美容師の給料安い理由はなぜか?

美容師はおしゃれなイメージの職業です。ヘアスタイルはもちろんのこと、服装にもセンスの良さが求められます。美容院のお客様の中には、カットしてもらう度に美容師のファッションをチェックし参考にしている人も多いと聞きます。一方で、大変な仕事というイメージも持たれています。立ち仕事で水仕事をこなし、さらにいろいろなお客様の対応をしなければならないからです。その割には給料が低いのが現状です。給料が低い理由について解説します。

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平均給与と美容師の給与の差はいくらか?

厚生労働省が毎年実施する賃金構造基本統計調査によると、美容師の所定内給与は平均年齢30.6歳で月額22万6千円となっています。全産業の30〜34歳までの所定内給与の平均は月額27万1千円ですから、その差は月約5万円です。月5万円の差は年収ベースでは60万円になり、平均給与との比較でかなりの差があることが見受けられます。その上、美容師の場合、給与以外に受け取る賞与・ボーナスなどの特別給与は年6万円ほどで、平均年収との格差は一層広がると考えられます。美容師の仕事は体力仕事です。

1日立ちっぱなしは当然ですし、人気店で働いている場合には、お客様で混み合う土日祝日となれば昼食をとる暇がないこともあるのが現実です。多くの美容師が理想と現実のギャップと、給料の低さも相まって辞めていくことになります。給料が安いのには理由があります。考えられる理由の1つとしては、多くの美容院が施術料金の価格を低く設定し、値下げ競争になっているからです。急激に市場拡大に成功した1,000円カットへの対抗意識や経済自体のデフレ傾向が原因です。客単価が低く、売上が伸びないとなれば、経営者としてはコストカットを考えざるを得なくなります。賃料などの固定費を削るのは難しく、美容院のようなマンパワーでサービスを提供する業種では、コストの大部分を占める人件費のカットに取り組む他ありません。

このような負の連鎖の打破には美容師の技術を高めるとともに、宣伝広告などを通じてブランドを築き上げることがとても大切です。あそこの美容院のあの美容師にカットしてもらいたいという熱心なファンを増やすことができれば、客単価を下げることなく美容院の売上はアップし、その結果、美容師の給与アップも望めるでしょう。

店舗により歩合制の割合も変わる

美容師の給料体系は固定給と歩合給の2つのシステムに分けることができます。アシスタントの場合は、ほとんどが固定給のみの給料体系です。美容院でのポジションによって固定給の額は違ってきます。アシスタントは見習いの身分でもあるため、スタイリストに比べて固定給は低く設定されます。固定給は月額いくらと決まっていて、基本的には売上が伸びたとしてもその月の給料に反映されることはありません。一方、歩合給は美容師がお客様を施術して、売上を伸ばせば伸ばすほど給料にはね返ってきます。スタイリストは固定給と歩合給の混合の給与体系であることが多いようです。歩合給は固定給と違い、技術に磨きをかけて美容師としての人気が出れば出るほど、そして仕事をすればするほど目に見えて努力を実感できるシステムからモチベーションアップにつながります。

しかし、歩合給だとしても美容師が売り上げた分がそのままそっくり配分されるわけではありません。美容院側と折半します。折半の割合は美容院によってまちまちです。給与が固定給と歩合給の組み合わせなのか、それとも完全歩合制なのかによっても違います。目安としては固定給をもらっている場合には売上の15〜20%が美容師の取り分です。完全歩合制での給与体系ならば約30%と言われています。この割合はその店の人気具合や、美容師自身の技術やカリスマ性、そしてお互いの交渉テクニックによって変わってきます。

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美容師の給与が低いのは固定費の存在も大きい

美容師の給料が低いのは、安値競争によって売上が伸びず、そのため人件費カットにつながります。客単価が安いままでは美容師の給料も高くはなりません。しかし、人件費のカットが行われる理由は売上の低迷だけではありません。美容院というサービス業を営む上で必ずかかってくる固定費があるためです。固定費というのはたとえお客様が全く来なくても支払わなくてはならない費用のことです。固定費はお客様が月に20人しか来なかった月も、100人来た月も、全く同じ金額を支払う必要があります。固定費の存在が人件費に回すお金を圧迫し、美容師の給与の低迷を招く原因の1つになっています。

固定費の1つに店舗を借りている場合の賃借料があります。美容院の経営を左右するのが立地です。賃借料は数年単位での契約によって決定するため、契約途中で料金の変更は難しいのが現状です。つまり賃借料は全額そのまま固定費となります。美容器具をリースしている場合もそのリース代金が固定費です。スタイリングチェアやシャンプーチェアなど、値が張るものは購入せずリース契約することがあります。月額や年額で金額が設定されているため、使用するかどうかに関わらず支払う費用です。完全な固定費とは言えませんが、水道光熱費も類似の性質を持つ費用です。そして、実は給料のうちの固定給に関しては固定費と捉えることができます。何人のお客様を手がけたかに関係なく毎月給料は支払われるからです。

このように、美容院を経営していく上で多くの固定費が必要になってきます。シャンプーやカラーリング剤などはお客様が増えれば増えるほどかかる変動費ですが、これは売上を伴う費用ですから固定費ほど経営を圧迫しません。つまり美容院が目指すべき売上目標は最低でも固定費をカバーできるだけの水準になります。その水準を超えた売上を達成できれば、美容師の給与も上がっていくことでしょう。

集客には結構費用がかかる

美容院にお客様が来なくては経営が成り立ちません。美容院の存在を知ってもらい、お客様に来てもらうために、どの美容院でも宣伝広告にお金をかけます。雑誌や美容院紹介サイト上に広告を打ったり、チラシを作成して周辺に配布したりします。また、ティッシュに広告を入れて駅前などで配っているのをよく見かけます。美容院の技術を知ってもらうためには、広告に見本のヘアスタイルを掲載する方法が効果的です。掲載する写真を撮影するために、モデルを募集してカットしなくてはなりません。カットしているスタイリストはお客様をカットできませんから、その際の人件費も集客のための費用と考えられます。

さらに、美容院の人気を高める上で欠かせないのが口コミです。実際にその美容院を利用したお客様の実体験を話す訳ですから、口コミには自然に説得力が備わっています。良い口コミを広めてもらうためには美容師の技術や接客態度に加えて、店内の居心地の良さも重要です。待合スペースに上質なソファーを置いたり、観葉植物や花を飾ったり、店内で音楽を流している場合にはハイクオリティーのスピーカーを用意する必要があります。集客には何かと費用がかかるのです。美容院経営には人件費の他にも、さまざまな費用が必要です。美容師の給料を上げるためには売上を伸ばす努力が必要です。美容師のスキルが高まれば、お客様からの指名も増えて自然に給料も増えるでしょう。まさに腕一本で食べていける職業です。

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