美容業界は「下積み」がツライ……!あなたのモチベーションを保つには?
おシゴトをしていると避けられないさまざまな試練。新人には新人の、トップにはトップの困難があるかと思います。そこで「迷える美容業界相談室」と題して、いろんな人たちの悩みに「フルーツルーツ」の榎戸さんがお答えします。
業界を引っ張るリーダーの言葉は重くて鋭い! さっそく第1回目のスタートです!!
お悩み
下積みが思った以上に大変……。忙しくて、叱られて、覚えなくてはいけないことがたくさん……。モチベーションが下がります。どうしたら上げられるでしょうか?(2年目・エステティックサロン勤務)
「僕自身、スタッフを雇用していますが、感じるのはマイナス思考の子が多いということです。叱られると、自分自身が否定されている気になって、『自分はダメだ、辞めたい』という気持ちになってしまうんですよね。大事なのは叱られたことに対しての考え方、捉え方だと思っています。プラスに考えられる子は叱られても、成長するためのきっかけを与えてもらったと捉えるんですね。なので、上司に感謝できますし、改善して次のステップへと進んでいくわけなんです。でも、マイナス思考の子は『否定された、もうイヤだ、辞める』となってしまう。
ただ、こればかりは性格的なものなので、プラス思考になりなさいと言ったところで、すぐになれるものではないんです。しかし、心がけひとつで変わっていくことはできます。その方法がポジティブな言葉を使うこと。ネガティブな表現をやめて、ポジティブな言葉だけを使っていると、マイナス思考だった自分の脳がだんだんプラスになっていきます。すると、まわりに与える影響もプラスになっていく。僕のところのスタッフもそうだったので、言葉使いに気をつけるといいのかなと思います。まずはサロンの中ではネガティブな言葉を禁止することです!
新人の頃はお客様と接する機会が少ないので、自分の存在価値に不安に感じてしまうケースも多いんですよね。売り上げに貢献できていないし、何をやっていいのか分からないというところですごく居心地が悪い。でも、サロンの中で自分が一番になるものを見つけた瞬間に環境が変わるんです。
例えば、技術じゃなくても、一番笑顔がいいとか、一番元気だとか、一番字がきれいだとか、そういうことだけでもまわりから必要とされるんですよね。うちのスタッフでひとつあった例ですが、新人でまだお客様に施術できなくて、受付とお茶出しだけをやっていたときなんですけども。あるお客様がいらっしゃったときに、そのスタッフが受付をしてお茶出しをし、最後にお見送りをしたんですね。そうしたら後日、お客様からお礼状が届いたんです。普通であれば技術に入った人に対して手紙が来ると思うんですけど、そうではなくて、その新人に来たんですよ。あなたの笑顔や気づかいが素晴らしかったので、次回はあなたにやってもらいたいという内容でした。エステは当然ながら施術がメインなのですが、笑顔とか気づかいだけでも、お客様に対して価値を与えられるし、認められるんだなと実感しました。
サロンの中で誰にも負けない一番をつくることができると、まわりからもお客様からも認められる。その瞬間に存在価値ができて自信がつき、やりがいを感じられるようになるんじゃないかなと思います。そうなると、たとえ店長に怒られたり、いろんなものを覚えられなくて落ち込んでも、心の余裕というか、立ち直れると思うんですよね。うまくいかなくて悩んでいる新人さんは、何でもいいので絶対的なものを見つけて、自信に変えていってほしいと思いますね」
『モチベーション』って
『モチベーション』と聞くと、気持ちの変化のことと思う方も多くいるかと思いますが、実際はちょっと違って、「人が行動を起こすときの原因。動機を意味する言葉」を意味します。また、組織の中で使う場合のモチベーションは、「仕事への意欲を指し、自身が意欲を持つことや自身から引きだすことの動機づけ」とされています。
仕事のモチベーションアップ方法で、「仲間とお酒を飲むこと」という方がいるかと思いますが、間違いというわけではないですが、行動を起こす原因や動機を意味する言葉としては、ちょっと意味合いが違ってしまうかもしれないので、注意しましょう。
『モチベーション』という意味合いをしっかりと理解して、モチベーションアップを図ることをおおすめします。
Profile
榎戸淳一さん
(株)ES-ROOTS代表取締役社長
船井総合研究所時代に社内にエステ業界のコンサルティングを立ち上げ、実績を残す。退社後、(株)ES-ROOTSを設立し、オーガニックコスメエステティックサロン「フルーツルーツ」をオープン。2年後に第2回エステティックグランンプリ、モデルサロン部門、フェイシャル技術部門で全国1位受賞。著書に「サロンはスタッフ育成で99%決まる」「愛されるエステティシャンの秘密!」などがあり、業界を牽引する役割を果たしている。