美容師に起こりがちな手荒れとは? 日常でできるケア方法・予防方法を紹介
仕事中にシャンプーやカラーリングなどでたくさんの薬剤を扱うため、美容師の手は荒れやすくなっています。
しかし、なぜ美容師の手は荒れやすくなっているのでしょうか。今回は、美容師の手を手荒れから守る方法を紹介します。
美容師が悩みがちな手荒れの原因8選
美容師の手が荒れてしまう理由には、シャンプーなどの薬品によるもの以外にもさまざまなことが考えられます。
まずはなぜ美容師の手が荒れてしまうのか、その原因をくわしく確認しておきましょう。美容師の手が荒れてしまう理由は、以下のような原因があります。
1. 繰り返すシャンプーで皮脂が洗い流されてしまう
美容師の仕事として、一番おこなう頻度が高いのがシャンプーです。シャンプーは新人のうちからはじめる業務のひとつであり、美容師であればシャンプーをやらない人はおらず、多い日では1日に10人以上の髪の毛をシャンプーするという美容師もいます。
シャンプーは手に必要な皮脂や水分までも洗い流してしまうため、シャンプーを業務ですればするほど手が荒れてしまうということです。
2. パーマやカラーの薬剤・成分で肌が薬品負けを起こしてしまう
パーマやカラーなど薬品を扱うことが多い美容師ですが、これらの薬品も手荒れを誘発してしまう可能性があります。最近では、薬剤が手に付着するのを予防するためにゴム手袋などを装着する方も増えてきているようです。
手袋をしていれば完璧というわけではなく、手袋からも薬剤が染みだすことがあります。さらに手袋を外すときに無意識のうちに薬剤に触れてしまい、その手で別の場所を触ってしまうことで手以外の場所に薬剤が付着し、手荒れを引き起こしてしまうことがあるようです。
3. ドライヤーで皮膚が乾燥してしまう
シャンプーと同じく美容師の仕事で必須な業務がドライヤーです。ドライヤーも、手荒れを引き起こす理由のひとつとなります。
手がドライヤーの温風に当たると手が乾燥してしまいますが、その乾燥した手に薬剤が付着したり、シャンプーをしたりといった業務をすることで手が荒れていってしまうからです。
シャンプーとドライヤーを繰り返すことで手が荒れやすい環境となり、どんどん手荒れが悪化してしまう可能性があります。
4. 薬剤やシャンプーなどの洗い残しで成分が肌に残っている
シャンプーやカラーリングの薬剤類は手荒れの原因になりますが、しっかりと水で洗い流すことである程度の手荒れリスクを減らせるでしょう。薬剤やシャンプーがそのまま手に付着した状態で次の業務に入ってしまうことで、手荒れを引き起こしてしまいます。
とくに美容師は自分の手をゆっくり洗い流す暇もなく、お客様のご案内をするので手をタオルなどでさっと拭いて終わりにしてしまう方もいるかもしれません。手を拭くことによって水分は除去できますが、手に付着したシャンプーや薬剤までは除去できません。このことから成分が肌に残ってしまうため、手が荒れやすくなるようです。
5. 手肌が濡れたままで次の作業に取り掛かってしまう
タオルで手を拭いて次の作業に取り掛かる方もいるかもしれませんが、さらに余裕がなかったり、忙しかったりすると、手を拭く暇もなく次の仕事に取り掛かる方もいます。
手に水分が付着したままだと、その水分が蒸発するときに一緒に皮膚の水分も蒸発してしまいかねません。そのため、さらに手が乾燥しやすい状態となってしまいます。
6. 手肌を保護しづらいため|包帯・絆創膏が使いにくい
何度も手を洗ったり、薬剤を使用したりすることに加えて、お客様に直接触れる職業であることから自分の手肌を保護しづらい点も手荒れを引き起こす原因として考えられます。
包帯や絆創膏など手を保護するグッズを使ってもすぐにはがれてしまう、お客様に触れたときにお客様の肌を傷つけるかもしれないという理由で、手肌の保護を使わず、手荒れがますます進んでしまうこともあるようです。
7. アレルギーなど体質による反応
同僚たちと同じくらいの回数シャンプーやカラーリングをしているのに自分の手だけ荒れているという場合には、アレルギーなど自身の体質が関係しているかもしれません。
たとえばカラーリングの際に使用するゴム手袋です。ゴム手袋には、ゴムの樹液にアンモニアなどを加えて保存できるように加工した、天然ゴムラテックスと呼ばれる液が含まれています。この天然ラテックスが手肌に接触する機会が増えたことで、アレルギーを強めているかもしれません。
毎日ていねいにケアしていても、なかなか改善しないといったときは、アレルギー反応の可能性について調べてみることをおすすめします。
引用元
労働者健康福祉機構 勤労者物理的因子疾患研究センター|理・美容師の職業性接触皮膚炎
J-Stage|天然ゴムラテックス
8. ストレス
美容師という仕事柄、水や薬剤に触れる機会が多いため、改善がみえてもすぐに再発といった日々が続く現状にストレスを感じているのかもしれません。
