柔道整復師になるにはどれくらい学費が掛かる?【大学・短大・専門学校】
柔道整復師とは、スポーツ事故や交通事故で骨折や捻挫、脱臼などをしてしまったときに的確な処置をしてくれる医療人、昔からよくある「ほねつぎ」のことです。
柔道の技でケガをした人などに対して考えられた、東洋医学と西洋医学を融合させた療法で、主に手や指を使って体に刺激を与え、人間が本来持っている自然治療力を引き出す治療を行います。
手術や投薬、注射をしないという特徴もあります。接骨院や整骨院のスタッフ、スポーツ分野に関わるトレーナー、リハビリテーションや福祉の現場に従事する人など、柔道整復師はさまざまな場面で活躍しています。
この仕事に携わるためには、高校卒業後、鍼灸・柔道整復学、リハビリテーション・作業療法・理学療法が学べる専門学校、短大、大学へ進学しなければなりません。
そこで柔道整復師の国家試験の受験資格を取得して受験し、合格したら免許を申請します。免許が交付されたら柔道整復師として登録されます。
では、国家試験受験資格が取れる学校に通うには、どれくらいの費用が必要なのでしょうか?
柔道整復師になるには 国家試験の受験資格
国家試験を受験するためには、受験資格が必要です。受験資格は、柔道整復師養成施設になっている専門学校や大学、3年以上の短期大学で必要な単位を取得し、在学中に卒業基準のひとつである認定実技試験に合格することで取得できます。
学校で履修する科目は、国家試験科目である人文社会や語学、生理学、解剖学、運動学、外科学、病理学概論、リハビリテーション学、公衆衛生学、衛生学、柔道整復理論、柔道実技、柔道整復実技です。
昭和63年(1988年)の柔道整復師法改正に伴い、それまで筆記試験と実技試験の2本立てで実施されていた国家試験が筆記試験のみとなりました。それを受けて実技は学校で審査することになりました。
認定実技審査員が審査をする認定実技試験は、柔道整復術の基礎となる「柔道実技」と「柔道整復実技」の2つです。
柔道実技は受け身や決められた型、乱取りなどの動きはもちろん、所作や礼法が審査の対象となります。柔道整復実技は指定された症例への対処に関するもので、骨折の整復、脱臼の固定などが審査されます。
これらの関門を突破しなければ、国家試験の受験資格を得ることはできません。
柔道整復師になるための学費はどれくらい掛かる?
では、柔道整復師になるために4年または3年間学校へ通うと、どれくらいの費用がかかるのでしょうか?
柔道整復師の専門学校の平均的な学費は、3年間で約300~500万円とされています。だいたい1年間で100万円と少しかかることを目安にしておきましょう。
柔道整復師の専門学校では、しっかりとした技術を身につけるための、実習授業が非常に多いので、施設費、機材費や人件費などでどうしても高額な学費が掛かってしまいます。
実際に通っている生徒の中には、昼間は学費を稼ぎながら夜学校に通っている人がいます。そういう人は夜間部を持つ専門学校を選びます。
夜間の専門学校は18時から授業が始まるので、仕事をしながらでも通いやすいですし、昼間部と変わらない勉強を受けることができます。夜間部は、昼間部より納入金は少なくて済むところが多いようです。
大学
入学金、授業料、実験実習費、施設費などすべて合わせて4年間の合計金額は、下記の通りです。
①帝京大学医療技術学部柔道整復学科
6,622,000円
②明治国際医療大学保険医療学部柔道整復学科
3,600,000円
③日本体育大学保険医療学部整復医療学科
6,669,500円
④宝塚医療大学保険医療学部柔道整復学科
6,900,000円
⑤東京有明医療大学保険医療学部柔道整復学科
6,500,000円
短大
柔道整復師の国家試験受験資格を取得できる短大は現在1つだけです。入学金、授業料、実験実習費、施設費などすべて合わせて3年間の合計金額は、下記の通りです。
帝京短期大学ライフケア学科柔道整復専攻柔道整復コース
3,231600円
専門学校
入学金、授業料、実験実習費、施設費などすべて合わせて3年間の合計金額は、下記の通りです。
①東洋医療専門学校柔道整復師学科
4,400,000円(夜間部は380万円くらい)
②新宿医療専門学校柔道整復学科
4,000,000円
③東日本医療専門学校柔道整復スポーツ科学科
2,156,000円
④東京メディカル・スポーツ専門学校柔道整復師科
5,711,350円
⑤森ノ宮医療学園専門学校柔道整復学科
3,980,000円
⑥首都医校東洋医学部柔道整復学科
4,030,000万円
⑦東京柔道整復専門学校
4,300,000万円
⑧仙台接骨医療専門学校柔道整復科
3,280,000万円(諸経費込み)
⑨静岡医療学園専門学校柔道整復学科
4,550,000万円
⑩米田柔整専門学校柔道整復学科
4,360,000万円
地域による金額の差はほとんどありません。
なお、他にも白衣や柔道着などを自前でそろえなくてはならないので、もう少し費用はかかります。教科書など教材も別途購入になるため、寄付金を募っている学校もあるようです。
国家試験&免許登録にはいくら掛かる?
学校を卒業したら国家試験を受けることになりますが、受験と免許登録にもお金がかかります。いくらくらい費用がかかるものか見てみましょう。
国家試験の受験手数料
国家試験の受験手数料は16,500円です。他の国家試験と同じくらいの金額になっています。
免許登録の手数料と税金 新規
新規登録申請料手数料は4,800円、登録免許税は9,000円です。
学費の負担が厳しい時は 奨学金や給付金制度を利用しよう!
