マッサージ師(あん摩マッサージ指圧師)とは 必要な免許と施術の種類について解説します
マッサージ師というと、街中にあるリラクゼーション施設や、温泉施設の癒し処、美容サロンにいるエステティシャンといったように、心身ともにリフレッシュしてくれる人だけと、勘違いしている人が多いかもしれません。
しかし、実際にはマッサージ師になるには資格が必要で、主な職場は病院や治療院、美容施設、特別養護老人ホームやデイサービスセンターまで、実は生活に密着した様々な場所で活躍しているのです。
ただし、マッサージ師とは言っても免許はいくつかあり、どの免許を所持しているかで施術できる内容や仕事内容・場所も変わってきます。
そこで今回は、マッサージ師になるためにはどういった方法があるのか、マッサージ師の資格の種類や内容はどのようなものなのか、資格によってどのような仕事に就けるのかなど、マッサージに二関する詳しい情報を紹介していきます。
マッサージ師とは 必要な免許
実は、「マッサージ師」という呼び方は正式なものではなく、正しくは「あん摩マッサージ指圧師」と呼びます。
また、あん摩マッサージ指圧師になるには、あん摩マッサージ指圧師国家試験に合格しなければなりません。
免許 あん摩マッサージ指圧師
あん摩マッサージ指圧師になるための方法としては、まず専門学校や盲学校など決められた場所での勉強や技術の習得を一定期間行い、その後に資格の試験に合格しなければなりません。
専門学校・盲学校(特別支援学校)に通う
先ずは、あん摩マッサージ指圧師を養成するためのコースが設置されている学校に通うことになります。基本的には専門学校になりますが、文部科学大臣や厚生労働大臣に認められた専門学校、または盲学校(特別支援学校)で学ぶことが出来ます。
そのため、全国で20ヶ所程度しか学べるところがなく、関東や関西に多くあるため、住んでいる地域から最寄りの学校がどこなのかを調べる必要があります。
また、通信教育はなく、あん摩マッサージ指圧師は知識があれば出来る仕事ではないため、直接学校に通い、施術の実践訓練も積まなければなりません。
卒業までの学費
細かい数字は学校によって異なり、一部の条件を満たした人は減額や免除などの制度もありますが、基本的には300万円から500万円が相場となります。
更に、はり師・きゅう師の資格を同時に取得するためのコースもあり、その場合には追加で100万円程度のお金が必要になります。
免許 はり師・きゅう師
はり師と、きゅう師の資格を取得すれば、仕事やスキルアップの幅が広がっていきます。これら全ての資格を持っている人は、「鍼灸マッサージ師」や、「三療師」と呼ばれます。
あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師の資格試験
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の資格試験の内容は、共通する部分も多いため、同時に取得する方が良いと言えます。
試験は厚生労働省が管轄しており、年に1回実施されています。合格率は85%前後で毎年発表されています。試験に合格すると厚生労働大臣より免許が授与されます。
カリキュラム内容とは
あん摩マッサージ指圧師になるには、専門的な勉強をしていきます。
具体的には
・医療概論
・解剖学
・生理学
・衛生学
・心理学
・栄養学
・生物学
に始まり、資格に関連する法規、東洋医学全般、西洋医学など非常に幅広い知識が求められてきます。
もちろん知識だけでなく、技術も必要なため、実習も相当な時間を使って手技を習得していきます。
関連法律 あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律
「マッサージ」を行うと言っても、目的や施術内容によって必要な資格が決まっています。例えば、柔道整復師と、あん摩マッサージ指圧師では同じ症状に対して施術方法や出来る範囲、内容が法律で定められています。
場合によっては、判断の難しい内容やグレーゾーンな部分もあるため、これらの資格を取得する人は、資格によって何が出来るのかを理解しておく必要があります。
無資格で施術を行うと処罰の対象になってしまうため、気を付けましょう。
あん摩マッサージ指圧師ができる施術の種類
あん摩マッサージ指圧師ができる施術は法律で決まっているため、しっかりと把握しておく必要があります。
あん摩マッサージの起源は古く、かなり昔に海外から日本にも伝わって発展してきました。歴史的な背景も含めてそれぞれの施術の種類について紹介していきます。
あん摩
あん摩術は、中国から伝わった手技療法で、「押す・もむ・さする・なでる・たたく」といった行為を基本としたものになります。
1500年以上前から行われていたと言われているあん摩ですが、日本では江戸時代の頃に本格的に広まったとされ、今ではあん摩などの法律も整備されてきており、国家資格として受け継がれています。