接客業である以上、お客様にも自分の手荒れがみえるので、どのように思っているのか不安を抱える人も少なくないでしょう。
抱えるストレスが強まると、手を掻いてしまう回数が増えて悪化させる可能性もあります。治りが遅いなど手荒れで気になる部分があるときは、医療機関を訪ね、医師に診てもらうことも必要かもしれません。
美容師に多い悩みについてはこちらの記事で詳しくまとめています。興味のある人はぜひチェックしてみてください。
関連記事
美容師のよくある悩みと対処法|転職におすすめの職業も紹介
手荒れを少しでも予防しよう! 日常でできるケアと対策を紹介
美容師という仕事上、手が荒れてしまうことは仕方がありませんが、あきらめずに少しでも手荒れを予防しましょう。ここからは、日常でできる手荒れのケアとその対策方法について紹介します。
薬剤を扱うときには忘れずに手袋を着用する
薬剤を扱うときには、忘れずに手袋を装着しましょう。手袋を装着することで、直接パーマ剤などの薬品に触れることを回避でき、手荒れになる可能性が格段に低くなります。手袋をはずすときには、手袋に付着した薬剤に触れないように外すことも意識することが大切です。
さらに手荒れが気になる方は、シャンプーのときにも手袋をしておくのがおすすめ。手袋をしているとシャンプーがしにくいという方もいるので、手荒れが改善するまでの間だけと期間を決めておくとよいでしょう。
手肌についた薬剤やシャンプーなどはしっかり流しきる
手肌についた薬剤やシャンプーは、しっかりと洗い流しましょう。薬剤やシャンプーが少しでも付着していると、手荒れが誘発され、悪化する可能性があります。このとき、35〜38度ほどのぬるま湯を使うことで、薬剤やシャンプーを洗い流すことが可能です。
熱すぎるお湯だと、手肌に必要な皮脂を洗い流し、乾燥を招きます。また、水の使用も、薬剤などをきちんと洗い流すことができないので、おすすめできません。
忙しいときはタオルでごしごしと拭く人も多いでしょう。この方法も、実は手荒れを悪化させる原因に。
ぬるま湯で洗い流した後は、かんたんで構わないので、ハンドクリームを塗って保湿を保つことを心がけてみてください。
ハンドクリームをこまめに塗る
ハンドクリームを常備しておき、こまめに塗るのも予防につながるでしょう。シャンプーをひんぱんにする場合、塗ってもすぐに洗い流されてしまうかもしれません。
しかし、シャンプーをするまでのちょっとした時間でもハンドクリームで肌を保護することで手荒れの悪化を防げます。シャンプーの後にも塗っておけば、ドライヤーの温風から手を守る効果も。
最近では、高保湿タイプやべたつかないタイプなどさまざまなタイプが売っています。
たとえば、以下のような成分を配合したハンドクリームだと、手肌に必要な水分を補い、保湿効果に期待できるそうです。
・セラミド
・尿素
・乳酸
・ヒアルロン酸
・グリセリン
さらに、乾燥などから肌を保護したいときは、以下の成分を含んだハンドクリームがおすすめです。
・グリセリン
・ラノリン
・長鎖脂肪酸(または極長鎖脂肪酸)
すでに手荒れが進行し、あかぎれやヒビ割れがみられるときは、グリチルリチン酸ジカリウムといった抗炎症作用のある成分を含んだものを試してみましょう。
引用元
J-stage|セラミドに着目した敏感肌のスキンケア
J-stage|保湿化粧品とその作用
J-stage|表皮に含まれる脂質のバリア形成における役割
眠るときには手袋をプラスしてみよう
業務中だけでなく、眠るときもハンドクリームで手の保湿をしておくのがおすすめです。眠るときにはハンドクリームにプラスして手袋の装着も試してみましょう。
たとえば絹や綿製の手袋だと、就寝時の乾燥から肌を保護する効果に期待できます。ポリエステルを使った手袋は汗を吸収しにくく、静電気を発生しやすいといった特徴があり、人によってはかゆみや手荒れを悪化させる原因になるので、使用は控えた方がよいでしょう。
日中は仕事があるためなかなか手袋を使いにくいかもしれません。手荒れの進行や予防を考えるときは、ぜひ眠るときに着用することを心がけてみてください。
ハンドクリームを塗るときは肘までカバー
ハンドクリームを塗るときは、手のひらと手の甲だけ塗って終わりにしてしまう方もいるでしょう。ハンドクリームは手首や肘にまでしっかりと塗っておくことで、予防にもつながります。
肘や手首は薬品がついていないと思っているかもしれませんが、実はシャンプーが飛んできていたり薬品が付着していたりして、気がついたら荒れてしまっている部分です。ハンドクリームは肘までたっぷりと塗って保湿してみてください。
お湯の温度を低めにする
お湯は、肌を守るために必要な皮脂まで流してしまう可能性があることが指摘されており、乾燥を誘発してしまう可能性があります。美容師はお客様の心地よい温度でシャンプーをするため、水は使用できないことが多いです。
