美容師国家試験で行われるワインディングとは?持ち物の規定や審査のポイントを紹介
美容師国家試験は、筆記試験と実技試験があり、実技試験ではカットやセットといった技術を見られます。
今回はセットの技術試験のなかからワインディングに焦点を当てて、持ち物の規定や審査のポイントをご紹介します。この先美容師国家試験を控えている人は、ぜひ参考にしてください。
美容師国家試験の実技試験とは
美容師国家試験には筆記試験と実技試験がありますが、実技試験はさらに「美容技術試験」と「衛生技術試験」の2種類があります。
衛生技術試験は、爪が清潔に整えられているかということや、道具の使用や手入れが衛生的に行われているかといったことが見られます。
美容技術試験は、カットやヘアセットといった、美容師の施術における技術についての試験です。まずは美容技術試験の内容について、くわしく見ていきましょう。
第47回美容師国家試験では第一課題のカッティングと第二課題のワインディングがある
美容師国家試験の美容技術試験には、課題がふたつあります。第一課題はカッティングで、美容師の基礎的技術である、カッティング技術について、習熟度を判定します。
第二課題は「オールウェーブ」と「ワインディング」のいずれかについて、習熟度を判定します。第二課題は年度によってどちらの課題が出されるのかが異なり、事前に発表されます。第47回美容師実技試験の第二課題は「ワインディング」です。
第一課題のカッティング試験については、別記事でもくわしくご紹介していますので、併せてご覧ください。
美容師国家試験のカット課題とは? 審査ポイントを解説|第二課題のワインディングとは?
ワインディングとは
ワインディングとは、髪にパーマをかける際に、毛髪をロッドに巻いていく作業のことです。ロッドで髪を巻く前にどこにどうロッドを巻くか髪を分けたり(ブロッキング)、ロッドに巻くために手に取る髪の量を調節したりと、細かい作業がたくさんあります。
ワインディングは、美容師の技術のなかでも基礎とされている大切な作業ですが、オールウェーブと比較すると難しい課題だと言われています。
ワインディング試験の時間
ワインディング試験に設定された時間は、以下のとおりです。
・準備時間が7分
・試験時間が20分
・後片付けに1分
準備時間では、ロッドやコーム、トレイといったワインディングに使用する用具の準備、モデルウィッグの濡らしと梳かしなどを行います。試験時間の20分間で、決められた本数のロッドを利用してワインディングを行います。
後片付けは、使用した用具の片付けや、ウィッグモデルの顔面の拭き取りなどを行います。
ワインディングに使う持ち物の規定
ワインディングの実技試験では、使用する用具を自分で持参する必要があります。持ち物には規定があり、規定より数量が足りなかったり、規定外の物を持ち込むと減点されてしまいます。必ず受験案内をよく確認して、準備しましょう。
ワインディングの試験に使用する物を、くわしく見ていきましょう。
作業衣・マスク
まず用意しなければいけないのは、実技試験で着用する作業衣とマスクです。作業に向いている清潔な衣服で、色は白か、淡い単色の物を一着用意しましょう。なお、作業着とマスクは、カッティング試験でも着用します。
白か淡い単色のものでも、ブラウスやワイシャツなど、明らかに作業衣でないものだと、作業衣を着用していると認められず、作業衣の不備と判定されてしまいます。
また、トップスだけでなく、ボトムスも判定対象となります。タイトスカートのような足の動きが制限されるものでないか、大きな破れや裂け目がないか、膝が露出していないか、衣服の裾が頻繁に床面に接触していないかということが審査対象になります。
モデルウィッグ
モデルウィッグも、自分で用意して持参する必要があります。カット用のモデルウィッグも必要なので、それとは別に、課題に適したものを自分で選択しましょう。作業の目安となるような植毛や、カットなどの加工があるものは使用禁止です。課題作成をした痕跡が残っていない、マーキングされていないモデルウィッグを用意しましょう。
