ネイリストが知っておくべき爪やすりに関する情報いろいろ
ネイルアートの施術をする際に重要な行程が爪やすりを使用して行う爪みがきです。ひと口に爪磨きといっても、爪磨きは爪の形を綺麗に整えるだけでなく、爪のつやを出すためにも行われます。自爪の形を整えてネイル施術がしやすくなるための下ごしらえとしての爪やすり、スカルプチュアなどの人工爪を磨くための爪やすりなど、ネイル施術の行程によって爪やすりもさまざまな種類があります。
ここでは、別名ファイルとも呼ばれている、ネイルアートの際に使用する爪やすりのいろいろな情報を紹介します。
ただ削るだけじゃだめ!削り過ぎを見極めるポイント!
ネイル専用の爪やすりを使った爪磨きの作業はただ形をきれいに整えるだけではなく、爪の表面を爪やすりで磨くことによってつやが出てきれいにすることができます。そして表面への爪磨きのメリットはつや出しだけではありません。ネイルに色を塗る作業をするポリッシュの際、爪の表面が爪やすりで磨かれて滑らかになっていると、ポリッシュをきれいに塗ることができます。爪磨きによって表面の凸凹がなくなったため、ポリッシュを塗るブラシに引っかかりがなくスムーズに塗ることができるのです。そのため爪磨きはネイルの下ごしらえのために重要な行程といえるでしょう。
しかし、爪磨きは大事な行程とはいえやり過ぎてはいけません。爪の表面磨きは、目の粗い爪やすりで大雑把に磨き、凸凹をなくしそのあとに表面を磨いてつやを出すという作業を5回に分けて行います。計5回も爪を磨いているわけですから、当然爪は磨かれるたびに薄くなっていきます。あまり夢中になって磨き続けると爪が薄く弱くなってしまうので、磨きながらやり過ぎかどうかを見極めなくてはいけません。
爪磨きの見極め方は、ネイルベッドを見ることです。ネイルベッドとは爪のピンク色の部分のことです。磨き過ぎて爪が薄くなるとだんだんと爪の血色がはっきりと見えるようになりますが、それは爪が薄くなって毛細血管が見えやすくなっている証拠です。
ここまではっきりと血色が良くなると、それは磨き過ぎの合図です。 爪の血色が良いと健康的に見えますが、実は磨き過ぎて薄くなっていることなので、ネイリストとしては、爪の血色が良く見えるのかどうか、その境目が爪磨き作業の見極め方であるとお客様に教えてあげましょう。
全部で4種類もある!ネイルで使用する爪やすり
日常生活で爪切りを行うときには、爪切りの裏についている爪やすり、または家庭用の爪やすりを使用しますが、ネイルで使用する爪やすりは独自の道具を使用します。その種類は全部で4種類。「エメリーボード」「アクリルファイル」「ソフトファイル」「シャイナー」と呼ばれている4つの爪やすりを使用します。
エメリーボードは自爪を削って長さを調節するためのやすりです。削る際に負担がかからないように薄い板でできているのが特徴です。
アクリルファイルは、人工爪の長さや表面を削るため、または人工爪を外す(オフする)際に表面を削るためのやすりです。自爪より固い人工爪に対応するため厚い頑丈な板でできています。
ソフトファイルは、自爪や人工爪の削った箇所を削って整える作業のためのやすりです。
シャイナーは、人工爪の最後の仕上げとして表面につやを出すために磨く行程に使用します。
これら4種類とも、さらに目の粗さが異なるタイプが何種類かあります。ネイルの爪やすりの目の粗さはグリッドという単位で表しますが、下は80グリッド、上は220以上のグリッドの爪やすりがあります。数字が大きいほど目の粗さが細くなり数字が小さいほど目の粗さが荒くなります。
自爪が厚く頑丈な人には、通常より爪を削って整えるのに手間がかかるため目の粗い爪やすりを、爪が薄く弱い人は目の粗さが細いやすりを使用して、お客様の爪のコンディションに配慮してグリッドの違うやすりを使い分けなくてはいけません。
うっかりして爪を削り過ぎてしまった!そんな時ネイルでごまかせる?
