ヘアカラーリストとは?どんな仕事をするの?なり方や必要な資格を紹介
美容師にはさまざまな肩書やポジションがありますが、「ヘアカラーリスト」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。なんとなく「ヘアカラーをする人」というのはわかるでしょうが、具体的にはよくわからない、という人も多いかもしれません。
そこで今回は、ヘアカラーリストについてどんな仕事をするのか、ヘアカラーリストのなり方、おすすめの資格についてご紹介します。
ヘアカラーリストとは?
ヘアカラーリストとは、その名のとおりヘアカラーに特化した美容師のことで、カットなどはおこなわずヘアカラーを専門に施術することが多いです。
ヘアカラーリストは、ヘアカラーのスペシャリストとして、カラー剤の専門的な知識と正確な技術をお客様に提供します。同じカラー剤でもお客様の髪質による微妙な影響の違いを考慮し、希望に添いつつお客様に似合うカラーの提案も行います。
知識や技術だけでなく、一人ひとり異なる髪質や色に対する、優れた感性や感覚といったものも求められます。また、ファッションやヘアスタイル、メイクなどにも合わせたヘアカラーの提案が必要なため、トレンドに敏感で常に学び続けられることが重要です。
スタイリストやアシスタントとはどう違うの?
美容師は店舗によってさまざまな肩書を与えられますが、代表的なものは「スタイリスト」と「アシスタント」でしょう。ヘアカラーリストと、スタイリスト・アシスタントは、同じ美容院に所属しても、業務内容が異なります。
スタイリストはカットやカラーリング、スタイリングなど、すべてのメニューを総合的におこなうスタッフです。アシスタントはカットなどはおこなわず、シャンプーや受付・掃除といった雑務、スタイリストの補佐をおこなうスタッフ。このように、同じ美容師でも肩書や立場によって業務に大きな違いがあります。
ヘアカラーリストはどんな仕事をするの?
ヘアカラーリストについておわかりいただけたところで、次はヘアカラーリストがどんな仕事をしているのかについて見ていきましょう。
カウンセリング
ヘアカラーリストが接客において、はじめにおこなう仕事はカウンセリングです。まず、カラーを希望するお客様のカウンセリングをおこない、どんな色にしたいのか要望を聞き出します。
提案
お客様の要望を聞いたとしても、お客様の要望を鵜呑みにしてその通りのカラーに仕上げるわけではありません。お客様の要望を踏まえ、元の髪色や髪質、肌や瞳の色なども考慮して、カラーを選定しお客様に提案をします。
他にも、ファッションやメイクの好み、普段よく出かける場所などを聞き、お客様の要望とすり合わせてお客様にふさわしいカラーを提案できるかどうかが、ヘアカラーリストの腕の見せどころです。
カラー剤の調合
提案したカラーをお客様が承認したら、カラー剤の調合をします。提案したカラーを出すことができるようにするのはもちろん、髪や肌へのダメージなども考慮しなければならないため、カラー剤に対する深い知識が求められます。
施術
調合したカラー剤で、実際にカラーリングを行います。カラー剤がムラになってしまうときれいに仕上がらないため、ムラなく、正確に塗布する技術が求められます。また、塗布してどれだけの時間をおくのかという知識も必要です。
カラーリングの最中も、きちんと髪が染まっているのか、カラー剤で肌が荒れてしまっていないかなど、様子を見なければなりません。こまかい変化も見逃さないよう、細心の注意を払います。
ヘアカラーリストになるには?