ロッド
ワインディングの要とも言えるロッドには、さまざまな細かい規定があります。
たとえば、審査基準に「使用するロッドの太さは10~13mmまでの4種類」とありますので、4種類の太さのロッドを用意しなければなりません。具体的には、10mmから13mmまたは13.5mmまでの4種類です。
また、仕上がりのロッド総数は50本以上55本以内、という条件もあります。規定を満たすよう、適量のロッドを用意して持参しましょう。
コーム
実技試験用のコームには、細かい規定がなく、計測用の目盛や数字、目印などが記入されていても問題ありません。自分の使いやすいコームを持参しましょう。
スプレイヤー
スプレイヤーというのは、美容師が使う霧吹きのことで、通常のプッシュ式ではなくレバーを押して使用するものです。ボタンをプッシュして使用するタイプと比較すると指が疲れにくく、噴射量も多いです。
スプレイヤーにも特に規定はありませんので、使い慣れたものを持参しましょう。なお、スプレイヤーは第一課題のカッティング試験でも使用します。ドライカットは失格になってしまうので、注意しましょう。
器具皿・ピン皿
器具やピンを置く皿(トレイ)も持参します。プラスチック製か金属製で、毛髪の付着や汚れの有無がわかる不透明のものを2枚用意しましょう。作業中は、見やすい場所に「使用中」「消毒済」の衛生シールを貼って表示する必要があります。
除菌用ウェットティッシュ
除菌用のウェットティッシュは、エタノールを使用していることがわかるものでなければいけません。ウェットティッシュの成分表示に、エタノールが記されているものを用意してください。また、「消毒薬」の表示も必要です。
その他に必要なもの
そのほかにも、乾燥したタオルや雑巾、ビニール製の敷物、怪我をしたときの絆創膏などを用意しましょう。汚物を入れておく、透明のビニール袋も必要です。
こまごまとしたものを用意する必要があるので、チェックリストを作成し、漏れがないよう入念に準備しておきましょう。
ワインディングの審査のポイント
ワインディング試験は、どういった点を審査されるのでしょうか?試験の審査のポイントについて見ていきましょう。
採点は減点方式
ワインディング試験の採点は、減点方式です。あらかじめ項目に点数が与えられており、不備やミスがあると配点から減点されていきます。衛生技術試験と合わせて減点が50点以下で合格です。
審査項目
ワインディング試験の審査項目は、以下のとおりです。
・モデルウイッグに対する禁止事項の有無
・使用する全ての用具類(衛生用具類を除く)の品目、数量及び規格適合状況
・作業終了後の処置状況
・未完成部分の有無
・技術の条件の適合状況
・ロッドの種類と配列
・ロッドの方向性及びステムの角度
・輪ゴムの掛け方及びロッドの巻き収め状態
引用:公益財団法人理容師美容師試験研修センター:美容師実技試験第2課題ワインディング審査マニュアル
ロッドの数は50本以上55本以下、場所ごとに使用するロッドの種類などのほか、輪ゴムの掛け方や巻き収め状態など、さまざまな規定があります。
ワインディングには規定どおりの物を準備しよう
美容師実技試験の第二課題、ワインディング試験では、ウィッグモデルをはじめとした試験に使用する道具を、自分で用意して持ち込まなければなりません。持ち込む道具にもさまざまな規定があるため、一覧をよく確認しつつチェックリストを作成し、抜けがないよう入念に準備しましょう。
ワインディング試験は技術面の審査だけでなく、道具が規定通り揃えられているか、作業に適した服装をしているかなどの審査も含まれます。規定どおりの道具を準備して、実技試験に挑みましょう。
引用元:
公益財団法人理容師美容師試験研修センター:第47回美容師国家試験受験案内
公益財団法人理容師美容師試験研修センター:美容師実技試験第2課題ワインディング審査マニュアル
公益財団法人理容師美容師試験研修センター:衛生実技試験審査マニュアル