柔道整復師の国家試験の受験資格が取れる学校の学費は、大学も短大も専門学校も比較的他の分野よりも多くかかります。
けれども、経済的には厳しいけれど柔道整復師になりたいという人には、奨学金や給付金の制度がたくさんあります。
奨学金の制度と仕組み
まず、日本学生支援機構の奨学金を受けることができます。奨学金には貸与型と給付型があり、どちらも条件が合えば利用できます。
日本学生支援機構の奨学金貸与事業は、教育の機会均等の理念に基づいて、意欲と能力のある学生が自分の意志と責任において大学等で学ぶことができるように国の重要な教育事業として実施されています。
大学院・大学(学部)・短期大学・高等専門学校・専修学校(専門課程)で学ぶ学生・生徒を対象として、第一種奨学金(無利息)・第二種奨学金(利息付)を貸与しています。
一方、給付型の奨学金は、一定の条件をクリアすれば受けることができます。返済しなくても良い分、条件も厳しくなっています。
東京に住んでいる場合でしたら、東京都育英資金貸付事業による奨学金制度(無利息)もあります。
貸与型も給付型も、いずれも勉強して柔道整復師となり、社会に貢献する人材を育てるために法人が行っている制度ですから、奨学金を利用する代わりにお客様から信頼される柔道整復師を目指さなくてはならないことは、言うまでもありません。
そして、貸与型でしたら卒業後に一定の期間が経つと返済が始まります。奨学金は、卒業生が返済してくれているお金で次の柔道整復師を育てる仕組みですから、自分が学業を終え、国家試験に合格したら、必ず返済しなくてはなりません。
柔道整復師として信頼されるためにも、貸与型の奨学金はきちんと返しましょう。
専⾨実践教育訓練給付⾦や教育訓練⽀援給付⾦が利用できるかも
社会人の専門学校生のための給付金があります。柔道整復師の実技教育は、一部の専門学校で「専⾨実践教育訓練講座」に指定されています。
指定の専門学校で鍼灸学科や柔道整復学科で学び⼀定の⽀給要件を満たすと、教育訓練経費の費⽤を⽀援する「専⾨実践教育訓練給付⾦」(3年間で最⼤1,680,000万円)と、訓練中の⽣活を⽀える「教育訓練⽀援給付⾦」がハローワークから給付されます。
働きながら国家資格取得を⽬指す人と、キャリアアップを⽬指す人はぜひ活用してみたら良いでしょう。
国の教育ローンもあります
日本政策金融公庫による教育ローン、銀行各社、信販会社の教育ローンを利用することもできます。預金がある金融機関でしたら、比較的簡単にローンを組んでもらうことができます。
学校独自の支援もあります
学校によって、独自の奨学金制度・学費減免制度もあります。よく調べて、利用できるものがあれば利用しましょう。
東京メディカルスポーツ専門学校では、高校3年生を対象に特待生試験を実施しており、合格すれば入学定員の15%以内の中で、500,000円、200,000円、50,000円を学費から免除しています。
新宿医療専門学校では、出願者を対象に「特待生チャレンジテスト」を実施しており、特待生初年度の授業料から400,000円を減免してくれます。
他の多くの専門学校でも、特待生を募る学校は多いので、情報はしっかりとつかんでおきましょう。
さらに、すでに他の治療家の資格を持っている場合は、授業の一部を免除されることもあります。
仕事のあとに学校に通っている夜間部の学生にとって、すでに学んでいて、知っていることに時間をかけるのは非常に面倒くさいですから、取得予定の資格で身につけなければならない専門分野をきちんと学び、すでに知っている基本分野は免除することで、効率よく勉強をすることができます。
学校によって免除対象が異なる場合や、免除がない代わりに学費が安くなる場合などありますが、有資格者がダブルライセンスを取得しやすいような工夫はなされています。
学費は学校を選ぶ目安のひとつ 支援制度を上手に利用しよう!
学費は、学校を選ぶときに大変重要な条件になります。どんなに志が高くても、素晴らしい学校に出会っても、学費が足りなければ通うことはできません。
学費が高い学校は、それなりにカリキュラムや施設が充実してより高い教育を受けられると考えても良いでしょう。また附属の形で運営されている学校は少し学費が安いようです。
一方で柔道整復師は、社会になくてはならない仕事です。そこで、柔道整復師になりたい人に門戸を閉ざさないために、多くの支援制度が用意されているのです。
お金が足りないからと言って、柔道整復師になる道をあきらめてはいけません。就職先は引く手あまたと言っても過言ではないほどありますから、資格を取るまで努力した分は、必ずやりがいや収入となって返ってくることでしょう。
学費や生活費の支援制度を上手に使って、行きたい学校にぜひ進んでください。進学できることを当たり前と思わず、しっかりと勉強して自信をつけ、立派な柔道整復師になりましょう。
学ぶためには必ずお金も必要ですし勉強も大変ですが、柔道整復師になってからが本当の勉強です。今度はお客様の信頼を得て、お金をもらいながら経験を積んで学ぶのですから、言わば奨学金をもらいながら学び続けるようなものです。
学費を払った分以上の社会的役割とやりがいが手に入る仕事ですから、勉強にしっかりと励んで進学してください。