マッサージ師(あん摩マッサージ指圧師)は独学でもなれる? 必要な資格と取得するための2つの条件
小さい頃家族に肩たたきをしてあげたり、学生時代にスポーツでチームメイトにマッサージをしてあげてたり、何かしらマッサージをしたり、されたりした記憶は誰にでもあるかもしれません。
やってもらうと非常に喜ばれるマッサージですが、実は免許がないと逮捕されてしまうことをご存知でしょうか?びっくりするかもしれませんが、マッサージには国家資格が必要で、免許を持っていないと法律違反になってしまいます。
もちろん、商売としてマッサージをしたり、悪質なマッサージでケガをさせてしまった場合に限りますが、マッサージ師になるには、あん摩マッサージ指圧師の資格を取得しなければなりません。
では、あん摩マッサージ指圧師になるためには、どのような方法で、どのくらいの時間、どのくらいの費用で取得することが出来るのかを今回は紹介していきます。
独学で勉強をして資格を受験することが可能なのか、通信講座など働きながら取得することは可能なのかにも触れて説明していきます。
【はじめに】マッサージ師(あん摩マッサージ指圧師)に必要な免許とは?
マッサージ師に必要な免許とはどういったものなのでしょうか。それは、上記でも紹介しましたが、あん摩マッサージ指圧師の資格になります。ちなみに、他にマッサージが認められている資格としては医師免許があります。
国家資格 あん摩マッサージ指圧師
あん摩マッサージ指圧師は言葉の通り、あん摩・マッサージ・指圧の知識と技術を持った人として認められおり、国家試験の実施や資格の発行は厚生労働大臣が行なっています。
あん摩
あん摩とは、中国において古くから伝わる手技療法で、日本では江戸時代から本格的に広まっていきました。特に視力を必要としない盲人の人を中心に職業として普及していきました。
戦後にアメリカのGHQによって禁止されそうになりましたが、抗議などの活動によってあん摩マッサージ師、はり師、きゅう師の法律を作ることで和解しました。現在では、国家資格として国から認められた資格として地位が確立されています。
あん摩の手法は様々あり、軽擦法、揉捏法、叩打法、圧迫法、振せん法、運動法、曲手といったように症状によって手法を使い分けて施術を行います。これらはさらに枝分かれして細かい手技があります。
マッサージ
マッサージは西洋で生まれた手技で、明治時代にフランスから日本に伝わり、医療の1つとして病院で取り入れられ、現在でもマッサージはあらゆる場所で役立っています。
朝日新聞、朝日新聞出版、講談社、小学館などの辞書から、用語を横断検索できる「コトバンク」によると
マッサージの特徴としては、求心性の手技となり、手足などの末端から心臓に向かって施術が行われる方法が取られています。基本的には、血液やリンパ液の循環を促して、新陳代謝を活発にすることで、循環器系や消化器系などの異常を改善する効果が期待されています。
あん摩や指圧と組み合わさることで、相乗効果が生まれ、より痛みの改善や健康維持につながる効果があると言われています。
指圧
あん摩の手技の1つである圧迫法が独自に発展して、指圧として普及していきました。主に手足にあるツボと呼ばれる部分を圧迫することで、対応した身体の内臓や特定の部分に対して効果が期待できると考えられています。
単にツボを押すだけでなく、押し方にも様々な種類の手技があり、健康の維持や増進が期待されています。
開業権
国家資格として知識と技術を認められたマッサージ師は、単に仕事としてマッサージが出来るだけでなく、開業権も得ることが出来るので、自分のお店を開いたりすることも出来るようになります。
資格の取得後に免許の登録申請など、必要な手続きを行えば自宅や間借りしたスペースなどで自分のお店を持つことが出来ます。マッサージ師は手技が道具であるため、機械や道具といった物は基本的に必要なく、比較的簡単に開業することが出来ます。
医業類似行為
ここで1つ疑問に思う人がいると思いますが、街中にあるもみほぐし屋さん、エステティックサロン、足つぼ店などで働いている従業員は、全員あん摩マッサージ指圧師の資格を持っているのか否かです。
お店によって変わってきますが、多くのお店の多くの従業員は、この資格を持っていません。もちろん、資格を持っている人が行っているお店もありますが、多くの場合には無資格者によるもみほぐしが行われています。
マッサージとの違い
一般人からすると、あん摩マッサージ指圧師によるマッサージと、もみほぐし屋さんのもみほぐしは、どこが違うのかと思うかもしれませんが、法律でも定められており、もみほぐしは筋肉をほぐして血行を良くするなど、マッサージ行為ではないと言われています。
正直言うと、判断の難しいグレーゾーンもありますが、あくまで医業類似行為として医業行為はしていないと言うのが、もみほぐし屋さんなどの主張になります。
資格取得に必要な2つの条件とは
