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川口香世子 interview:リフレクソロジーを仕事に、そして介護の現場で生かす

リフレクソロジーはこの10年で急速に発展・認知されてきました。日本リフレクソロジスト認定機構で理事を務める川口香世子さんは、ボランティアを通じていち早く介護にリフレクソロジーを取り入れてきたお一人。業界に飛び込んで20年、「自分らしく生きること」をずっと考えてきたと言う川口さんに、仕事の原動力についてうかがいました。

秘書を辞めて、リフレクソロジー業界へ

川口 香世子さん

「今でこそリフレクソロジーは日本でも認知されてきていますが、私が目指した20年前は学べる場所がありませんでした。当時、企業で秘書の仕事をしていて、お給料はちゃんといただけるし、有給休暇もあり安定した仕事だったのですが、ふと先が見えたように感じたんです。このまま仕事を続けていてもワクワクするような人生にはならないだろうと思い、仕事を辞め、1年間アロマセラピーの講義を受けたんです。志があったわけではなく、これからは自分の好きなことをしたいというだけ(笑)。そして、アロマの講義をされていたイギリス人の先生が『次に習うならリフレクソロジーがいいんじゃない』とおっしゃって、先生を追いかけリフレクソロジーを習いにイギリスへ行ったんです。今になって考えると、アロマとリフレクソロジーを同じ系統で勉強できたことは良かったかもしれませんね。

ただ、卒業して日本で開業してみたものの、暇で暇で……。先生が遊びにいらしたとき、当時の学生たちに『みんな、ちゃんと仕事をしているの』と聞いて、『5件とか9件とか』と言ったら、『それは一日の話か? 週の話か? 何なんだ』と。『月の施術数です』と答えたら、先生が焦って『それは仕事ではない』って(笑) 」

必要な人に、必要な技術を届けたい

「イギリスでのリフレクソロジーは、ホスピスの緩和ケアなど、治療の一環として医療機関にもとり入れられています。でも日本での認知度は低く、当時、リフレクソロジーに対してそれほどの可能性を感じていたわけではなかったんです。卒業してすぐにボランティアで、重度の障害の方が通所するセンターへ行きました。勉強をしたとはいえ経験は少なく下手だったんですが、足のトリートメントをさせていただくことになったんです。

担当していた方が施術のなかで『ここではない』『そこでいい』『お腹をやってほしい』と自分の気持ちを的確に教えてくださって。二人三脚というか、私自身も勉強しながら要求に応えていくうちに、その方の体調がどんどん変化し効果がでていることに気づいたんです。

アロマやリフレクソロジーが本当に必要な人は、病気や障害がある人なのではないか。お金にならなくても、精神的な満足感を得られる仕事はここにあるのではと思うようになりました。本当に必要な人に、本当に必要なトリートメントを届けるということをしなければいけないと思ったんです。初めてリフレクソロジーを仕事として意識した瞬間かもしれませんね」

常に教えられている

川口 香世子さん

「いくら勉強しても、頭の中でしかわかっていないということは結構あります。『身体はつながっている』というようなことが、本当の意味でわかったことがありました。介護ボランティアの現場で、短気で気難しい方がいらっしゃいました。ひざ下のリンパ浮腫がひどく、少しでもラクになってほしいと、トリートメントの依頼がきたんです。リンパ液がたまると神経を圧迫してしびれや血行障害がでます。辛かったと思います。その方に『マッサージしたいんだけどな』と話しかけてトリートメントを始めると、『気持ちがいい』とつぶやいたんです。ある時、左足をお風呂で傷つけたようで、リンパ液が溢れていました。次に見たときには左足が細くなっていたんですが、傷ついていない右足もリンパ液がすっかり抜けていました。左足を施術すれば右側もほぐれるとは知っていましたが、本当に身体はつながっているんだなと驚きました。

その方はトリートメントを楽しみにしてくださっていたのですが、体調が悪化し『今日はこんなだからできないね』と話しかけると、『そうかい、やってもらいたいと思っていたけどね』と。結局、もう一回が叶わないまま亡くなってしまいました」

医療や介護で活きるリフレクソロジー

「ボランティアなどで特別養護老人ホームなどに行って感じるのは、顔色は介護士の方も気を配られるのですが、足には注目していないということ。ズボンや靴下をはいていて、足を見る機会があまりないんです。リフレクソロジーは足裏にある特定の反射ゾーンを刺激することにより、血行を促進し、身体の新陳代謝を活発にさせるもので、足の状態から身体全体を見ていきます。足の左右の温度や色が違うことから、動脈梗塞が見つかることもあるんですよ。

