セラピストの専門用語事典や行
セラピストとして働くならば、しっかりと身に付けておきたい業界用語。今回はセラピスト専門用語の「や」行をお送りします。
ヤロウ
ヤロウは、アロマオイルの原料として使われるキク科の植物です。アメリカ、フランス、ハンガリーを主な産地とします。スコットランドでは占いの道具やお守りとしてヤロウが使われています。ヤロウの精油は花、葉から抽出され、出す香りは甘さのあるフローラル系です。 アロマセラピーにおいては、生理不順や更年期障害といった婦人科系の不調、静脈瘤などの循環器系の不調に効果が期待されます。また、心理面の作用に関しては、無気力な時にヤロウのアロマを用いるとポジティブな気分なれるという効果があるとされています。ただし、収れん作用があるため、妊娠中にヤロウの精油を使うのは早産を招くと可能性があるので使用は控えましょう。そして、ヤロウの精油には皮脂の分泌を抑え毛髪の成長を促進する働きがあることから、ヘアトニックに用いられる場合があります。
ユーカリ・グロブルス
ユーカリ・グロブルスは、アロマオイルの原料となるフトモモ科の植物です。主にオーストラリアやスペインを産地とします。ユーカリの種類は500種以上におよびますが、ユーカリ・グロブルスは最も一般的なユーカリとされていて、アロマセラピーに用いられる頻度も高いです。 ユーカリ・グロブルスの精油は葉から抽出され、清涼感があり刺激的である一方ほんのり甘さのある香りを出します。また、痰を排出しやすくする作用や抗炎症作用などがあるため、主に風邪の症状緩和のために精油が用いられます。さらに、抗菌作用や鎮痛作用も持ち合わせているため、切り傷や火傷といった外傷にも効果があるのです。実際に、オーストラリアの先住民であるアボリジニはユーカリ・グロブルスを万能薬として扱っており、けがをしたときはユーカリ・グロブルスの葉を患部に巻いていたといいます。その上、清涼感のある香りから、気持ちを落ち着かせる、集中を高めるといった効果も期待されます。
ユーカリ・シトリオドラ
ユーカリ・シトリオドラは、ブラジル、中国、オーストラリアを産地とするフトモモ科の植物で、アロマオイルの原料となるユーカリの一種です。精油は葉から抽出され、清涼感のある柑橘系の香りを持ちます。その香りがレモンの香りに近いことから「レモンユーカリ」、「レモンセンティッドユーカリ」と呼ばれることもあります。スパイシーな香りではあるものの、ユーカリ・グロブルスよりは刺激の弱い香りです。ユーカリ・シトリオドラの精油は抗炎症作用に優れており、関節炎や筋肉痛をやわらげる効果が期待できます。また、肩こりや腰痛の改善に役立てられるケースもあるのです。さらに、心理面の作用については、清涼感のある香りから集中力を高めたり気持ちを静めたりするのに役立てられます。しかも、室内でユーカリ・シトリオドラのアロマを炊くと虫よけ効果を発揮するので、夏場は需要が高いです。
ユーカリ・ラジアタ
ユーカリ・ラジアタは、ユーカリの一種でアロマオイルの製造に用いられるフトモモ科の植物で、主な産地はオーストラリアです。ユーカリ・ラジアタのアロマオイルは抗ウイルス作用、抗炎症作用を持ち、風邪や花粉症といった呼吸器系のトラブル緩和に適しています。また、鼻づまりを改善したりや痰を出しやすくしたりする効果があるのです。そのため、風邪を引いた場合、鼻、喉に症状が出やすい人に役立てられます。さらに、炎症を抑えて、ばい菌の繁殖も抑える働きは肌へのメリットもあり、切り傷といった外傷のほかヘルペスなどの感染症にも緩和効果を現します。 ただし、ユーカリの中では香りもマイルドで刺激が少ない傾向にありますが、大量に塗布すると皮膚を刺激してしまう場合があるので注意が必要です。ユーカリ・ラジアタの精油は葉から抽出され、清涼感がありながらもマイルドな香りを持ちます。したがって、頭をすっきりさせる、ポジティブな気持ちになるといったリフレッシュ効果が心理面への作用に期待できます。
