コンテストと同じ集中力で施述を行うことがお客さまの満足度アップの秘訣【フリーランスのライフスタイル ネイリスト・ダラム志織さん】
日本とアメリカ両方でのネイルコンテスト優勝の経歴を持つダラム志織さん。日本でのネイル講師の仕事や、アメリカでフリーランスとして働いた経験を活かしながら、現在は表参道のシェアサロンでネイリストとして働かれています。前編では日本とアメリカ両方のコンテストで優勝をされた経緯や、技術を習得するためにさまざまなセミナーに参加されたこと、アメリカで成功するための極意についてお伺いしました。
後編では帰国後に始めたサロンの経営や集客について、また、日本のネイルの魅力や志織さんご自身が仕事を行ううえで大切にしていることなどをご紹介します。
お話を伺ったのは…
ダラム志織さん
北海道NSJネイルアカデミー札幌校(現ラ・ミューズネイルアカデミー)出身。卒業後、同校にてネイル講師として勤務する。約6年勤務したのち、神奈川県の緊急人材育成支援事業にて、求職者に向けたネイリストの職業訓練を行う。勤務のかたわら、コンテストに参加し、数々の賞を受賞。2013年には「アジアネイルフェスティバル大阪」のプロフェッショナル部門総合にてグランドチャンピオンとなる。結婚を機に渡米。アメリカではフリーランスのネイリストや講師として働く。2016年には「NAILPRO CUP」で全米年間チャンピオンを獲得。2020年に日本へ戻り、2021年には表参道に自身のサロン「NAILS by SHIORI」をオープン。
Instagram:@shiooo0ri
コンテストと変わらぬ100%の力をサロンでも毎回発揮する
――――アメリカと日本、両方でネイルのお仕事を経験されて、日本のネイルの魅力とはどんなところだと思いますか?
昔はデザインに大きな違いがありましたが、今はSNSの普及で世界中どこでも同じデザインを見ることができるようになったため、あまり差はありません。だからこそ、日本人ならではの丁寧さや繊細さがより目立つようになったと思います。たとえば甘皮をきれいにすることや、色を重ねる作業をより丁寧にすることで仕上がりの美しさはまったく変わってきます。日本ではそういった基礎的な練習をどこのスクールでもきちんと教えているので、繊細で美しいネイルが魅力です。
――――なかでも志織さんご自身のネイルの強みはどのような点でしょうか?
妥協せずに毎回細部までこだわった美しいネイルをお客さまの理想通りに作ることが強みだと思います。コンテストは1回限りの勝負で、みなさん一切妥協せずに作品を作り上げますよね。とくに私はデザインだけでなく、自爪のケアから仕上げのトップコートを塗るところまですべての工程を丁寧に行い、仕上がりを美しく見せることにこだわりを持っていました。サロンでお客さまのネイルを施すときも同じ気持ちで、どんなオーダーも毎回すべての作業に集中して施述を行うことが大切です。時間に余裕をもって予約を入れることで気持ちを落ち着かせ、そのときの自分が持つ100%の力を出し切るつもりで毎回お客さまを迎えるようにしています。
英語対応はこれからのサロンワークの強みになる
――――帰国後はなぜ、講師の仕事でなくネイルサロンを選ばれたのですか?
さまざまなコンテストに出場し、技術が身についたときに、お客さまにネイルをしたいという気持ちが強くなったからです。現在は依頼があれば講師の仕事も行いますが、サロンでの仕事がメイン。帰国時に友人に「GO TODAY SHAiRE SALON」を紹介してもらい、そちらを借りてサロンワークを行なっています。ちょうどコロナの影響で休業するお店もあるなか、また、お客さまがいないゼロからのスタートだったので、シェアサロンはリスクが少なく、はじめやすいと思いました。
――――集客はどのように行なったのですか?
webサイトやインスタグラム、facebookでお客さまに呼び掛けを行いました。2020年に日本に戻ってきたのですが、去年1年間はコロナの影響で緊急事態宣言が出されることが多々あり、サロンの仕事ができない期間がありました。そのときにグラフィックデザインとwebの学校に通ってサイト作成の技術を取得し、自分のHPを作成したり、経歴や過去の作品を乗せました。今ではwebサイトを見て予約をしてくださる方も多いので、空いた時間をうまく活用できたと思っています。
またGoogleでネイルサロンを検索した際に、「英語対応可能」と表示する設定にしたことも集客につながりました。とくに表参道は海外のお客さまが多いわりに英語で対応できるサロンが少ないので、効果があったと思います。これからまた旅行者が増えた際にはさらに多くの外国人のお客まさがきて来てくれるのではないでしょうか。
サロンを清潔に保つことがなによりお客さまの信頼につながる
――――サロンワークの際、心掛けていることを教えてください。
道具を常に清潔にすることをとても大切にしています。今のご時世ということもありますが、その前から、こだわりをもってきれいにしていました。皮膚の繊細な部分に対して作業をしていくので、清潔さや消毒などはとても重要です。また、そのような細かい気遣いはお客さまにも伝わると思います。爪をけずるファイルはお客さまごとに変えて、洗わずすべて捨てるようにしています。また、ニッパーの消毒も欠かせません。どれだけ美しい仕上がりになったとしてもお客さまが不快になったり、汚い環境だったりするとリピートにはつながらないと思います。
――――日本、海外と活躍して、その技術を帰国後サロンで活かす。とてもすてきな経歴だと思います。毎回目標を持って計画的に進められているのですか?
コンテストで優勝するなど明確な目標はありますが、どのように働くかはそのときに何がしたいか、自分の心に従って動いている気がします。たとえば、コンテストに力を入れたかったときは、時間に融通のきく仕事を選びましたし、アメリカも結婚がなければ行ってなかったかもしれません。流れに従いつつ、そのときやりたいことを大切にすることで自分にとってよい経験や生活ができてきたのだと思います。
世界のコンテストで活躍するネイリストになるには
日本だけでなく海外での経験や、講師など多岐にわたる活躍についてお話をしてくださった志織さん。世界のコンテストで活躍するネイリストになる方法をまとめると、下記の3つでした。
1. 基礎を大切にしながら自分なりの美しいネイルを考える
2. 参考にしたいネイリストの講座に参加し、多くの技術を得る
3. 清潔さ、丁寧さを大切に施術を行う
日本、アメリカ両方のコンテストでの経験を活かして、最高級の技術を毎回全力で、丁寧に提供することがお客さまを増やすポイント。今後はご自身のサロンを構えてみたいという志織さん。これからも日本のネイルの魅力を発信し続けてほしいです。