入社後すぐにカットレッスンをスタート!若手が育つ『MELLOW』の教育術に迫る
独自の路線を打ち出して人気店に成長した『MELLOW』。入社3年目のスタッフは育休中でおよそ1年後の復帰を予定しているなど、働きやすいサロン作りを実現しています。
そんな温かな環境の背景にはカット技術の出し惜しみをしない教育カリキュラムや、スタッフを数字で評価しない育成方法がありました。
後編では空気感のよいサロン作りの極意に迫ります。
「お客さまがよろこぶスキル」をいち早く教える指導スタイル
————指導方法のこだわりがあれば教えてください。
「教育スタイルのこだわりは大きく2つあります。まずは、効率的であること。スタッフがもっとも早く成長できるカリキュラムを作っており、最大の特徴がカット指導を始める時期の早さです。業界のなかには4~5年ほど経ってからスタートするサロンもありますが、『MELLOW』では入社してすぐの5月頃から始めています。
カットレッスンを早く取り入れている理由は、一番大切であり、かつもっとも習得が難しい技術だからです。そのため早く始めなければ一人前の美容師になるまでに時間がかかり、自立することができません。若いうちにスタイリストデビューをしてもらえれば、お店としても助かりますからね(笑)」
————2つ目はどのようなこだわりでしょうか?
「2つ目の特徴が、実践的であること。『MELLOW』ではサロンのお客さまにすぐにご提案できるスタイルを教えています。指導方法のなかには技術が詰まっている型を基礎として教えるスタイルもあり、もちろんカットの勉強になることはわかりますが、現場でその髪型をオーダーされることはおそらくありません。私は、それではあまり前向きに取り組めないと思っています。スタッフは、きっと『お客さまがよろこぶスキルを身に付けたい』と思っているはずですから」
若手時代は、かなりおかしなやつでした(笑)
————なぜ、現在の指導方法を取り入れたのでしょうか?
「自分が若い頃に好き勝手やってきたからですね(笑)。私はサロンに入社してすぐの頃から、掃除の時間にカットの練習をして怒られるような若手でした。それでも、『俺は、掃除ではなくてカットをするためにこの店に来た!』と言って続けていて、今振り返るとかなりおかしなやつだったと思います(笑)。
その結果、1年でデビューできたので『早くステップアップしたほうがいい』と、ずっと思ってきました。スタッフにも『早く次のレッスンをしよう』とよく言いますが、『いや、まだいいですよ』と返されることも多くて、『そうか、そうか先走ってゴメンね~』みたいな感じで。今もおかしなやつかもしれません(笑)」
数字は落ちていても、お前の魅力は落ちていない!
————リピート率を高めるコツはありますか?
「まずは笑顔ですね。実は、以前はそれほど大切だとは思っていませんでしたが、経営やブランディングを勉強しているうちに、結局は笑顔かなと。いつも笑顔でニコニコしているほうが、まわりにいる人たちはよろこんでくれますからね(笑)。
また技術では常にお客さまを10歩リードすることを心掛けており、そのためイメージのお写真を受け取った時に『あまりしっくりこないな』と感じた時は、『このスタイルはおすすめできないので、代わりにこちらはいかがでしょうか?』とはっきりお伝えしています。もちろん丁寧に伝えますよ。
お客さまからは、『否定されたのは初めてです』と驚かれることも多いですね。しかしほとんどの方は、『逆にそこが気に入った』と再来していただけます」
————最後に、空気感のよいサロンを作るためには何が大切でしょうか?
「売上をはじめとするスタッフの数字を指摘しないことです。指摘したところで、もっと下がることがほとんどですから。成果がでていないのは本人が一番よくわかっているので、『なんとかしなければならない』ときちんと考えています。そこで『もっとがんばれ』と言ったら、その気持ちがなくなってしまうかもしれません。
大切なのは、私たちがよい部分を見つけて、それを本人に伝え自覚してもらうことです。その日のお客さまがたとえ1人であったとしても、『アレンジのセットも接客もよかったから、今日みたいに続けていれば大丈夫だ』と、そのお客さまへの対応をほめればいいと思います。
スタッフが一生懸命に働いていれば、結果はすぐに出なくても何の問題もありません。『数字は落ちていても、お前の魅力は落ちていない!』と、そういう感じですね(笑)。他にも目標を立てすぎると縛られてしまいのびのび働くことができなくなるので、あえて細かすぎる計画は立てていません。『数字よりも感性で動く』そういう感じです!」
スタッフが生き生きと働くサロン作りの極意
取材中に全員で集合写真を撮っていた姿も印象的だった『MELLOW』。スタッフが生き生きと働くサロン作りの極意をまとめると、下記の3つでした。
1. カット技術の出し惜しみをしない
2. 笑顔を大切にする
3. スタッフを数字で評価しない
スキルを伸ばす方法について「今の自分の実力よりも1つ上を目指して、全力で取り組むこと」と笑顔で答えてくれた高木さん。高い技術力に触れたい方、心地よいサロンの雰囲気を感じてみたい方は、ぜひ一度足を運んでみてください。
▽前編はこちら▽
外国映画の世界観を届ける! おしゃれ感度の高いお客さまを魅了する『MELLOW』の経営術とは>>