歯科技工士に将来性はある?デジタル化の現状と歯科技工士を目指すメリット
歯科技工士の仕事は、割れたり欠けたり、失った歯を補う歯科技工物を作成することです。緻密な作業と微調整を繰り返してひとりひとりに合ったものを作り、患者の健康に貢献しています。
そんな歯科技工士が身を置く歯科医療業界では、デジタル化が急速に発展中。機械やAIが発展していくことで、歯科技工士にどんな影響があるのでしょうか。
この記事では、歯科技工士の将来性について詳しくお伝えします。歯科技工士が不足するとどうなるのかや、デジタル化の現状とあわせて歯科技工士を目指すメリットについても見ていきましょう。
歯科技工士には将来性あり!その理由とは
歯科技工物の製作には、CADやCAM、3Dプリンターなど、さまざまなシステムが導入され始めているのをご存知でしょうか。
機械が歯科技工物を作れるのなら、今後歯科技工士はいらなくなるのでは?と思う方もいるかもしれません。
しかし、歯科技工物を手がける歯科技工士の将来性はまだまだ見込まれます。その理由について詳しく見ていきましょう。
歯科技工士の高齢化が進んでいる
歯は口腔内の健康や見た目のよさだけでなく、全身の健康にもかかわるため、今後も歯科技工物を作れる歯科技工士が欠かせないことは変わりません。
一方で、歯科技工士の高齢化が進んでいることにより、将来的に人手不足が懸念されています。
厚生労働省がまとめた令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)によると、歯科技工士として働く32,942人のうち、65歳以上が5,566人ともっとも多く、全体の16.9%を占めています。対して25歳未満は、わずか1,529人で4.6%しかいません。
さらに、少子化によって労働人口が減っていることや、歯科技工士養成機関が減っていること、4年制大学への進学率が上がっていることなどが影響して、歯科技工士を目指す人が減少傾向にあります。
現役で働いている50~60代は、10年も経てば引退を考える時期であるため、このままでは歯科技工士の人手不足が避けられません。
次世代を担う歯科技工士が減っているからこそ、将来性が十分にあります。
引用元
厚生労働省|令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況
厚生労働省|2 就業歯科衛生士・歯科技工士及び歯科技工所
超高齢化社会によって口腔内の不調を持つ人が今後も増える
年齢とともに、口腔内のトラブルや不調は増えるものです。超高齢化社会の現代では、今後歯科医療のニーズも高まることが予想されるため、歯科技工士の需要も高まっていくことが見込まれます。
さきほどお伝えしたように、歯科技工士自体も高齢化が進んでいます。ベテラン世代が引退していくにつれ、歯科医療のニーズの高まりと相まって、新たな世代の歯科技工士がとくに重宝されるでしょう。
機械やAIでは代替できない精巧な技術が求められている
最近は適合度だけを重視した歯科技工物ではなく、アレルギーのない素材や、見た目が自然で耐久性が高いものなどが求められるようになっています。そういった需要に合う歯科技工物を作るためには高度な技術が必要です。
周りの歯の色と相違なく仕上げたり、歯科医師の治療のクセを熟知し、細部まで微調整をおこなったりできるのは、熟練された歯科技工士に限られます。
機械やAIでは代替できない精巧な技術こそが歯科技工士に求められるため、デジタル化が進んでも歯科技工士は必要不可欠です。
進化する技術を扱える人材が必要
歯科医療は日々進歩しており、今後さらに新しい技術や素材、画期的なシステムができることが予想されます。
しかし、いくら新しいものができても、それを使いこなせる人材がいなければ患者の悩みやニーズに応えられません。そのため、進化する技術を扱える歯科技工士がこれからも必要です。
新しい技術やシステムは若い世代ほど習得が早い傾向にあります。また、苦手だと感じても積極的に学ぶことが大切です。そうすることで作業効率やスキルがアップし、重宝される人材にもなれるでしょう。
歯科技工士が不足するとどうなる?