お客様が不快にならない程度でお湯の温度を低めにするだけでも、手荒れの予防につながります。もしも、お客様に提供するお湯の温度が調整できない場合には自分が手を洗うときや使用した物を洗うとき、自宅で手を洗うときなどにはお湯の温度を低めに設定して皮脂を洗い流さないようにしましょう。
掻かないように注意する
手が荒れてくると、乾燥してかゆみが出てしまうこともあります。かゆくてつい掻いてしまうかもしれませんが、掻いてしまうとどんどん手荒れが悪化してしまう可能性も。
かゆみがでても、なるべく我慢するようにしましょう。もしもつらいときには、かゆいところを冷やすだけでもラクになります。眠っているときに無意識で掻いてしまわないように、手袋を活用するのもおすすめです。
薬剤や道具を変える
美容室で使用する薬剤や、ゴム手袋といった道具を、可能であれば変えてみるのも方法のひとつ。手荒れの進行を防ぐなら、低刺激タイプのシャンプーや染料にしたり、ゴム以外の手袋にしたりしてみましょう。
洗浄力や脱脂力の強いシャンプーだと、毎日触れる美容師に限らず、お客様の頭皮にもダメージになりやすいです。手荒れに悩むことを上司や店長に相談し、買い替えることは可能か聞いてみるとよいでしょう。
ヒビ割れはハイドロコロイド素材の絆創膏で保護する
手荒れが進行すると、ヒビ割れが起きることも少なくありません。そのようなときは、ハイドロコロイド素材の絆創膏を使うのがおすすめです。
ハイドロコロイドは、傷口からにじみ出る体液を吸収・保持する役割があり、回復に適したうるおいのある環境に整える効果があるといわれています。使用するときはしっかりと肌に密着するように貼ることで、少しの水仕事であれば可能です。
薬を塗る時間がないほど忙しいのにヒビ割れが気になるといったときは、ぜひ試してみてくださいね。
すでにヒビ割れについて医師に相談している人であれば、ハイドロコロイド素材の絆創膏を使用してもいいか聞いてから使うようにしましょう。
引用元
独立行政法人 労働者健康福祉機構:第5章ケース別手あれ対策アドバイス
つばさ薬局|キズの治療
美容師の休職を検討する
手荒れの症状がひどく業務にまで支障をきたしているといったときは、休職や転職も検討しましょう。
手荒れの原因は薬剤や道具だけにかぎらず、ストレスで進行・悪化している可能性も少なくありません。
ストレスについて思いあたる節があるのであれば休職し、体調を整えることを優先しましょう。
美容師の大変なことについてまとめた記事もあるので、この機会にあわせてご覧ください。
関連記事
美容師の大変なことはなに?やりがいは?気になる本音を紹介!
【注意】症状が気になるときは病院を受診しよう!
手荒れの症状が気になっていたり、日に日に悪化していたりする場合はもちろんですが、仕事にも支障が出てきてしまっている場合には、自己判断をせずに必ず医療機関を受診するようにしましょう。
自分に合う職場を探すならリジョブがおすすめ!
手荒れの原因の多くは、日々の業務で接することの多い薬剤や道具などです。しかし手荒れが続くことにあわせて、接客業や業務におけるストレスによって進行や悪化を招いている可能性も考えられます。
手荒れの原因が薬剤やストレスで、自分で環境や使用するものを変えることがむずかしいときは、自分にあった職場を探して転職するのも方法のひとつです。
そんなときは美容業界に特化した求人サイト、リジョブを使ってみてください。リジョブは詳細な検索条件が用意されているので、理想的な職場を探しやすいといった特徴があります。
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手荒れの進行・悪化を防ぎ、自分の体質に合う美容室で働きたい人は、この機会にリジョブを試してみてください。
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できることからはじめて手荒れをケアしよう!
シャンプーやドライヤー、パーマやカラーなどの薬剤によって手が乾燥して荒れやすくなってしまう美容師。対策といっても、仕事上むずかしいこともあるかもしれません。
できることをこまめにおこなうだけでも、手荒れのケア改善につなげられる可能性があります。今回紹介した予防法を試していただき、それでも改善しない、悪化したという場合には医療機関に相談しましょう。
なお、あまりに手荒れがひどく続くときは、医療機関による適切な処方を受けることをおすすめします。さらに、薬剤や使用する手袋の変更が立場上むずかしいといったときは、自分に合った職場をみつけて転職する方法も視野に入れましょう。その際はぜひリジョブを活用して、自分にぴったりの職場をみつけてください。
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