マッサージ師の資格を取得するためには、どのような流れで学習や実技訓練を行えばよいのでしょうか。また、資格を取るための必要な条件や期間、費用も気になる所です。
1. 認定された専門学校で3年以上の学習
先ず最初にするべきことは、厚生労働省または文部科学省に認定を受けた学校に一定期間以上通うことになります。
認定を受けた専門学校に通うことで、資格に必要な知識と技術を身につけることが出来ます。また、資格の受験の条件として、認定校での3年以上の通学が必須条件となります。
全国の認定校
実は認定を受けた学校は、全国に約20校しかなく、国家資格に合格するよりも、専門学校に入学する方が難しいとも言われています。
様々な推薦入試や受験方法があるので、それぞれの条件に合った受験を行い無事に合格して入学することが第一関門となります。
また、約20校しかない専門学校も関東や関西に固まっていたり、ない地域もあるので、学校の場所以外にも考えるべきことが多くなるようです。
費用
大まかにはどの専門学校も同じくらいの学費になりますが、入学から卒業までは約500万円ほどかかるようです。また、自宅からの通学や、部屋を借りる場合にはそういった費用も加味して検討する必要があると思います。
はり師・きゅう師の資格
あん摩マッサージ指圧師以外にも多くの専門学校では、はり師、きゅう師の資格取得コースも設置されています。同時に取得して、将来開業する際に施術内容を増やして収入アップにも繋げていきたいと考えている人は、同時に取得を目指すと良いでしょう。
その場合には、あん摩マッサージ指圧師の約500万円に加えて、さらに100万円程度の費用がかかるようです。
2. 国家試験の受験・合格
専門学校に通い、知識と技術を習得したら、最後の関門として国家資格試験があります。試験は厚生労働省が管轄していて、試験の実施から資格の発行までを行っています。
受験資格は認定校へ3年以上の通学をした人、視覚障碍者であれば、特別支援学校で一定期間学んだ人となります。
試験は年に1回の実施となり、試験内容は解剖学やマッサージなどの専門知識を問われますが、専門学校でしっかりと学んでいれば、そこまで難しい内容ではないと言われています。
合格率は毎年同じくらいで、80%以上の合格率となっています。あまり落ちてしまう人はいないと言えますが、勉強を怠れば落ちてしまうので、当然ですがしっかりと学習しておきましょう。
独立の場合は免許登録申請を行う
無事に試験に合格すると、厚生労働大臣より証明書が発行されます。これで国に認められたマッサージ師として正式に働くことが可能となります。
また、独立して開業したいという場合には、証明書では出来ないため、免許を申請して発行してもらう必要があります。費用は約数万円程度で、免許の発行には約2か月かかるので、余裕をもって申請を行うようにしましょう。
働きながら学ぶなら夜間課程がおすすめ!
高校を卒業して、専門学校に進学する人もいますが、中には社会人として働いていた人がマッサージ師を目指すこともよくあります。
専門学校に3年間通わなければなりませんが、知識はもちろん、技術が最も大切であるマッサージ師はやはり直接学ばなければならない内容も多くあります。
なかなか働きながら通うのが難しいという場合には、一部の専門学校に夜間部が設置されています。昼間部と夜間部の2部制で専門学校の授業が行われ、働いている人でも通えるように設置している専門学校もあります。
全ての専門学校には設置されていないので、確認してから計画を立てていくようにしましょう。
独学だけでは資格取得は不可能 通信制もない
資格と言えば通信講座も人気で、多くの資格は働きながら、または在宅で学習をして試験を受けるということも出来ます。
マッサージ師も通信で学習をして、試験を受けることが可能なのか疑問に思いますが、残念ながら通信での資格取得は現在では不可能になります。
やはり、技術が問われる資格であるため、知識は得られても技術は直接講師に学ばないと得られない部分なので、通信では不可能になります。専門学校でも通信制を設置されているところはなく、国も認めていません。
そのため、社会人など働きながら資格を取得したい人は、夜間部を利用するしか現在は選択肢が無いようです。
マッサージ師を目指すなら専門学校へ通おう
マッサージ師は、長い歴史を持つ手技を、痛みを抱えている人に対して改善をしていったり、健康維持や増進に対して効果を発揮するものになります。
日本では国家資格として認められ、法律でマッサージをすることを認められており、また開業する権利も与えられています。
知識や技術を磨くことはもちろん、開業する人は特に経営者としての手腕も試されるので、しっかりと計画を立てていく必要があります。
独立を考えていない人も、はり師、きゅう師の資格を取得して、収入アップやスキルアップを目指して積極的に専門学校で学ぶようにしましょう。