異なる2つの仕事を“真っ直ぐ”見据える 『MOK』
おしゃれなお店と昔ながらの街の風景が同居する大阪の注目エリア、中津に本店を構えるヘアサロン「MOK」は、自然光が差し込むナチュラルな雰囲気が魅力の人気店。そこでスタイリストとして活躍しつつ、昨年からエリアマネージャーも担う徳永愛実さんは、仕事では2つの顔を持ち、プライベートでは2児の母でもあるワーキングママ。そこで今回は徳永さんに、多忙な美容業界で多くの仕事をこなしつつも母として手を抜かない秘訣や、育児と仕事を両立するサロンの取り組みを伺いました。
一度退職し再びMOKに復帰
――家庭と仕事の両立は大変だと思いますが、出産する際にサロンからのサポートはありましたか?
「私は専門学校を卒業後すぐにMOKに入社しましたが、1年目で妊娠し出産しました。その際に一度退社したのですが、再び働きたいと思った時、復帰するならこのサロン!と元々決めていたので、オーナーにお願いしてアシスタントからリスタートしたんです。当時はまだ女性美容師が育児と仕事を両立できる環境が整ったヘアサロンは少なかったと思いますが、オーナーが私の出産を機にママでも働きやすい環境をと色々整えてくださいました。現在MOKは大阪梅田と京都北白川、神戸元町の計3店舗あるのですが、昨年から“主婦の切り盛り力“を活かして欲しいと、私が京都と大阪のエリアマネージャーに就任することになりました。現在はお客様にとっても、またここで働くスタッフにとってもより良い環境であるような店作りを模索しています。当サロンの企業理念が”ずっとへ、まっすぐ“というものなのですが、オーナーを始めここの仲間はまっすぐに理想を目指し、お客様とも真正面から向き合う人ばかり。だからこそ出産後の復帰先もここ以外考えられなかったですね」
メリハリをつけて仕事も家庭も充実
――スタイリストとエリアマネージャーはかなり仕事内容が異なりますが、どのように両立されているのでしょう?
「現在はエリアマネージャー業務が主で、サロンワークは指名のお客様だけを担当させていただいています。昨年突然エリアマネージャーに就任したのでまだ勉強中なのですが、私自身がここで楽しく働いているように、スタッフ全員がイキイキと働ける環境を作ることにとてもやり甲斐を感じています。もちろん大変ではありますが、もともと人とコミュニケーションをとってみんなで何かに取り組むのが好きなので、大変さよりも楽しさの方が大きいかな。ただ、どうしても仕事に充てる時間が増えてきて、家に仕事を持ち帰ることも出てきましたが、子供が起きている時間帯は仕事の連絡が入る携帯電話は手にせず、家族で過ごす時間に集中するようにしています。仕事と家庭とのメリハリをつけてそれぞれの時間に集中することで、自分自身のスイッチを切り替えるのが両立のコツでしょうか。また、会社の方でも家族行事が多い日曜を公休日にしてくれるなど、育児と仕事を両立しやすい環境を与えてくれていることも助かっています」
エリアマネージャーとしての矜持
――エリアマネージャーとして心がけている点はありますか?
「私自身がスタイリストでもあり働く母でもあるので、スタッフやワーキングママの目線で店作りを考えることを大切にしています。現在全店舗で22名のスタッフがおり、そのうち2人が育児休暇を取得していますが、こういった制度を充実させたり利用しやすくしたりすることをはじめ、お客様にとって長く通っていただけるサロンにするにはどこを改善すべきか、スタッフ全員が心地よく働けているかなどは特に意識していますね。個人的には、どんな気分の時でも仕事の時は常にスイッチをオンにし、自分のテンションや気分に左右されることなくいつも笑顔でイキイキと働くことをモットーにしています。人の笑顔や元気ってその空間にいる人全員に伝播すると思うので、まずは私から笑顔を作って店を明るくすること。これもエリアマネージャーの役割のひとつではないでしょうか」
スタイリストとエリアマネージャーという全く性質の異なる業務を軽やかに両立する德永さんですが、一方でスタイリストとしての知識や技術の向上も怠りません。後編では、スタイリストとしての表情や、店作りを担う立場として美容師の卵に期待することなどを中心に伺います。
Profile
德永愛実さん
エリアマネージャー
島根県出身。中学生の頃から美容師を目指し、当時の職業体験で美容室を選択。その際に美容師という仕事の厳しさを目の当たりにしたものの、夢は変わらず美容専門学校へ進学。現在は2児の母として子育てに奮闘しつつも、昨年任命されたエリアマネージャーの仕事に尽力し充実した毎日を過ごす。