セルフネイルをご自宅でやろうとしていた方が、最初の段階の自爪磨きの際にうっかり削り過ぎてしまい、ネイルサロンに「削り過ぎて爪が薄くなった爪をネイル施術でごまかしてください」と相談を持ちかけてきたとき、ネイリストはどのようにお客様対応したらいいのでしょうか。商売である以上、お客様にネイル施術をしたいところですが、しかし薄く弱くなった爪にネイル施術をすることは健全とは言い難いことです。
ネイルをすることで削り過ぎた爪の見た目だけをきれいにすることは可能です。しかし、薄くなってコンディションの悪くなった爪にネイル施術をほどこすことは爪に負担を与える行為です。まずはお客様の爪のコンディションをもとに戻すことを第一に考えてアドバイスしましょう。
コンディションの悪くなった爪のケア方法は、キューティクルオイルを塗布することです。キューティクルオイルは保温作用があるので爪のケアに効果を発揮します。また、ネイル施術の最初の行程であるベースコートを薄くなった爪に塗ることも効果的です。
ベースコートは保護剤の働きがあり爪の表面をなめらかにする作用があるので、痛んだ爪に効果があります。そして爪を生成する栄養素であるたんぱく質や各ビタミン群を摂取するアドバイスをしてあげましょう。爪が薄くなったのをごまかすためにネイル施術をするのではなく、お客様の爪の健康を第一に考えることがネイリストには大切なことです。
お客様が知りたい爪やすりの知識
ネイルサロンできれいにネイル施術をしてもらったものの、ネイルケアのために爪やすりでネイルを削って形を整えたいということで、自宅でのネイルケアを考えているお客様も少なくないでしょう。しかし先に述べたように、ネイルに使用する爪やすりには家庭用と違い何種類もあります。ネイルを施す際に爪やすりを使い分けて、さらに自爪が厚いか薄いかによって、爪やすりの目の粗さも変わってきます。
安全なのはネイルサロンに通う際、ネイリストのアドバイスを受けて、そのアドバイス通りにネイルケアを行うことですから、この点を中心にお客様に説明することが大切です。お客様の中には、100円ショップなどで販売されているような安価なネイル用の爪やすりを使用して、自分で考えた自己流の爪やすりケアをする人もいます。しかしこれは、せっかくきれいにネイル施術された爪を変形させたり傷めたりする原因にもなりえます。
お客様に対して理解しやすいようなアドバイスをする姿勢が欠かせません。自宅で爪やすりで爪を削る際は、爪やすりの削り方も力任せでは行わずに、できるだけ力を抜いて同じ方向にやすりをかけるのがポイントであることも併せて伝えるといいでしょう。
種類を間違えないように!爪やすり使用時の注意点
爪やすりで爪を削る際の注意点は、まず爪やすりの種類を間違えないことです。ネイル施術の際にそれぞれの行程において、4回も爪やすりは登場しますが、爪やすりの作業はどの行程もきれいなネイルをつくるうえで大事な作業です。4種類ある爪やすりを取り間違えて、最初の行程で最後の行程に使う爪やすりを使ってしまわないように気をつけましょう。
例えば最初の行程で本来はエメリーボードを使用しなければいけないのに、間違えて最後に使用するシャイナーを使用してしまうときれいな仕上がりは期待できませんので、十分に注意する必要性があります。爪やすりを使う順を間違ってしまうと、それだけでネイル施術が台無しになってしまうおそれがあります。爪やすりはそれぞれ形状が違うので、形を覚えて、どの爪やすりがどんな工程に使用するのか把握することが大切です。
そして爪やすりの目の粗さを使い分けるために覚えておくことも重要なことです。お客様の爪の状態によって目が粗い、あるいは目が細かい爪やすりを使い分けなくてはいけないので、この爪やすりはこのグリッド数としっかりと覚えることが大切です。
さらに、使い方にも注意です。爪をきれいな形に整えるために削る際に張り切って力を入れすぎないようにしましょう。力を入れずに、そして左右に振る削り方ではなく右から左と一方方向へ削るようにしましょう。この削り方はネイル業界だけでなく医療、看護や介護業界でも現場でも採用もされているやり方です。お客様には優しい爪の接し方をすることがネイリストには必要なことです。