前述のとおり歯科技工士を目指す人が減っており、この先ベテランの歯科技工士が引退してしまうと、歯科技工士不足が深刻化することが予想されています。
歯科技工士が不足すると、歯科医療や患者にはどういった影響があるのでしょうか?以下で詳しく見ていきましょう。
治療を終えるまでに時間がかかる
歯科技工物の多くは歯科技工所で製作されており、宅配便などで受注・納品がなされるのが一般的です。
歯科技工士が不足すると、歯科技工物の製作にこれまで以上の時間を要する可能性があります。その結果歯科医院への納品が遅れてしまうため、治療を終えるまでに時間がかかってしまうでしょう。
機械に頼ることで治療の質が下がる
歯科技工士が足りなくなると、製作が追いつかず機械に頼らざるをえない状況になることも考えられます。そうすると、手作業には及ばない低品質のものを提供しなくてはならない恐れも。
機械で生成されたものだと、噛み合わせがズレたり、見た目が不自然になったりすることもあります。歯科技工士による仕上げができていないと、治療全体の質が下がってしまうかもしれません。
売上の減少につながる可能性も
治療に時間がかかったり、治療の質が落ちたりすると、患者の満足度に影響します。一度信頼を失うとその後来院しなくなる恐れがあり、売上の減少につながることも。
また、治療の質の低下は、再治療が必要になるケースも多いです。治療の遅延や再治療によって人件費や材料費が増え、利益が下がってしまいます。
歯科技工士として知っておきたいデジタル化の現状
デジタル化と技術の進化によって、患者の口腔内をスキャンすれば、すぐに3Dプリンターで入れ歯や被せ物が作れます。早いもので20分程度で完成し、その日のうちに患者に装着できるのです。
ただし、そういったシステムを導入するには相当な費用が掛かるので、すべての歯科医院が導入しているわけではありません。また、機械によって生成されたものは、削り方が一定で、色の自由度が低いため、患者にピッタリと合うものばかりではないです。
すでにお伝えしたように、精巧な技術が求められている時代でもあるため、歯科技工士にしか作れない高品質な歯科技工物の需要はあります。
機械で作られたそれなりのクオリティーのものと、職人によって精巧に作られたもののどちらを選ぶかは患者次第ですが、歯科技工士にできるのは、より高い知識と技術を身につけ、スキルを磨き続けることです。
歯科技工士を目指すメリット
将来性があるという点で、歯科技工士という職業は魅力的です。ほかにも歯科技工士を目指すメリットがあるので、以下で詳しく紹介します。
社会的に信頼を得られやすい
歯科技工士は、国家資格が必要な職業です。専門性が高く、確かな知識と技術がなければ取得できるものではありません。そのため、民間資格に比べて社会的に信頼を得られやすいというメリットがあります。
安定した需要がある
job tagによると、ハローワークの歯科技工士の有効求人倍率は1.24倍とされています。また、専門学校によっては10~20倍以上になるところも。就職率も高いようで、ライバルが少なく安定した需要がある点も魅力です。
引用元
job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))|歯科技工士 – 職業詳細
さまざまな場所で働ける
歯科技工士は、歯科技工所や歯科医院のほか、病院や歯科医療に関係する企業などさまざまな就職先があります。なかでも歯科技工所で働いている人が多く、歯科技工所自体も令和4年時点で全国に20,841カ所あるようです。
国家資格なので、取得していれば全国どこでも働くことができ、選択肢も多いため、より自分に合った職場を探しやすいというのも歯科技工士ならではのメリットです。
引用元
厚生労働省|2 就業歯科衛生士・歯科技工士及び歯科技工所2 就業歯科衛生士・歯科技工士及び歯科技工所
独立開業や海外での活躍を目指せる
歯科技工士は開業権があるため、技術や経営ノウハウをしっかりと身につけていれば独立開業して自分の歯科技工所を持つこともできます。
より専門的な歯科技工物を製作したり、人材を雇って育成に励んだりと、自分好みのワークスタイルで仕事ができるでしょう。
また、日本の技術は世界で高く評価されているため、技術を磨けば海外での活躍も目指せます。
一生モノの技術で長期的に働ける
しっかりとスキルを身につければ、その技術は一生モノとして長く活かすことができます。歯科技工士は国家資格でもあるため、たとえ離職しても復帰しやすいです。
また、歯科技工士は正社員以外にも、パート・アルバイト・派遣社員などの雇用形態があります。そのため、転居や結婚・出産・育児などライフステージが変わっても、その都度ライフスタイルに合った働き方ができるでしょう。
歯科技工士の求人を探すには?
歯科技工士の求人の探し方はさまざまです。たとえば、専門学校に求人情報が集まるためそこで探す方法や、ハローワークを利用する方法などもあります。
ここからは、上記以外のおすすめ方法を紹介します。
就職・転職エージェントを活用して求人紹介を受ける
就職・転職エージェントは、キャリアアドバイザーに相談しながら求人紹介を受けたり、就職・転職に関するアドバイスをもらったりできるのが特徴です。面接日の日程調整や条件交渉なども代行してもらうことができます。
キャリアアドバイザーは就職や転職事情に詳しい人なので、プロに相談しながら求人を探したいという人におすすめです。ときには非公開求人を紹介してもらえることもあります。
利用する際は、ヘルスケアや歯科医療業界に強いエージェントを探しましょう。
求人サイトを利用して自分で探す
求人サイトは、自分の希望条件に合う求人をWebやアプリから探すことができます。スマホやパソコンがあればいつでも検索・閲覧・応募ができるため、自分のペースで就職・転職活動をしたい人に向いているサービスです。
求人サイトによって異なりますが、求人情報は比較的頻繁に更新され、掲載数はエージェントよりも多い傾向にあります。
ヘルスケア業界に特化した求人サイト「リジョブ」でも、歯科技工士の求人を掲載中。求人情報のページには給与や福利厚生以外にも、企業のこだわりやPR・オーナーからのメッセージなど、応募前に知っておきたい情報が満載です。
アプリ版もリリースしており、スカウトや企業からの連絡をスマホで受け取れるうえ、通知もされるため見落す心配がありません。
歯科技工士には将来性がある!スキルを磨いて活躍しよう
歯科技工士が手がける歯科技工物は、患者ひとりひとりに合う形・色・噛み合わせを再現しています。
そのため、この先さらにデジタル化が進んでも、この精巧な技術に替わる機械はそう簡単には開発されないでしょう。たとえ新しい機械がうまれても、それを扱える歯科技工士は必要不可欠であり、将来性が十分にある職業です。
超高齢化社会の現代では、口腔トラブルを抱える患者が今後も増加する見込みで、歯科技工士の需要も高まることが予想されます。スキルを磨いてより高度な知識や技術を身につけ、次世代を担う歯科技工士として活躍してください。
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