基本の手技としては7種類あり、それぞれ細かく手技が更に分かれていきます。
軽擦法(按撫法)
手のひらや指を使って、撫でたり擦ったりする方法になります。軽く擦る方法から、強く擦る方法まであり、体内の循環を良くして新陳代謝をアップさせる作用があります。
揉捏法(揉撫法)
指や手のひら全体を使って、揉んだり、つまんだりするような方法になります。筋肉を揉み解したり、循環を促したりして改善をする作用があります。
叩打法
指から手の甲など、手の全体を使って叩いていく方法になります。神経や筋肉に刺激を与えて、血行を良くしたり、代謝を高める作用があります。
指を使って軽く叩く方法から、両手で空気を包むようにしながら叩くといった方法まで、方法は様々です。
圧迫法(按撫法)
指や手で患部に圧をかけて痛みを取り除いたり、ほぐしたりする方法になります。神経や筋肉に刺激を与えることで鎮静させる作用があります。
振せん法
指や手を細かく振動させる方法になります。リラックス効果や神経、筋肉をほぐして痛みを和らげる効果を高める作用があります。
運動法
関節を伸縮させて、痛みを和らげる方法になります。関節内の血行を良くしたり、可動域が狭くならないように予防したりする作用があります。
曲手
叩打法と似ている部分もありますが、いくつかの手技があり主に背中や肩に対して施術する方法になります。人によってこの手技を使用するかは分かれますが、知識としては知っておくと良いでしょう。
マッサージ
西洋が起源のマッサージですが、日本には明治時代に伝わったと言われています。手足から身体の中心に向かってマッサージを行っていくのが一般的です。
血液やリンパの流れを良くすることで、痛みを和らげたりリラックス効果が得られます。昔から医療の現場でも積極的に取り入れられ、あん摩などと組み合わさることで相乗効果が期待できます。
指圧
あん摩術の圧迫法が独自に発展していったのが指圧と言われており、日本では明治の後半から大正時代にかけて確立したと言われています。健康増進や維持を目的として、さらに特定の痛みなどに対しても効果があります。
指圧は身体の中心から末端へかけて施術をしていきます。症状や目的に応じてゆっくりと指圧をしたり、リズミカルに行う場合もあります。
独立開業以外にも マッサージの仕事ができる職場
あん摩マッサージ指圧師は、独立開業できる権利を持っており、町でよく見かける接骨院や整骨院として開業する人が多くいます。
どれだけの資格を取得しているかで、仕事内容や就ける仕事も変わってきます。接骨院や整骨院以外では、どのような場所で仕事が出来るのかを紹介していきます。
病院
病院において、リハビリの1つとしてあん摩マッサージ指圧師の資格が活かせます。マッサージが認められている資格は、医師とあん摩マッサージ指圧師になるため、病院での需要があります。
理学療法士や作業療法士と共に患者のリハビリのサポートを行うため、様々な経験が積める職場と言えます。
訪問医療
リハビリの1つとして、またはマッサージによるリラックスを目的として、患者さんの自宅に訪問して施術を行うことも出来ます。
こちらも病院同様に、理学療法士などの他の有資格者と協力して行う場合が多いでしょう。
介護施設
介護施設では、機能訓練指導員を置くことが義務付けられています。機能訓練指導員になるには、特定の資格を持った人しかなれません。
具体的には、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士のいずれかになります。また、5年以上の実務経験があればケアマネージャーの資格取得にも繋がるので、介護施設で働く人も多くいます。
スポーツ施設
スポーツ選手のトレーナーを、仕事にしている人もいます。選手に対して専属のトレーナーになる場合もあれば、チームや施設に所属して多くの選手を見る場合もあります。
サロン
エステティックサロンや、マッサージ店など、リラクゼーションを目的としたサロンに勤めることも出来ます。有資格者としての強みがあれば、一般的なエステティシャンよりも活躍できる可能性もあります。
企業
企業にヘルスキーパーとして、社員の健康維持を任されるといった働き方もあります。ストレスや疲労を軽減するために企業が募集することもあるので、様々なアプローチが出来るように技術を磨くと良いでしょう。
マッサージ師になりたいなら、まずは免許取得を目指そう!
様々な場所で活躍しているあん摩マッサージ指圧師ですが、先ずは免許取得を目指して動くようにしましょう。
資格取得のために勉強できる専門学校は、数が多くないため、通学方法や費用も含めて検討しなければなりません。
学ぶ内容も幅広く、国家資格試験に向けての準備もあり大変かもしれませんが、多くの人に感謝されるやりがいのある仕事です。
しっかりと目標をもって知識や経験を積んで、様々な場所で活躍できるよう計画を立てていきましょう。