけがあったんです。当時、ビジネス面でいろんなことが頭打ちになり、これが自分の限界なのかなと感じることが多くなっていました。それと同じ時期に、以前から重かった生理痛が尋常じゃないくらいひどくなって、婦人科を受診すると、もともとあった子宮筋腫がさらに大きくなっていて、チョコレート嚢胞の疑いもあると。医師に、妊娠を望まないのであれば、子宮適出かもしくは完全に生理を止めるかのどちらかと宣告されました。
でも、少しでも妊娠を望むのであればと、不妊治療の病院を紹介されたんですね。そこではじめて、妊娠ホルモンの数値や子宮内膜の厚さ、卵管が閉塞してないかなどを検査した結果、ほぼ妊娠は不可能という診断でした。そのまま子宮摘出するか、妊娠の可能性にかけるなら本気で向き合わないと選択肢がなくなると言われて…。その言葉に、突然涙があふれ出しました。
――いつかは産もうという気持ちがあったのでしょうか?
いつでもできると思ってたことに、自分でもはじめて気づきました。でも、できなくてもいいかなという気持ちのほうが強かったのかもしれません。というのは、自分のまわりに子育てしながらキャリアを積み上げていく女性のサクセスモデルがあまりなかったんですよね。出産を機にそれまでのキャリアをリタイアして、それまで広がっていたものが閉まっていくようなイメージがすごくあったんです。だから、今じゃないよね。別に幸せの形に、子どもは必須条件じゃないよね、と自分に言い聞かせていたのかもしれません。
――でも、現実を突きつけられて、本当の気持ちに気づけた?
家族構成も含めて、それまでのスタイルを貫くべきなのか、むちゃくちゃ考えました。40才手前までキャリアを積み上げてきて、この後さらに同じようにがんばったら80才ですよね。自分は、そこまで同じ働き方をしていたいのか。いや、このまま妊娠・出産のシャッターを閉めてしまうよりは、いまやれることをすべてやってみよう。主人ともとことん話して、それでダメだったら仕方ないよねというところに行き着き、子どもを産む決意をしました。
妊活について、看護師になれるくらい猛勉強しました
――妊娠に至るまでに心がけたことはありますか?
不妊治療期間は、食と向き合った半年間でした。食を考えるときに、摂取することを意識する人が多いと思うんですが、とことん勉強した結果、まず体の中にある毒を出すことが大事だと知ったんです。糖分は、体内で分解されるのに最もエネルギーを必要とする成分。糖分をとりすぎると内臓が疲弊して、妊娠に必要な女性ホルモンも出なくなってしまうと知り、妊娠に向けて5つのことを徹底しました。
1.精製された砂糖を摂取しない
2.グルテンを摂らない
3.体を酸化させない
4.内臓を疲れさせない
5.しっかり睡眠をとる
その上で、運動やエクソソーム(若返りの点滴)、ハリ治療などを取り入れました。東洋医学、西洋医学、メンタルケア、仕事の時間制限など、やってないことはないんじゃないかというほど全方位からあらゆることをやりました。わたし、世界タイトルトップを取るくらいなんで、やると決めたら異常なくらいやっちゃうんです。その代わり、短期間じゃないとダメ。たぶん医師にはなれなくても、看護師になれるくらい勉強したんじゃないかな(笑)。
――ビジネスと同じ熱量で妊娠に向き合われたのですね。不妊治療期間は、どれくらいだったのですか?
半年間です。ゆっくりしている暇はないと医師に言われていたので、早い段階で体外受精に切り替えました。でも、採卵まではたどり着いたんですが、卵を子宮に戻す手術がスケジュール的に厳しくて。そうこうしている間に、なんと自然妊娠したんですよね。妊娠したのが39歳、出産時には40歳になっていました。長期戦になることも覚悟していましたが、そもそも長距離走が得意ではないので、やると決めたら集中してやる。仕事と同じくらい真剣に取り組んだ結果だと思います。
――妊娠がわかったときはどんな気持ちでしたか?
感動したというよりは、ほっとしました。これまでも、自分で決めたことは絶対達成してきてるので、妊娠も本気で望んで、自分の心と体に子どもを産む準備が整った結果だと思っています。妊活もこれまでのビジネススタイルが後押ししてくれたというか、やっぱり間違ってなかったんだと腑に落ちました。娘を産むことで、仕上がった感じです。
――愛里さんにとって、出産はどんな体験でしたか?
母と妹の壮絶な話を聞いていたので、覚悟はしていたんですが、そんなにしんどくはなかったです。積み下ろしできる段階までキャリアを積んでいたことと、周りのサポート体制も万全だったので、妊娠・出産というものに集中できたことが大きかったと思います。
とはいっても、高齢出産ですし、無痛分娩のはずが途中で麻酔が切れ、普通分娩も経験するというハプニングも。でも、これも今後いろんな女性たちの気持ちを理解するための経験なのかなとリアルタイムで思っていました。これまでビジネスでうまくいかないことや予定通りにいかないことをたくさん経験してきたので、変化に柔軟に対応できるマインドがあったのかもしれません。
母にもシッター代を払って、ビジネスとして育児サポートを依頼
――ママになられたこと、周囲の反応はいかがでしたか?
陽性反応が出た妊娠検査薬の画像を知人含めて10人ぐらいに送ったんですが、「コロナになったの?」というコメントがきました(笑)。わたしと妊娠があまりにも結びつかなかったんでしょうね。主人以外は、両親にも知らせてなかったので、みんな驚いてましたね。期待させて落ちこませてしまうのも嫌だったし、見守られているスタンスが自分のプレッシャーになるかもしれないと思ったので。
――育児体制はどんな形で?
娘ひとりを大人総勢6名で育てています。主人も経営者なので、かなり仕事を抑えて育児に協力してくれています。わたしの母にも1ヶ月のうち2週間来てもらい、あとの2週間は主人の母にシッター代を払ってビジネスとしてサポートしてもらっています。その他にベビーシッターさんが2名います。
――万全なサポート体制ですね。愛里さんの一日は、どんなスケジュールで動いていらっしゃるのですか?
その日によってまったく違います。以前から、今日は東京、明日は大阪、韓国、ロンドンみたいなビジネススタイルだったので、ルーティンがないんですね。いまはまだ子どもが小さいので、泊まりの出張は入れていませんが、ルーティンがないのはママになっても同じです。なので、朝からシッターさんに来てもらって10時から19時までがっつり仕事をしている日もあれば、1時間だけ仕事をする日もあります。
愛里さん流!妊活・出産・育児スタイルとは
1.妊活は、全方位からあらゆることにトライ
2.出産時のハプニングもビジネスで鍛えた柔軟なマインドで乗り越える
3.母にもシッター代を払い、ビジネスとして育児サポートを依頼
後編では、ママになってからの仕事への意識の変化、ファンのお悩み解決のため自身の妊娠・出産体験を発信する裏アカについてお伺いします。
取材・文/永瀬紀子