カラーリングに関する業務のすべてを担う、カラーリングのスペシャリストであるヘアカラーリスト。ここからは、どうすればヘアカラーリストになれるのかについて見ていきましょう。
美容師免許または理容師免許が必須
カラーリストとして働くためには、国家資格である「美容師免許」または「理容師免許」が必須です。美容師または理容師になるには、厚生労働大臣または都道府県知事の指定する施設で規定の年数を学んだ後、国家試験を受け、さらに合格してから免許申請をする必要があります。
資格を取得せずにカラーリングをおこなうと、厳重な処罰を受ける可能性がありますので注意しましょう。
美容師になるには
美容師免許を取得して、美容師になるための流れを見ていきましょう。
美容師になるためには、まず、厚生労働大臣または都道府県知事の指定する養成施設で規定の期間学び、卒業することで、美容師国家試験の受験資格が与えられます。
具体的には、「昼間課程2年以上、夜間課程2年以上、通信課程3年以上」のいずれかの課程を修了する必要があります。必要な課程を修了することで、美容師国家試験の受験資格が与えられます。
「厚生労働大臣または都道府県知事の指定する養成施設」は、大学や短大、専門学校などさまざまな学校があります。美容師法では「高等学校を卒業した後」が条件になっていますが、専門学校によっては高校卒業の資格を得ることができるため、中卒で入学することができる学校もあります。まずは入学条件を確認してみてください。
理容師になるには
理容師も、国家試験に合格して理容師免許を取得する必要があります。
美容師と同じく、厚生労働大臣または都道府県知事の指定する施設で「昼間課程2年以上、夜間課程2年以上、通信課程3年以上」のいずれかの課程を修了して卒業すると、理容師国家試験の受験資格を得ることができます。
なお、平成10年3月31日以前に入学し、1年以上の実地習練を経た人は「昼間課程1年以上、夜間課程1年4カ月以上、通信課程2年以上」で受験資格が与えられていましたが、平成14年3月31日までに1年以上の実地習練が終了していないと、受験資格を得ることができません。
現在では、受験資格に実地修練は関係ありませんので注意しましょう。
美容サロンや理容室へ就職し経験を積む
晴れて美容師・理容師試験に合格したら、いよいよヘアカラーリストへの道を歩みはじめます。まずは美容室や理容室など、資格を活かせる職場に就職し、経験を積みましょう。
カラーリストは、主に理容室よりも美容室で活躍することが多いですが、美容室で必ずしもカラーリストの求人があるわけではありません。まずは就職してアシスタントから始め、理美容師としての経験を積んで技術を磨き、ヘアカラーリストを目指しましょう。
ヘアカラーリストに役立つ資格は?
ヘアカラーリストに必須の資格は美容師・理容師免許ですが、それ以外にもさまざまな民間資格が存在します。これらの資格は必須ではありませんが、資格を取得することでヘアカラーに関する知識や技術を持っている証明になるため、資格の取得をおすすめします。
ヘアカラーリストとして働くのに役立つ民間資格を、いくつかご紹介します。
ヘアカラリスト検定
ヘアカラリスト検定は、NPO法人日本ヘアカラー協会が認定する検定です。ヘアカラーの技術向上を目的として基準を共通言語化しました。
合格にはヘアカラーの技術と専門知識が求められ、髪の素材を見極める力や薬剤コントロール力が必要となります。美容専門学校のなかには、ヘアカラリスト検定の認定校もありますので、在学中から合格を目指すことができます。
パーソナルカラリスト検定
パーソナルカラリスト検定は一般社団法人日本カラリスト協会が認定する検定で、「人と色」に着目し、色彩知識と配色調和を身につけることを目的とした資格試験です。
一人ひとり似合う色(パーソナルカラー)は違うため、ヘアカラーを提案する際に役立てることができます。
ヘアカラーリストはヘアカラーの専門家!
ヘアカラーリストは、美容室でカラーを希望するお客様にカラーの提案から調剤、施術までを一手に引き受ける、ヘアカラーの専門家です。ヘアカラーリストを目指すには、まず、美容師または理容師免許を取得する必要があります。
海外の美容室では重要なポジションですが、日本国内ではまだまだ認知度が低いのが現状です。しかし、カラーリングの需要は若い人から年配の方まで男女問わず幅広いため、ますますヘアカラー市場は拡大していくでしょう。
そのため、お客様の要望を踏まえて最適なカラーを提案し染め上げるヘアカラーリストは、カラーリングの専門家として、今後は日本でも重要な位置を締めると考えられます。
引用元
公益財団法人 理容師美容師試験研修センター:受験資格
厚生労働省:理容師法概要
厚生労働省:美容師法概要