もうひとつ、リフレクソロジーの良さは、心に働きかける効果があること。JRECには『介護予防リフレクソロジー』という講座があるんですが、受講者は看護師さんが多いんです。顔見知りの看護師さんや介護士さんが、10分でも自分のために時間をさいて足をさすってくれるというのは、患者さんにとって、とても嬉しいことです。手のぬくもりが触れるだけでお腹の痛みが和らいだという経験をしたことがある人は多いでしょう。その方が心配だという気持ちは、ちゃんと手を通して伝わるんです。リフレクソロジーは、医療や介護の現場でもっと活用される時代になるでしょうね。施設や在宅で闘病されている方のため出向いていく形態も増えると思います」

同じ方向を向いて歩む仲間がいる

川口 香世子さん

「現在の仕事は、自分のサロン運営と、後進育成が半々くらいです。JRECでは、お客さまと一対一で長く付き合える人を育成したいと考えているので、卒業生たちの技術力向上のためのセミナーなども実施。育成において常に人間性を大切にしているのは、病気や障害、心身に違和感のある方に提供する施術だからこその厳しさがあるからです。『嫌いな上司がいたから』、『一人でできる仕事を』と、この業界に入られる方には、厳しい言い方かもしれませんが、人が苦手では無理な仕事です。心身に不調を抱えられている方は、精神的にもいっぱいいっぱいです。私たちが、その方の気持ちを察してあげたいという積極的な気持ちがなければ、仕事は嫌なことだけになってしまうかもしれません。

そういう私も、いろんな方の施術をするなかで、足りないものを知らされている毎日なんですよ。ただ、辛いかといえば、全然そうじゃない。リフレクソロジーを知って20年、今は本当にいい仕事させてもらっています。JRECには多くのインストラクターがいるのですが、『本当に必要な方に、必要な技術を届ける』という思いで、同じ方向を向いて仕事ができる人達に出会え、一人では味わえなかったやりがいを感じています」

仕事の原動力は、人の役に立ちたいという気持ち

「仕事の信念というのをあらためて考えてみると、20代の頃、人の役にどれぐらい立つことができるかで人間の価値が決まるのではないかと思った時がありました。どういう形で役に立つかは人それぞれの立場で違いますが、自分が出来る範囲で、人のために動けるかというのが大事ではないかと。とはいえ、自分が自分らしく、自分でいいと思えるために何をしたらいいのかを考えながら、普通に大学を卒業し、秘書になり……。自分はこれでいいのかと悩んだ苦しい時間がありました。この仕事も、なんとなく好きだからという気持ちだけで取り組んでいたら続けられていなかったかもしれませんね。人と深い部分で関わらなければならない現場で、時には傷つきながら、真剣に取り組まなければならないという状況があったからこそ、この仕事に誇りを持てるのだと思います。

真剣にやっていれば、必ず変化が起きます。お客様が来てくださって、トリートメントをするうちに小さな変化が生まれて、何もできることがないと無力に思えた自分が、人の役立てたと思えるいい瞬間に出会える。未来を変えるのは、自分次第なんだと思います」

Profile

川口 香世子さん

川口 香世子(かわぐち かよこ)さん

英国ICM登録者≪Institute for Complementary Medicine=補足医療従事者≫(アロマセラピー部門、リフレクソロジー部門)
ITEC認定のホリスティックマッサージセラピスト
アロマセラピスト
リフレクソロジスト
管理栄養士
東京都職業訓練指導員

大学卒業後、外資系企業に勤務の後、短大講師を経て、アロマセラピーに出会う。現在は代表を務めるサロンで施術を行う傍ら、全国各地で講演活動を数多く行う。

著書に『成功するリフレクソロジスト』『実践!セルフ・リフレクソロジー&アロマセラピー』『アロマセラピーの現場より』が、共訳に『プロフェッショナルのためのアロマセラピー』等がある。

Company

JREC日本リフレクソロジスト認定機構

JREC日本リフレクソロジスト認定機構

JREC(日本リフレクソロジスト認定機構)の目的は、リフレクソロジートリートメントに加え、身体の仕組みや栄養素の働きについて正しい知識を持ち、健康的な生活を維持するための的確なアドバイスができるプロフェッショナルを輩出すること。JRECのリフレクソロジーは、美容・健康はもちろんのこと、医療・介護・福祉へと広がりをみせ、心のつながりにも大きな効果を発揮している。
JREC日本リフレクソロジスト認定機構
東京都豊島区南池袋1-25-9 今井ビル5F
https://www.jrec-jp.com/

ケーケー(川口 香世子)アロマ トリートメント オフィス
東京都豊島区南池袋1-25-9 今井ビル5F
https://www.jrec-jp.com/salon/03/007.html

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