似合わせカットとは?お客様への提案ポイントと作り方を解説
美容師の仕事は、お客様の希望に添った髪型を提供することだけではありません。ご要望はもちろん、顔や頭の形や表情、職種などを総合的に考慮しながら、お客様に合う髪型を提供することも大切な仕事です。
そこでおすすめしたい施術が「似合わせカット」です。今回は、似合わせカットの概要をはじめ、提案ポイントや作り方について解説します。
似合わせカットとは
お客様のなかには、理想的な髪型を調べてから来院される場合があります。しかし、お客様の特徴によっては、残念ながら希望の髪型が似合うとは限りません。
そんなときに提案したいのが似合わせカットです。似合わせカットとは、お客様の顔や頭の形、表情や髪質などをすべて考慮したうえで似合う髪型に施術すること。
好きな髪型にしてもイマイチだったという経験のあるお客様や、自分に似合う髪型がわからないと悩まれるお客様に、美容師ならではの目線からお客様の理想に添いつつ、より似合う髪型を提供するのが似合わせカットなのです。
一般的なカットとの違い
似合わせカットと一般的なカットには違いがあります。一般的なカットは、学校の校則や職場の規則に合わせつつお客様の理想にも応えたカットが中心。
一方、似合わせカットは、お客様の希望をヒアリングし理想を理解したうえで、顔や頭の形、髪質やボリューム感、表情などを総合的に判断して似合う髪型を提案(施術)します。
似合わせカットの提案によって、理想の髪型をこまかくオーダーしたのに合わなかったという失敗を防げるほか、自分に似合う髪型がわかるなど、さまざまなメリットがあります。
似合わせカットを提案するときはバランスを考える
お客様の理想に近くさらに似合う髪型へ導くためには、バランスについて理解し意識しながら施術することが大切です。なお、ここでいうバランスとは、顔の縦と横の長さのこと。
お客様へ似合わせカットを提供するときは、髪にまつわる悩みや職種、ライフスタイル、髪質のほか、顔の縦と横のバランスを総合的に考慮して理想的な髪型を作り上げましょう。
似合わせカットの作り方
似合わせカットは、お客様の希望に添ったうえで、顔や髪質などを総合的に考慮して行うものです。しかしそのためには、似合わせカットの作り方について学んでおくことが大切。
ここでは、似合わせカットの作り方について4つのポイントに絞ってご紹介します。
顔、頭の形をチェック
似合わせカットを作るには、まずお客様の顔の形や縦・横のバランス、ハチ(頭の上部)の張り具合や絶壁など頭の形をチェックしましょう。顔の形についてはのちほど詳しく解説しますが、丸顔やホームベース型などさまざまな形があり、それぞれで特徴やコンプレックスが異なります。
似合わせカットのご提案では、お客様からのヒアリング内容と合わせて、顔の形やバランス、頭の形をチェックし、特徴に沿った髪型をいくつか共有しながら決めましょう。
髪質をチェック
次は髪質をチェックしましょう。髪質も顔や頭の形と同様に、お客様によってさまざまです。髪のやわらかさはもちろん、ボリュームや天然パーマ、くせ毛の有無についてもチェックしておくと、お客様に似合う髪型を具体的にイメージできます。
くせの強い髪質で悩んでいたり、パーマをあててもすぐ落ちてしまうほどやわらかい髪質だったりなど、お客様によって悩みは異なるもの。
理想と悩みのカバーを上手に取り入れた仕上がりになるよう、髪質についてもしっかりチェックした提案をしましょう。
要望を細かくヒアリング
お客様に満足いただける髪型に仕上げるためには、こまかなヒアリングも必要不可欠。美容師ならではの知識や視点を活かしながら、悩みや特徴を総合的に判断した似合わせカットを提案しましょう。
残念ながら、お客様の特徴によってはなりたい髪型がミスマッチの場合もあります。施術後の失敗を防ぐためにも、お客様の特徴に合う髪型を共有しながら提案を進めましょう。
流行を意識する
ヘアカットによって垢抜けた印象になるよう、適度な流行も取り入れましょう。似合わせカットだけに焦点を当てて施術すると、野暮ったい印象に仕上がってしまうこともあります。
お客様の希望が時代とマッチしないときは、流行についての情報やお客様の特徴を活かせる髪型についてアドバイスを共有し、そのうえで似合わせカットを提案しましょう。
顔型で見る似合わせカットのポイント
似合わせカットの提案では、お客様ひとりひとりの特徴を捉えることが大切です。ここでは、顔型で見る似合わせカットのポイントをご紹介します。
お客様の希望に添いつつ、悩みをカバーできる仕上がりになるよう、顔の形に合った提案方法をチェックしましょう。
丸顔
丸顔は、顔の縦と横が同じくらいの長さが特徴です。頬に丸みがあるので太って見えたり童顔に見えたりするなど、コンプレックスを抱えるお客様も少なくありません。
似合わせカットの提案では、ヒアリング内容をもとに、縦のラインを意識した髪型をおすすめしましょう。トップにボリュームを持たせたり前髪を流したり、頬が隠れる前髪を作ったりすることで、コンプレックスをカバーしたうえで希望に添った髪型に仕上がります。
面長
面長は、顔のバランスが縦に長いのが特徴です。大人っぽく見える一方で、髪型によってはきつい印象を与えたり面長が強調されたりする場合があります。
似合わせカットの提案では、縦のバランスを抑えられるよう、ひし形を意識した施術をおすすめしましょう。髪型で横のバランスをたもつことで、やわらかい印象を与えられます。
おでこを出すと面長の印象を強めてしまうので、シースルーバングなど流行感のある前髪を作るのもおすすめです。
ホームベース型
ホームベース型は、五角形のような形が特徴です。ハチと顔のエラが張っているために意志が強そうに見えるほか、一方で髪型によっては男性的な強さも感じさせます。
似合わせカットの提案では、縦ラインを強調し、エラの目立たない髪型をおすすめしましょう。エラの強調を抑えるようトップにボリュームを出すほか、エラに髪がふんわりとかかり、見えにくくするような髪型を提案することで、悩みを改善しながら理想的な仕上がりになります。
逆三角形
逆三角形は、ハチが幅広く顎に向かって細くなるのが特徴です。あご周りがシュッとしているので、きつい印象を与えるなどコンプレックスを抱えるお客様も少なくありません。
似合わせカットの提案では、あご周りを軸にボリュームを持たせるのがポイントです。ロングヘアのお客様であれば、顎から下にかけてパーマをあてて、やわらかな印象を作るのもおすすめ。ほかにも長めの前髪を作り、おでこの横幅を抑える髪型も効果的です。
似合わせカットはお客様のご要望や職種などをヒアリングし分析することが大切
似合わせカットは、お客様の希望や悩みに寄り添い、そのうえで特徴やバランスなどを総合的に考慮し施術するものです。
残念ながら、お客様の求める髪型が必ずしも似合うとは限りません。そんなときこそ、お客様からのヒアリングをもとに、美容師ならではの知識や視点を取り入れながら、理想の髪型に仕上げる工夫をしましょう。
似合わせカットのご提案では、希望や髪質・顔の形などの悩みはもちろん、職種やふだんのファッションについてもこまかくヒアリングすること。そうすることで、お客様に満足いただける似合わせカットに仕上がるでしょう。