有機溶剤抽出法
有機溶剤抽出法は、アロマオイルの抽出方法のひとつで、石油エーテル、ベンゼン、ヘキサンといった揮発性の有機溶剤を用いて植物からアロマオイルを抽出する方法です。まず、有機溶剤の入った釜の中に植物を入れた後、芳香成分を有機溶剤に溶かし出します。そして、有機溶剤が気化すると芳香成分を含んだ半固形状の物質が残ります。これを「コンクリート」と呼ぶのです。このコンクリートをエチルアルコールで溶かし冷却すると、成分が分離し芳香成分とワックス成分に分かれます。その後、エチルアルコールを除去することで芳香成分を採ることができるのです。有機溶剤抽出法は、「水蒸気蒸留法」など熱を加える抽出法が使えないデリケートな植物に適用されます。例としてはジャスミンやローズが挙げられます。熱を加えないことで植物へのダメージが少ないほか、手間がかからず短時間で多くのアロマオイルを抽出することが可能です。それによって高い生産性が望める点がメリットです。一方、有機溶剤は人体に有害であり、抽出されたアロマオイルの中に有機溶剤が残ってしまうというリスクもあります。
ユーナニ医学
ユーナニ医学は世界3大伝承医学のひとつです。「アーユルヴェーダ」、「中国医学」、「ユーナニ医学」の3つをもって世界3大伝承医学とされています。ユーナニ医学は中世以降アラビア語圏を中心に発達し、現代においてもイスラム文化圏で活用されている医学です。確立したのは10世紀頃ですが、その後アラビア語の広まりや、イスラム文化の拡大にともないインドやヨーロッパの国々で活用され始めました。15~16世紀にはヨーロッパの大学でユーナニ医学が教えられていたといわれています。18世紀頃まで、水蒸気蒸留法というアロマオイル抽出法を生み出した医学者イブン・シーナの著書「医学典範」などがユーナニ医学の参考文献として用いられていました。 ユーナニ医学は「ギリシャ・アラビア医学」、「イスラム医学」などの呼称で呼ばれる場合もあります。
腰痛症
腰痛症は、腰痛の中でもひざの痛みといった神経症状をともなわないタイプを指します。急性腰痛症と慢性腰痛症に分かれ、俗に「ぎっくり腰」と呼ばれる突発的なものを急性腰痛症、常に弱い痛みと強い痛みを繰り返すものを慢性腰痛症と呼びます。急性腰痛症がうまく改善しないと慢性腰痛症へと移行するケースもあります。痛みを感じるのは基本的に腰部のみです。しかし、臀部にも痛みが生じる場合があります。その原因としては姿勢の悪さや椎間関節の異常などが挙げられます。特に慢性的な腰痛症は、姿勢不良による腰部の筋肉の疲労が原因となっている傾向が強いです。また、一部の腰痛症は内臓疾患によって引き起こされているケースがあります。さらに、安静にしていても痛みが引かない、腰部以外にも痛みが生じるといったことがあれば内臓の病気を疑うことも必要です。腰痛症を防ぐには背筋を伸ばす姿勢を心がけ、ものを運ぶ際は背中でなくひざの関節や股関節を曲げて持ち運ぶことを意識しましょう。腹筋運動を行うことで筋力を向上させるのも予防につながります。腰痛症は腰痛の中では改善するのが早い傾向にあります。痛みが強い場合でも横になり安静にしていれば治る確率が高いです。
有棘層
有棘層は表皮を構成する層のひとつです。表皮は皮膚の最も外側にあたる部分で、外側から順に角質層、顆粒層、有棘層、基底層で構成されています。有棘層はその表皮を構成する層でも一番厚い層です。表皮細胞が基底層で生まれると古い細胞が上の層へ押し上げられ、角質層へたどり着いた後は垢となってはがれ落ちます。これがターンオーバーです。細胞同士が棘で結ばれているように見えることから有棘層と呼ばれるようになりました。 有棘層では細胞と細胞の間にすき間があり、そのすき間にリンパ液が流れています。擦り傷ができたときや、かゆい部分をかきむしったときにリンパ液がにじみ出ることがありますが、これは皮膚の損傷が有棘層にまでおよんでいることを示します。